ヤマイモ
「ヌルヌル」が滋養強壮効果の秘密
Yam/Yamaimo
◎旬=秋~冬◎効能=滋養強壮、糖尿病の改善、老化予防、慢性下痢の改善
日本、台湾に野生するヤマイモ科の多年生つる性草本。よって「大和芋」ともいわれていたが、里でできる「里芋」に対して、山でできることもあり、「山芋」ともいわれるようになった。
また自然の山野に野生することから、「自然薯」とも呼ばれる。
わが国では古くから食用にされてきた。
ヤマイモには、ジアスターゼ、アミラーゼ、カタラーゼ、グルコシダーゼなどの諸酵素が豊富に含まれているため、「とろろ飯」など、かなり食べすぎてもすぐに胃がスッキリとする。
他には、新陳代謝をよくするコリン、利尿効果を発揮し、むくみをとるサポニン、脳神経の働きを活性化させるドーパミン様物質も含まれている。
昔からヤマイモ、サトイモ、ウナギ、ドジョウ、ナマズなどのヌルヌルしたものは、精力剤になるといわれているが、ヌルヌルの主成分はムチンという糖タンパク質で、これがタンパク質の吸収をよくし、滋養強壮効果を発揮する。
江戸時代の『和歌食物本草』に「とろろ汁折々少し食すれば脾臓(=胃)のくすり気虚を補う」とあり、中国最古の薬物書「神農本草経』にも、ヤマイモについて「虚弱体質を補って早死にを防ぐ。胃腸の調子をよくし、暑さ寒さにも耐え、耳、 もよく、 なり、長寿を得られる」とある。
漢方でも、胃腸や肺、腎臓の働きを強化し、 「消化促進、寝汗、下痢、頻尿、帯下、腰痛、咳、糖尿(病)……」に効くとしている。
粘り気のもうひとつの成分デオスコランは、インスリンの分泌を促すことによる血糖低下作用があることも証明されている。
ヤマイモを主成分とする漢方薬「八味地黄丸」は、足腰の冷え、むくみ、痛み、頻尿、老眼、白内障、インポテンツ、皮膚のかゆみ、骨粗しょう症など、老化による症状や病気に対する妙薬だ。また、血中コレステロールの低下作用があることも報告されている。
ヤマイモは入手しにくいので、ナガイモで代用しても効能はほとんど同じである。
【民間療法】
糖尿病・慢性下痢……ヤマイモ約60gを煮て、1日3回に分けて食べる。
おでき……患部にすりおろしたとろろを塗ると、吸い出し効果抜群(刺激が強いの
で、肌が弱い人は要注意)。
滋養強壮・下肢・腰の冷え・むくみ・痛み・頻尿・老眼……ヤマイモ酒を毎日就寝前に約30cc飲む。
虚弱・体力低下……1日約60gのヤマイモをすりおろしたものを1日3回食べる。
食べすぎ・消化促進……せん切りか、とろろにして食べる。