冬場のビタミンC補給に重宝な「北京のキャベツ」
〔白菜〕 Chinese Cabbage
○旬=冬 ◎効能=整腸、緩下作用(便秘の改善)、冬場のビタミンC補給
中国の華北から東北部(旧満州)が原産のアブラナ科の越年生草本。カブと漬菜を交配して作られたもので、西暦600年頃から栽培され、中国では「葉類中で最も常食するもの」とされている。
日本でも、鍋物や漬物、汁物など大いに利用されているが、日本へ入ってきたのは1866(慶応2)年。別名の「楼」は「松のように寒さに耐える野菜」なので、草冠を付けて名付けたもの。
冷涼な気候を好み、関東や東北で主にとれるので、体を冷やす作用もなく、冷え性の人も安心して食べられる。
学名Brassica Pekinensisは「西洋のキャベツに匹敵するほどの使途と栄養がある」という意味から北京の(pekinensis)キャベツ (brassica)と名付けられ、英語でもChinese Cabbageといわれ、「西洋のキャベツ、東洋のハクサイ」と、その効能のすばらしさも賞賛されている。
ビタミンCが必昭 (100g中)と多く含まれ、冬場のビタミンC補給に重宝な野菜だ。
また、外傷の治癒促進作用や強精作用を有する亜鉛や、発ガン物質の亜硝酸アミンを排泄するモリブデンという必須ミネラルを含むうえ、ブロッコリーやキャベツなどアブラナ科の野菜に共通の抗ガン成分であるジチオールチオニンも含んでいる。
鉄やカルシウムも比較的多く含有されている。
中国・梁の陶弘景が書いた「名医別録』には、ハクサイは「腸胃を通利し、胸中域を除き、酒渇(飲酒後の口渇)を解す」とあるが、ハクサイには食物繊維が多く含まれていて、整腸、緩下作用にすぐれていることからも十分に理解できる。肉料理であるすき焼きの中に好んで用いられる理由も、このあたりにあるのだろう。
ぬか漬けにした場合、ビタミンCの量は存分に保たれたまま、ビタミンB1・B2が増え、整腸作用も強化される。
【民間療法】
軽いやけど……患部に生汁を塗る。
二日酔い・口渇・むくみ……ハクサイを絞った生ジュースコップ1杯を、よく噛むような気持ちで飲む。
胃腸の働きの低下・便秘・頻尿・胸焼け……味噌汁にハクサイを入れ、よく煮て食べる。
食欲不振……ハクサイを軽くゆで、酢、塩、醤油、砂糖とショウガ、トウガラシを混ぜた合わせ酢に入れて3~4時間漬けた甘酢漬けを食べる。