甚大な強壮・強精作用を有する「万能薬」
[大蒜】Garlic
旬=夏
効能=強壮・強精、殺菌、防腐作用、糖尿病・心臓病の予防・改善、健胃整場
中央アジア原産のユリ科の多年生草本。『旧約聖書』にも記載されているほど歴史は古く、エジプト、ギリシャの時代から栽培されていた。
日本には10世紀頃に中国から伝わり、『古事記』『日本書紀』には「悪疫退散のために用いられた」と記されてい和名「忍辱」は仏教語で「辱をも耐え忍ぶ」という意味だが、「僧侶が激臭に耐え忍んで食べるほど薬効がある」ことからきている。
古代ギリシャやローマ時代から「農民のための万能薬」と呼ばれ、ローマの兵士は出陣前に食べて精気をつけたといわれている。
エジプトのピラミッドや中国の万里の長城を造るために使われた労働者たちの活力源も、このニンニクだった。
また、9世紀初めにロンドンで伝染病がまん延した時も、ニンニクを欠かさなかったフランス人牧師だけが病気にかからなかった、というエピソードもある。
ヨーロッパの家庭の台所ではニンニクを束にして壁に吊り下げているが、これはニンニクから出る香気に殺菌作用があることが経験的にわかっているからであろう。
事実、ガーリックオイルにはコレラ菌などの強力な菌も殺菌する力があることが明らかにされている。
ニンニクのこうした作用の主役は、あの強烈な臭いの元になるアリシン(硫化アリル)で、ニンニクに含まれるビタミンBと結合してアリチアミンに変わり、疲労回復や滋養強壮効果を発揮する。
またアリシンは食中毒や感染症に対しての殺菌効果もある。
さらに、ニンニク中の無臭成分、スコルジニンも、新陳代謝の促進や滋養強壮に効果がある。
同様にアリルシステインも血液を浄化し、動脈硬化や脂肪肝の予防・改善に役立つ。
また、含有ミネラルのゲルマニウムとセレンには、体内の有害重金属を除去したり、放射線による障害を軽減する働きもある。
ニンニクの効果として、 1.殺菌作用2.駆虫作用(特に回虫に対して) 3.整腸作用(少量でぜん動促進、多量で下痢止め) 4.抗糖尿病(グルコキニンの作用)5.汗・利尿作用6.血液循環・促進作用7.ニコチン・重金属・公害汚染物質の解毒化8.降圧作用・コレステロール低下作用9.強肝作用10.老眼の予防 などが明らかにされている。
ただし、多食すると、胃腸の粘膜を荒らしたり、目を傷めるという報告もあるので、眼病、潰瘍、胃腸虚弱の人は少なめに食べたほうがよい。
【民間療法]
風邪……ニンニク、ショウガ、各5gを薄く切って鍋に入れ、ドンブリ1杯の水で半量になるまで煎じた液にハチミツを適量入れたものを寝る前に温服する
●下痢……刻んだニンニクを入れたおかゆを炊いて食べる。
●水虫……すりおろした汁を患部に塗る(刺激が強いので、肌の弱い人は注意が必要)
滋養強壮・精力低下・頻尿……おちょこ1杯のニンニク酒をお湯で薄めたものを寝る前に飲む。
◆糖尿病・精力低下……皮をむいたニンニク1かけを醤油に漬けて一晩置く。器に入れた納豆にこのニンニクと刻んだショウガとカラシ適量を入れてよく混ぜて食べる