焼肉屋の従業員による不適切動画が2021年4月14日に炎上しました。大分県内の焼き肉チェーン韓国苑の従業員が、厨房でソフトクリームを機械から直接口に入れるなどして遊ぶ様子を映した動画です。口など自分の体を使って食べ物を汚すことはバイトテロの典型的なパターンです。
これは動画が普及しておらず、Twitterに写真を投稿していたバカッターの時代から変わっていません。東急ストア戸塚店従業員は2013年8月にグレープフルーツやリンゴを口にくわえた写真を「バイトなう」とTwitterに投稿して炎上しました。
この亜種としては2019年6月の大和ハウス工業のマンションの受水槽の不適切動画があります。大和ハウスの協力会社作業員がマンションの受水槽で泳ぐ不適切動画です。受水槽は水道水をため、各世帯で飲料水などとして使われます。作業員が泳いだ水をマンション住民が飲まされることになります。飲食店従業員の食べ物を使ったバイトテロと同じ不快感を抱きます。
食べ物を粗末にする必然性はなく、不快感しか抱かない行為です。そのようなことを何故するのか理解に苦しみます。ところが、消費者が怒りを覚えるほど、従業員は悪意をもって行っていません。このギャップには絶望的な思いになります。
バイトテロには古事記や日本書紀からの原始的な本能があるのかもしれません。古事記で大気都比売神(オオゲツヒメ)は鼻や口、尻から食べ物を出して須佐之男命に提供しました。須佐之男命は汚らわしいものを食べさせられたと怒り、殺してしまいます。
日本書紀でも保食神(うけもちのかみ)が口から食べ物を出して提供しました。やはり汚らわしいと怒った月夜見尊に殺されてしまいます。
この古事記や日本書紀の話は殺された大気都比売神や保食神の死体から作物が生まれたという農作物起源の神話です。これはハイヌウェレ型神話と呼ばれ、世界各地の神話と共通します。ハイヌウェレの神話ではハイヌウェレは陶器など様々な宝物を大便として排出します。殺された死体から農作物が生じる点は共通しますが、口から食べ物を出すという点に日本の神話のユニークさがあります。バイトテロは日本神話を追体験しているとするのは考えすぎでしょうか。
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