さて突然ですが、今回からアンドレアス・M・アントノプロスさんの“Keeping Digital Communities Weird (デジタル・コミュニティを“おかしな”ままにしておこう!)”を何回かに分けて翻訳して参ります。
アントノプロスさんと言えば、マスタリング・ビットコインの著者、情熱的に時に機知に富んだユーモアを交えながら、世界中で精力的に講演を行い、ビットコインがなぜインターネット以来の世界を変えうる革新的なテクノロジーなのかを平易な言葉で分かりやすく解説してくれています。
彼自身も最初はビットコインを「どーせオタクのコインだろ。」とバカにしていた時期があったらしいのですが、徐々にその魅力と本当に世界を変えうるポテンシャルの虜になり、Satoshi Nakamotoのホワイトペーパーを読んで完全覚醒。フルタイムの仕事を辞めそれから4カ月間、食べるのも寝るのも忘れて毎日12時間以上もビットコインに関するありとあらゆる情報を読み、学び、プログラミングし、気がついた時には9キロ以上も体重が減っていたそうです。
その自身の熱狂と情熱をそのままに、我々に分かる言葉で惜しみなく共有してくれる動画はそのどれもが魅力的なのですが、今回、第一回目としてこの動画を選んだ理由は
今まで誰も見たことがないテクノロジーを生みだし、それを育てるのは世の中の大多数から見たら“どこか変わってて・おかしくて・奇妙で・気味が悪い”(つまりはWeirdな)人達が集まるコミュニティであり、彼らを単に自分には理解しがたいからと言って排除せず、キープし続ける事こそが、世界に本当のイノベーションを起こすカギだというメッセージにとても感動したからです。
はた目から見ても、とびきり変な(この文脈では言わずもがな、褒め言葉ですよ)人たちが多いALISのコミュニティーを考える上でも、とても得るものが大きい内容と思います。
前置きが少し長くなってしまいましたので、今回は動画内で僕が一番しびれた部分をイントロダクションとして掲載する事とし、次回から、動画の冒頭から少しずつ翻訳していこうと思います。拙い翻訳で読みにくい部分もあるかと思いますが、ぜひこの“今目の前で、本当に何か新しい事が始まっていて、それに自分も関わっているんだ!”というワクワクする感じを一緒に共有してください。
最初の何年か、私が会社に出向いてのプレゼンテーションを依頼された時、会社の人達は私にこう言いました。「我々の重役達にプレゼンを依頼したいのですが、彼らに話す際には“ビットコイン”とは言わずに、“ブロックチェーン”を使って話して頂けませんか?なぜって“ビットコイン”は何か変で気味が悪いんですが、“ブロックチェーン”には未来があるからです。」
私は言いました。「いやです。“ブロックチェーン”とは言いません。“ビットコイン”と言います。なぜって“ビットコイン”が未来であり“ブロックチェーン”などクソくだらないからです。そしてあんたらの重役にも言ってやりますよ、お前らクソくだらねぇなって。なぜってあなたたちが私にお金を払ってここに呼んで、本当の事を私が見たように話してくれと頼んだからです。私は、単に気分を害さないようにと、きれいに包装された何かを売りつけようとしているのではないからです。私が興味があるのは真実を伝える事です。
暗号通貨が興味深いものである理由は、ビットコインが面白い理由は、それが誰にもコントロールされないものだからです。検閲できないものだからだし、オープンなものだからです。そして関わっているたくさんの人々がめちゃくちゃ“変でおかしな”人達だからです。おかしなコンピューター・オタク、プライバシーと自由について、おかしなアイデアを持ったおかしな暗号研究者。これらのおかしな人々が、私がビットコインに関わっている理由です。なぜって私もおかしな人間だからで、それで全然いいんです。
それら全部を取り去ったら、残されるのは - ブロックチェーン - 無味乾燥な何の面白味もないものです。無表情で革新性のない環境。面白いもの全部が消毒され、残りの空っぽの外観で覆われた企業のおもちゃです。基本的にはただの遅いデータベースです。
僕は会社で知ったかぶりをして「ビットコインはちょっと危ういけど、それを支える技術“ブロックチェーン”はホンモノ、未来を感じるよね。」とかイキって言ってたくちなので、この“本当に革新的なのはブロックチェーン技術などではなくビットコインそのものだ!”という部分にはガツンとやられました。この文章に何か感じるものがあった方は、次回からぜひお付き合いください。
次回