超高層マンションは人工物の極致であり、一見すると魑魅魍魎の闇の世界の対極に位置するように思えますが、怪談スポットになることもあります。色々な怪現象が指摘されます。目に見えない住人と一緒に住むことがあります。階段を上ると自分の前に誰かが上っているような感覚がありますが、誰の姿も見えず、足音も聞こえません。誰もいない隣の部屋に人影を見ました。急にテレビの電源が入ります。
毎晩、自分の部屋に入ってドアに鍵をかけ、未解決の恐怖に心を惑わされながら就寝する住民がいます。自分一人しかいないのに夜中に目を覚ましたら目の前に顔があって自分を見つめていました。夜中に何かが階段を一段ずつ転がり落ちていくような特異な音を耳にします。霊感の強い近隣住民がマンションの敷地に入ると、正常な馴染み深い世界から唾棄すべき世界、尋常ならざる驚異の土地に入り込んだ気がすることがあります。
東京都中央区勝どきの超高層タワーマンション「THE TOKYO TOWERS」ではヘルメットを被った作業員の自縛霊の目撃例があります。作業員の幽霊の指の爪の下には土がついていたとされます。THE TOKYO TOWERSでは建設中に建設会社社長が作業員の男性の頭を蹴り、死亡させた事件が起きました。社長は安全靴でヘルメット越しに作業員の頭を蹴り、作業員は頭部打撲で死亡しました(「作業員けり死亡させる=建設会社社長を逮捕」時事通信2007年12月3日)。
大規模工事で人柱にさせられた人物や事故死した人物が幽霊となって現れる話は全国各地に存在します。THE TOKYO TOWERSの目撃例も、その一種です。大阪のスピリチュアル・カウンセラーが2010年7月に出張霊視鑑定も行っており、霊的スポットと化しています。
高層マンションが怪談スポットになりやすいことには理由があります。第一に建設作業員にとって高層マンション住民は怨念の対象になります。人柱が幽霊になる話は多いが、自らの村を洪水被害から守るための堤防建設で人柱に志願したようなケースで悪霊になることはありません。
反対に自分とは無関係な工事受益者の利益のために犠牲にさせられたから、怨念となります。高層マンション住民と現場作業員は、格差社会の両極です。報われなかった作業員の怨念が「勝ち組」的生活を謳歌するように外部からは見える高層マンション住民に向かっても不思議ではありません。
第二に高層マンション住民は強いストレスに晒されています。そのために高層マンション住民自体が幽霊を呼び寄せ、幽霊を見やすくなる心理状態にあります。住民の抱えるストレスは生理面と心理面の両面が存在します。
まず生理面です。高層マンションの居住は生理的な影響を強く受けています。高層階は揺れが大きく、騒音も伝わりやすいです。また、コンクリートで囲まれた高気密な室内は外気が入らず、ダニやカビが発生しやすいです。そのために超高層マンション住民は自覚の有無を別として生理的なストレスに直面しています。実際、高層階居住者ほど流産や死産の確率が高くなるという研究結果があります。
次に心理面です。高層マンションでは住人が事実上、序列化されます。高層階ほど分譲価格や家賃が高くなることは誰でも知っています。住民は暗黙のうちに居住階によって他の住民と比較し、比較されます。「馬鹿と煙は高いところに上る」の言葉通り馬鹿げた話ですが、高層マンションに好んで居住する層は経済面での比較意識が人一倍強い傾向があります。
社宅暮らしは会社の序列が近所付き合いに持ち込まれるからストレスになると指摘されます。それでも社宅には同じ会社の従業員という帰属感や連帯意識がありました。超高層マンションでは帰属感も連帯意識もなく、経済的序列だけが厳然として存在します。声に出せない住民のストレスは社宅の非ではありません。
第三に高層マンションは周辺住民の怨念を集めています。高層マンションは周辺の住環境を破壊します。日照や眺望を奪われ、ビル風の被害に遭った周辺住民の怨念は高層マンションに向けられます。これは日々の生活で受ける被害であり、生活を続ける限り、継続する怨念です。
このように高層マンションは怨念が渦巻き、蓄積されやすいと言えます。幽霊が実在するとすれば、「THE TOKYO TOWERS」では作業員が殺されるという明確な事件によって、怨念が具現化したと考えられます。
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