自分が自分の銀行になるためのハードウェア・ウォレットTrezor講座の第2回目です。
少し話を戻して“なんでハードウェア・ウォレットが必要なのか?”を書きたいと思います。
結局の所、暗号資産を守るという事は、それに付随する秘密鍵を守るという事に他なりません。秘密鍵に関する詳細はAlisでkatakotoさんという人が大変面白おかしくまとめてくれていますのでぜひ参考にしてください。
額に汗して稼いだお金をせっせと電子データに換えるという、一般人には到底理解不能な狂気じみた行いをしている我々、第一世代クリプト民に課せられた最初にして最後のミッションは、いかにこの“115792089237316195423570985008687907853269984665640564039457584007913129639936”の中から選ばれたランダムな数字を、絶対に他人に知られないように死守するか、本当の所はただそれだけなのです。
この鍵を自分で持っている事、それがデジタルワールドに存在する資産が自分のものである唯一の証明なのですから。
この言葉の意味する事を、もう少し振り返ってみましょう。今、取引所に預けているあなたの大切なお金。秘密鍵は誰が管理していますか。あなたが自分のお金を動かしたい時に、すぐにそれが可能ですか。コインチェック事件の時に、実際に被害に遭ったコインに限らず、その他のコインはどうなったでしょうか?
これは何も暗号通貨に限った話ではありません。銀行に預けている法定通貨。国が補償してくれているのだから何より安心なはず?
過去の預金封鎖実施国:1933年アメリカ、1946年日本、1990年ブラジル、2001年アルゼンチン、2002年ウルグアイ、2013年キプロス。
国の経済が立ち行かなくなった際に、国家は個人の貯蓄にいとも簡単にその痛み分けを求めてくる事は、世界中で過去の歴史が証明しています。それも唐突に、時に暴力的な方法で。
Bitcoinの登場により、私たちは初めて自分の資産を第三者を介入せず、自分で管理する自由を手に入れる可能性を目にしているのです。
と、こんな感じでNHK特集みたいに危機感を煽って、平凡な日常に刺激を与えてドラマティックに変換し遊んでいるkatakotoさんは、ついに自分でハードウェアウォレットを手にするに至ったわけですが、この秘密鍵の保管、やるべき事はシンプルそうに見えて、じゃあ実際どうするかとなると結構大変。人任せをやめて自分で管理しようとなると、秘密鍵は保有するコインごとに必要になるし、自身のPCとは言え、ネットに繋がった環境に秘密鍵をそのまま置いて置く事はそれだけでリスクになる。
前置きが死ぬほど長くなりましたが、その辺の管理をとても簡単で安全なものにしてくれるのがハードウェア・ウォレットなのです。
一般的なハードウェア・ウォレットでは秘密鍵の生成に“リカバリー・シード”(復元のための種)と呼ばれる24個の単語が使用されます。
これはBIP39と呼ばれるビットコイン技術提案文書によって規定された2048個の中からランダムに選ばれます。ソフトが対応していれば、日本語の単語にする事も可能です。※なぜか「あいこくしん」から始まる日本語リカバリー・シード例。
Trezorの初期設定では、英単語から24個が選ばれますが、要はこのリカバリー・シードが全ての“種”となり、そこから木の枝が伸びるがごとく、今後好きなだけ各コインのアドレスとそれに紐づく秘密鍵を管理する事が可能になります。
ですので、万が一ハードウェア・ウォレットが盗まれたり壊れたりしても、このリカバリー・シードさえ手元にあれば、慌てることなく保管した全ての資産を復元する事ができるわけです。※極端な話、復元にはもう一個Trezorを買う必要すらありません。BIP39に対応している別のソフトウェア・ウォレットでも良いのです。これに関しては、またの機会に説明したいと思います。
リカバリー・シードの保管方法に関しては、紙に書いて金庫に保管しておく方法がベストとされています。デジカメなどで撮影したデータをPCに保存するのは、上記の理由からPCハッキング→流出のおそれがあるため推奨されません。
この公開講座では、復元フレーズでわらべ歌をこさえて、自分の子供に徹底的に教え込む“Katakoto Warabe Song"方式(KWS)を推奨しております。
あかちゃん~むさぼる~ぽちぶくろ~♪
ぐんての~ろじうら~あいこくしん~♪
わかめでいもたれ~ぎじたいけ~ん♪
夕暮れが近づいてまいりました。僕はもうお家に帰らなければなりません。今夜の我が家の晩御飯はカレーのようです。次回は具体的なTrezor初期設定方法です。(やっとかよ。)
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