NHK大河ドラマ『どうする家康』第24回「築山へ集え!」が2023年6月25日に放送されました。ドラマ中盤最大の山場である築山殿事件に向けて動き出します。瀬名は穴山梅雪と話をしますが、武田に取り込まれたものでも、武田を切り崩そうとしていたものでもありませんでした。
瀬名の構想は驚くべきものでした。現代人の平和主義的な感覚にマッチしますが、現代人感覚で歴史を描いたものとの批判が出そうです。三河は木綿が特産品であり、商業主義は正解です。また、当時は国人一揆が起きていました。瀬名は久松俊勝・於大の方、今川氏真・糸(早川殿)夫婦に協力を求めます。国衆への影響力を考えてのものであり、国人一揆と方向性が重なります。
世の中の見解は築山殿と於大の方は対立していたとすることが多いです。『どうする家康』では於大の方は兄の水野信元を織田信長に殺された恨みがあります。信長と対抗する方向に動くことは正しいアプローチです。
服部半蔵と大鼠が築山殿の計画を探ります。半蔵は花を贈り、その花を大鼠が食べます。雪の日にエディブルフラワーが咲くのでしょうか。『どうする家康』はCGを多用しています。CGは雪が降っていない日でも雪のシーンが撮影できるなどのメリットがありますが、自然に存在しないものをCGで描けるということで登場させることは時代劇では微妙です。ゲーム感覚でCGを活用する弊害です。
『どうする家康』第4回「清須でどうする!」広過ぎる清須城
松平信康は戦を止めると言います。武勇に特化した伝統的な信康像からは新鮮です。後に関ヶ原の合戦で徳川家康は「息子がいれば苦労をしなかったのに」と信康を懐かしんだとされます。戦が嫌な『どうする家康』の信康は、家康が関ヶ原の合戦で期待するでしょうか。それとも信康が生きていれば関ヶ原の合戦にならずに徳川の天下になっていたという意味でしょうか。
瀬名の話を聞いた五徳も家康も支持します。これまでの五徳の印象は我がまま、高慢、虎の威を借る狐がありましたが、今回は健気です。
『どうする家康』は築山殿が不義密通の悪女という冤罪は晴らします。一方で織田信長から見ると謀反は存在したことになります。謀反は徳川家全体で行っていたことになります。
逆に築山殿事件が築山殿と信康の死で終わったことは軽いと言えます。瀬名が責任を負うのでしょうか。家康を生かしたい信長が捻じ曲げるのでしょうか。そのとばっちりは佐久間信盛が受けそうです。信盛の追放の背景には築山殿事件がありそうです。
武田勝頼は信義に反することをします。信義に反する行為は勝頼の信望を失わせます。穴山梅雪らが離反し、甲州崩れで滅亡する未来に繋がります。
武田勝頼は越後上杉家の御館の乱でも信義に反することをしました。『どうする家康』が勝頼を目先の問題解決のために裏切る人物と描いたことは歴史の裏付けがあります。
勝頼を誤らせたものは武田信玄を超えなければならないという強迫観念です。設楽原の戦いの突撃と同じです。『どうする家康』の勝頼は強そうであり、滅びそうにないと評されていましたが、その強さが滅亡の原因となるでしょう。信玄は家康を「ひ弱で臆病。されど、己の弱さを知る賢い若造」と評していました。勝頼は弱さを持たないために家臣から支えられずに滅亡することになりそうです。
『どうする家康』第23回「瀬名、覚醒」悪女の冤罪を晴らす
『どうする家康』第22回「設楽原の戦い」嫌な仕事を押し付ける
『どうする家康』第21回「長篠を救え!」見下す兵士達への痛烈な反撃
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