潰瘍に効果がある
Cabbage
◎旬=春・秋◎効能=胃・十二指腸潰瘍・肝臓病・ガンの予防・改善、去痰
地中海沿岸地方原産のアブラナ科の越年生草本植物。古代ギリシャ、ローマ時代から栽培されており、日本には江戸時代にオランダから観賞用として持ち込まれ、「葉牡丹」と呼ばれていた。
ヨーロッパでは「貧乏人の医者」という別名があるほどで、古代ローマの政治家、大カトー (前234頃~149頃)は「ローマ人が何世紀もの間、医者なしでやってこられたのは、キャベツのおかげである」といっている。
ピタゴラスは「キャベツは元気をつけ、気分を落ち着かせてくれる」といい、医聖ヒポクラテスも「腹痛と赤痢の特効薬」としたとされている。
事実、淡色野菜の中では最もビタミンやミネラルを豊富に含んでいる。
薬効のあるビタミンとしては、A(免疫力増強)、B群(疲労回復)、C(免疫力増強、抗ガン作用)、K(止血作用)があり、同じくミネラルとしては、塩素、カルシウム、ナトリウム、鉄、イオウ、ヨードがある。
特にイオウと塩素は、強力な胃腸洗浄作用を発揮するので、多量にキャベツを食べるとイオウの臭いがするガスを発生する。
これは腸內の老廃物が分解・浄化されているため。
また、この塩素やイオウは呼吸器の浄化・清掃をするため、風邪や気管支炎の時の痰切り(去痰)に役立つ。
また、キャベツ汁には、大腸や乳房などのガン細胞の分裂・増殖を抑えるスルフォラファンやインドール化合物が存在するという報告も多く発表されている。
キャベツで特筆すべきことは、潰瘍の特効薬であるビタミンU (ulcer=潰瘍の頭文字)を含むことだ。
これは1948年、米国スタンフォード大学外科学のチェイニー教授が、難治性の胃潰瘍患者に、ヨーロッパの胃潰瘍に対する民間療法であるキャベツ汁を飲ませたところ、全員が治癒したところから発見されたビタミンである。ビタミンUはメチルメチオニンというアミノ酸の一種で、タンパク質の合成を促し、胃・十二指腸潰瘍で傷ついた粘膜を修復する他、肝機能強化にも役立つ。
なお、こうした効果は加熱すると失われていくので、なるべく生食することが望ましい。
【民間療法】
胃炎・胃潰瘍・肝臓病・ガン・気管支炎……ニンジン・リンゴ・キャベツの生ジュースを毎日飲む。
筋肉痛・関節痛・神経痛・痛風……アイロンでキャベツの葉をしぼませ、それを患部に当てておくと痛みが軽減(フランスの植物療法家、M・メッセゲ氏による)。
腎(足腰の痛み・しびれ・目や耳の老化・インポテンツ)……キャベツの味噌汁を毎日飲む。加熱することで、ビタミンCやUは壊れるが、アリルスルフィドという物質が作られ、甘みを増すうえに滋養強壮作用を発揮する。