仮想通貨、暗号資産に関するビジネスを行われている方々にわりかし共通しているのが(非常に偏見ですが)経営陣の方々が名前と顔とビジネスモデルを前に前に出されているという所だと思います。資金調達のためなかもしれませんが、企業によってはビジネスモデルが貧弱だったりして、それが仮想通貨、暗号資産に関するビジネス自体の信頼度を下げているにつながってるのではと思っています(偏見かも)その中で、面白いなと思った企業がありました。
株式会社 TRIPLE-1という会社です。前に前に出る企業タイプとは別の、経営陣の顔が見えない不思議な企業です。ちなみに株式会社トリプルワンという社名で類似業種や派遣業で複数社存在しますので、今回は株式会社 TRIPLE-1で記載を統一します。
概要
福岡県に本社を持つ、ファブレス(自社工場を持たない製造方式)の半導体製造企業です。事業内容は半導体設計開発、電気通信、最先端技術を活用したデジタルインフラ事業との記載があります。特筆すべきは資本金。すでに39億6289万5400円(資本準備金含)となっています。すごい。
本社は博多駅前の大通りを少し入った所にあるようです。ビル一棟ではなくテナントっぽい。なぜ福岡なのだろうか、TSMCとの距離を考えられているのだろうか。
製品
ホームページに記載されている製品は、マイニング専用のASICチップと、AI専用チップが3種類です。
最初に量産されたと記載されているマイニング専用のASICチップ。2018年当時に7nmの最先端技術で作られています。ちなみにIntelの第12世代プロセッサが12nmなので、かなりな最先端で製造されています。
次もマイニング用のASICチップ。消費電力が半分になっています。マイニングは性能をあげたうえでどう消費電力を下げるかが課題なので、これは画期的な開発だと思います。リリース年は書いていますが量産はされなかったのでしょうか。
AI専用チップ。脅威の5nm。これもリリース年は書いていますがどうなのでしょう。リリースされているのか、予定なのか、またはこのホームページが更新されていないのかはわからないのですが...
(2018年PR)『KAMIKAZE』7nm ASICチップ開発プロジェクト:サンプルボードとプロトタイプユニットが完成!
(2019年日経記事)トリプルワン、富士通エレとマイニングチップで提携
2021年には、ローカル5Gという、例えば工場の敷地内などのみに5Gの通信網を構築して、通信のみならず各種機器の運用などを効率的に行うという仕組みに関して、製品発表をおこなっています。
株式会社 TRIPLE-1、ローカル5G市場に新規参入。新製品「TOKI」シリーズを発表
事業の方向性については、ベンチャー系経営者必読の事業構想での2022年のインタビュー記事がありました。
TRIPLE-1 半導体で世界一目指し逆算する事業構想
不思議
ここから本題です。この会社には不思議な点がいくつかありますので、そこを確認してゆきたいと思います。
経営状況
社員数と売上高が未記載。調べて見ましたがわかりません。
代表取締役社長
経歴がほとんどわかりません。先の事業構想のインタビューだけしか発見できませんでした。仮想通貨、暗号資産関連のベンチャーですと、普通名前で検索するだけで山のようにインタビューや顔写真がヒットするのですが、ヒットしません。
本当にあやしい企業であれば、事業構想がインタビューしないでしょうし、資本金もあれだけ集まることはないと思います。ちょっと経営陣の方々の経歴を探してみることとしました。少し背景が見えてきました。みなさん別の会社をお持ちのようです。以下が経営陣の方々が代表または経営陣を務める別の会社のリンクです。
投資、人材、システム開発、オフショア、半導体開発といった企業の代表の方々が集合した企業だったようです。キルギフやカザギスタンでの分散計算機センター事業の運営という記載もあります。これはマイニングファームを運営しているということでしょうか。各方面の専門家が強みを持ち寄って作った企業のように見受けられます。
おそらくマイニングチップを使った製品に関しての、どのような仕様で、どこで、いくらで販売しているという情報が掲載されていませんので、もしかすると上記の企業の中で利用されているのではないかなとも推察します。関係する会社にマイニングファームがあったら、そこで運用かけたほうが儲かりますからね。となると、経営数値などの詳細が表にはでてこないでしょうし、だしても仕方ないと思います。資本金は十分にあるのですし。
時間があればこれら企業の公開情報を調べることでもう一段階掘り下げることもできますが、今日はこのへんにしておこうと思います。天気がいいので外に出てきます。
仮想通貨、暗号資産というと、若い経営者たちが明るく未来を語って、前にでて、そして消えてゆくというのがここ数年の風景ですが、静かに騒がず収益をあげていそうな企業も世の中にあるのだろうなと、感じはじめました。
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