テレビ朝日の刑事ドラマ『相棒 season18』が2020年3月18日に第20話「ディープフェイク・エクスペリメント」で最終回を迎えました。最終回はディープフェイクがテーマです。奇しくもALISの3月16日週の「お題」もディープフェイクです。
最終回ではディープフェイク映像が犯罪の真犯人隠しやアリバイ工作に利用されました。逆に警察がディープフェイク映像を作って捜査を正当化することにも使われました。冤罪にも悪用される怖さを描きます。愛媛県警の女子大生誤認逮捕は防犯カメラ映像に似ていることが根拠とされました。防犯カメラ映像の鮮度を良くする映像加工は既に行われていますが、ディープフェイクにより冤罪を作ることができます。警察の証拠開示が被疑者・被告人の防御権行使のために必要です。
最終回では花の里の代わりになる店が登場しました。冒頭で杉下右京(水谷豊)の推理力減退に言及し、シリーズ全体の終わりの可能性を示しながら、しっかりseason19を意識した終わり方になりました。
花の里は鬼門です。初代女将を演じた高樹沙耶さんは大麻取締法違反で有罪判決を受けました。二代目女将を演じた鈴木杏樹さんは不倫が発覚しました。『相棒 season18』放送前に薬物疑惑のあった成宮寛貴さんが復帰するとのフェイクニュースが報道されました(林田力「成宮寛貴さんの相棒復帰はフェイクニュース」ALIS 2019年10月4日)。その復帰先と目された場所も花の里です。
このため、花の里を復活するよりも、別の店を登場させたことは妥当ですが、内装が花の里にそっくりです。同じロケ地かセットを使ったのでしょうか。花の里のディープフェイクのようです。右京の落ち着く場所として花の里と似た内装になることは説明がつきますが、花の里のジンクスが女将を演じる森口瑤子さんに及ばないか心配です。
最終回で右京は「同じ質問をされるのは苦痛です」と言いました。これは警察の取り調べの腹立たしさを端的に示します。非効率の極みです。人質司法では一日中続きます。日産自動車のカルロス・ゴーン前会長さんも批判しました(林田力「カルロス・ゴーン記者会見で検察主導を指摘」ALIS 2020年1月9日)。
しかし、同じ質問に複数回答えさせることは、これまで右京がしていたことです。捜査一課が聞き込みをした関係者に「彼等とは部署が違うもので」という理由で質問を繰り返していました。横の連携をしない時代遅れの公務員丸出しの論理です。自分を棚に上げるとは推理能力減退の影響でしょうか。
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