札幌で生まれ育った。大学時代は京都で過ごした。新卒で入った会社では名古屋が初任地となり、3年目からは高松勤務になった。
札幌市中央区で18年間暮らした。家も学校も、普段遊びに行く先も、ほとんど区内。日常生活はとても閉じた世界で完結していた。
家族での道内旅行、国内旅行は、比較的多めだったと思う。非日常を過ごす田舎や都会は、自分の中に存在していた。具体的には、田舎は人口2000人の北竜町や、道内の様々なキャンプ場。都会は東京、大阪、一応札幌。あと、沖縄は2回訪れたので、思い出深い地方だ。
都会と地方、という2つの理解が生まれたのは、少年時代のこうした経験からだと思われる。
京都大学を志望校にしたのは、高3になってからだったか。当時の気持ちはあまり覚えていないが、京都で暮らし始めて半年ほどは、友人関係や学校生活に悩んでいた気がする。閉じた世界から飛び出すということについて、覚悟は足りなかったのだろうと推察される。まあ、高校生なんてそんなものだ。なんだかんだでその後は出逢いに恵まれ、生涯の仲間と呼べそうな友人たちができた。飛び出して良かったと、心の底から思えるようになった。記憶としては学業やバイトやプライベートなど様々なグラデーションがあったはずだが、なぜか全てが白黒で、色で塗り分けられていない感じがする。
名古屋は、社会人としての生活がスタートした地であり、妻に出会った地だ。名古屋という地に、この2つの記憶がみっちりとこびりついている。これら以外の記憶や意識はほとんどない。キレイに2色に塗り分けることができそうだ。
高松で暮らした2年半は、本当に様々なことがあった、濃密な時間だった。自分を取り巻くすべての事柄について、変化があった。何度も。この土地にこびりついた記憶には、たくさんの色がついている。さまざまに切り分けることができる。
眠いので寝る。