2018年5月から始まった、中国のCCID(中国电子信息产业发展研究院)による「Global Public Chain Assessment Index(全球公有链技术评估指数)」の第13回リストが、2019年7月30日に公式ウェブサイトで公開されました!
今年5月に公表された第12回リストより、月1回の公表から2か月に1回公表という形に変更されてから初めてのリストということになります。
ちなみに、前回の第12回リストについては、過去1年分のスコアと合わせて、以下の記事に書き留めています。
今回のリストでは、ここ最近はなかった新たなプロジェクトのリスト入りがありましたので、その点も含めて記事にしておきたいと思います。
過去のリストと評価基準などについては、これまでの記事を以下にまとめてあります。
また、今年初めに公表された2018年の総括記事には、CCIDの評価基準について解説されていますので、合わせて読んでいただければ嬉しいです!
本リストの発信元は「CCIDブロックチェーン研究所(赛迪(青岛)区块链研究院)」で、リストは公式ウェブサイト「CCID赛迪区块链」に掲載されています。
詳細は上記のウェブサイトを見ていただくとして、以下、今回のスコアと順位を、今年1月以降の過去4回分の総合評価と過去の順位を加えてまとめましたので、画像として貼り付けておきます。
(なお、2018年5月から12月までのスコアについては、上にあげた過去記事をご覧ください)
今回は、10位のCOSMOSと24位のZilliqaが新たにリストアップされました。
リスト入りはメインネットローンチが基本条件となっていますので、このタイミングでのリストアップとなったようです。
COSMOSについては、昆布森ちゃんさんの以下の記事に詳しくまとめられています。
Binanceとの関連で注目が集まった、「ブロックチェーン開発フレームワーク」を提供するプロジェクトとして知られていますね。
また、Zilliqaについては、僕も少し記事で触れたことがありますが、蟻巣ジョシさんの以下の記事に詳細がまとめられています。
以下の記事で触れられていますが、ALISでも有名なGaudiyが採用しているプラットフォーム系プロジェクトとしても知られていますね。
前回リストからのスコア増減を見てみると、大幅にスコアを増やした、もしくは減らしたプロジェクトがいくつか目に留まります。
前回リストから大幅にスコアが増えたプロジェクトは、4位のNULSが18.7ポイント増となっていることを筆頭に、2位のイーサリアムが12.0ポイント増、33位のライトコインが8.2ポイント増となっています。
過去記事にも書いてきましたように、このリストの傾向としてプラットフォーム系のプロジェクトの評価が高くなる特徴があります。
そうした傾向を踏まえたとしても、イーサリアムは今回のスコアが過去最高値となっていて、まだまだプロジェクトとしての可能性が評価されているのかな、と感じます。
他方、大幅にスコアが下がったプロジェクトとしては、36位のIOTAが18.5ポイント減となっていて、そのほか、30位のリップルが9.8ポイント減、20位のArkが6.9ポイント減となっています。
とりわけ、IOTAとリップルは第1回リスト以降、過去最低値となっていますが、このあたりの要因については、以下の3項目の数値を見ると、少しわかることがあるかもしれません。
上に挙げた総合点のリストは、「Basic-tech(基础技术水平)」、「Applicability(应用层级)」、「Creativity(创新能力)」という3項目の評点を合計した点数に基づいたものになります。
以下、それぞれの項目についても、過去4回分の評点と合わせたリストを挙げておきます(それぞれの順位は第13回の評点に基づいています)。
①Basic-tech(基础技术水平)
②Applicability(应用层级)
③Creativity(创新能力)
これら3つの評価の総合評価に占める割合は、①65%、②20%、③15%となっています。
こうした配分でスコアが出されていることからもわかるとおり、①の評価が総合的なスコアに大きく影響する傾向にあり、今回、スコアを大きく下げたIOTAやリップルは、①の評価が大幅に下がっていることがわかります。
①のスコアの評価基準は、CCIDが公表しているところによれば、パブリックチェーンとしての機能や性能、安全性や分散性を主な内容としているということです。
ですので、プロジェクトの特性がこうした評価基準とどの程度合致しているかというあたりが、総合的なスコアの高低に影響していることがうかがえますね。
他方、今回のリストで大幅にスコアを伸ばしたNULSについては、③のスコアが大きく向上していることがわかります。
③のスコアの評価基準は、開発スタッフの規模、およびソースコードの更新状況やその影響力を主要な内容としながら、開発の継続性を評価することとなっているようです。
総合的なスコアに占める割合は15%と決して大きくありませんが、NULSの場合は継続的な開発状況が評価されたことで、全体的なスコアを押し上げたといえそうです。
プラットフォーム系のプロジェクトが高い評価を得る傾向にあるという全体的な特徴を踏まえたうえで、継続的な動きが見られるプロジェクトのスコアが上がる傾向にあるようですね。
前々回の第11回リストの時と同様に、今回のリストと同時に公開されたCCIDによる解説でも、評価のポイントとしてDapps開発プラットフォームである上位3つ(EOS、TRON、Etherium)のパブリックチェーンが高評価となっていることに言及しています。
このリストの傾向として、各プロジェクトの基本システムとしての堅牢性と非中央集権性、開発の可能性と持続性といったような側面が、上述した3つの項目に分けて評価されていることが明らかになってきています。
こうしたリストの傾向に照らして考えると、プラットフォーム系のプロジェクトが高い評価を得るという特徴は、まあ妥当なところかなと思います。
ブロックチェーンや仮想通貨をめぐるこうした評価には、それぞれに特徴がありますから、そうした点を考慮して、全体的な開発の動きを捉えることが大切かなと感じます。
まだまだ継続してリストの公表はおこなわれるようですので、これからもコツコツと情報をまとめていきたいと思います!