胃腸にやさしい「春の七草」
[蕪] Turnip
○旬=冬~春
◎効能=胃酸過多の改善、骨・歯の強化、しもやけの改善
地中海原産のアブラナ科の植物で、別名「カブラ」「カブラナ」「アオナ」「スズナ」。
春の七草のひとつで、『古事記』にも記載されていて、持統天皇(7世紀)の時代には、すでに栽培されていたという。
根の部分は淡色野菜、葉の部分は緑黄色野菜に分類される。
根には炭水化物の消化を促す酵素のジアスターゼやアミラーゼを含むので、食べすぎ、飲みすぎによる胃腸の不調を整えるのに有効。
昔から正月の7日には春の七草を使った七草粥を食べる習慣があるが、これは正月の飲みすぎ、食べすぎで疲れた胃腸を快癒させようという昔の人の知恵だったのだろう。
カブの葉には、ビタミンA(カロチン)・B1・B2・Cなどのビタミン類が存分に含まれているが、特にビタミンCは、カブ100g中に75mgも含有していて、オレンジやトマトの約3倍にも当たる。
また、カルシウム、鉄、カリウムなどのミネラルも多量に含まれていて、特にカルシウムの含有量は、すべての野菜の中で最も多く、カブ100g中230mgにも及ぶ。
そのため、葉はゆでておひたしや浅漬けにしたり、味噌汁の具などにして毎日食べると、歯・骨を丈夫にし、イライラや不安、不眠、自律神経失調症などの予防・改善にもつながる。
さらに、カブにはグルコシノレートという強力な抗ガン物質が含まれていることも、特筆すべき点だ。
よって、ニンジン、リンゴで作る生ジュースに、カブの葉50~100gを加えて作るのもよい。
あまり知られてはいないが、カブの種子もいろいろな使い方がある。
すりつぶして、朝と夕方、顔に塗ると美肌効果がある。
また、円形脱毛症には、種子をすりつぶしたものに少量の酢を混ぜ、患部にこすりつけてマッサージするとよい。
また、種子油を少量ずつ服用すると、眼精疲労や老人性白内障の予防・改善にも効があるとされている。
「民間療法」
胃腸の不調や痛み…根をすりおろした汁、大さじ2~3杯を飲む。
しもやけ・ひび・あかぎれ……根をすりおろしてガーゼに包み、患部に当てる。
胃酸過多……ニンジン・リンゴ・カブの葉の生ジュースを飲む。
吹き出物・乳腺炎……カブの葉に少量の塩をふって軽くもみ、患部に貼る。