肺ガンを防ぐ「女性の好物」
〔薩摩芋】Sweet Potato
◎旬=秋 ◎効能=整腸、緩下作用、強壮作用、肺ガン予防
中央アメリカ原産のヒルガオ科の植物。日本へは1698(元禄1)年、琉球の中山国王が種子島藩主、種子島久基の求めに応じて送ったことにより伝わったとされている。
その後、飢餓の際の救荒食品として栽培が奨励され、全国に広まっていくが、その時の立役者が青木昆陽(1698~1769年)であったのは有名な話。
漢方では、「補中益気」「寛腸通便」の作用、つまり、胃腸の働きをよくして大腸の排泄をよくし、気力・体力をつける作用があるとしている。でんぷん、ショ糖、ブドウ糖、果糖などの糖質を多量に含み、ビタミンB1やCにも富んでいる。
特にCは甘夏なみに多く、100g中30gも含まれ、しかも調理による損失が少ないという特徴がある。
米国国立ガン研究所は「サツマイモ、カボチャ、ニンジンを毎日食べる人は、まったく食べない人に比べ肺ガン発生率が半分になる」と発表しているが、サツマイモに含まれるβカロチンやプロテアーゼ阻害物質、糖脂質のガングリオシドの抗ガン効果によるものであろう。
サツマイモの絞り汁を培養中の乳ガン細胞に加えたところ、ガンの増殖を90%以上阻止した、という研究報告もある。
サツマイモを輪切りにした時に出てくる白いネバネバした液は「ヤラピン」という樹脂を含む物質で、便通をよくする作用がある。
また、サツマイモにはセルロース(食物繊維)が多く含まれること、さらに「アマイド」という物質が腸内のビフィズス菌や乳酸菌の繁殖を促進してくれることが総合的に作用して、お通じがよくなる。
ミネラルでは、カリウムが多いので、塩(塩化ナトリウム)と一緒に食べると味が引き立つが、サツマイモを食べて胸焼けをする人は、塩を付けて皮ごと食べると、胸焼けを防げることが経験的に知られている。
蛇足ながら、サツマイモを食べると「おなら」が多く出て困ると忌避する人がいるが、これは腸内のビフィズス菌がサツマイモの食物繊維を食べた結果出す炭酸ガスで、肉食した時に出る腐敗臭を伴うガスとは異なり、腸内の状態が極めてよいことを表しているものなのである。
【民間療法】
風邪……黒焼きしたものを黒砂糖と共にお湯に入れて食べる。
しもやけ……サツマイモをすりおろしたものを患部に塗る。
魚の骨、針など異物の誤飲……ふかしイモ、または焼きイモを、あまり噛まないでたくさん食べる。
二日酔いからくる吐き気・下痢……イモ粥を作り、熱いうちに食べる。
肝臓病……煮たサツマイモを毎日食べる。
便秘……サツマイモをふかしたり、天ぷらにするなどして常食する。