ブロックチェーンの普及と発展には、スタートアップによる技術開発はもちろんのこと、そうした動きを支える環境整備が必要ですよね。
そのためには、分野を超えてブロックチェーンの開発・普及を目指して連携していくことが大切になってくると思います。
台湾でも、各分野でのブロックチェーンをめぐる動きが活発化するとともに、産官学連携の動きも現れてきています。
今回はこうした動きが具体化するなかで、国際的な連携へとつながる可能性も見えてきましたので、少し書き留めておきたいと思います。
・「台湾ブロックチェーン連盟」が7月に発足?
・あのINATBAに台湾も参加するの⁉︎
・産官学協働・国際連携の動きは今後加速する?
台湾の報道機関である「中央通訊社」が2019年6月14日に報じた記事によると、台湾の内政を担当する「國家發展委員會(國發會)」は、これまで準備を進めてきた産官学の協働組織である「台湾ブロックチェーン連盟(台灣區塊鏈大聯盟)」の成立大会を2019年7月12日に開催すると公表したそうです。
「台湾ブロックチェーン連盟」については、冒頭に挙げた記事に書き留めていますが、國發會を中心にブロックチェーンの推進を担うことが期待されている主要な行政機関が連携して、産業界や教育・学術界に呼びかける形で準備が進められてきました。
そうした準備の段階で、台湾のブロックチェーン産業をリードするOwlTing(奧丁丁)、AMIS、台湾フィンテック協会(台灣金融科技協會)、および台湾大学、交通大学、中国文化大学などの教育機関との意見交換を進めてきたそうです。
(OwlTingやAMISについては、以下の記事に書き留めています。)
成立大会の開催日時が公表されたということは、こうした各分野での意見交換と各行政機関間の折衝がひと段落したということですから、これから実際にどのようなメンバーが参加し、どのようなビジョンが打ち出されるかを注目したいところですね。
今回の成立大会の日時については、國發會のトップである主任委員で、台湾ブロックチェーン連盟の初代チェアパーソン(召集人)となる予定の陳美伶さんが公表したのですが、その席上、注目すべき発言がもうひとつありました。
それは、上述した「中央通訊社」の記事によれば、國發會がEUのネットワーク関連の行政機関である「DG CONNECT」と合同で開催した「Taiwan - EU Dialogue on Digital Economy(台歐盟數位經濟對話)」の席上、EU側から台湾側に対して、「INATBA(The International Association of Trusted Blockchain Applications、國際可信任區塊鏈應用服務協會)」への加入を打診されたということです。
「あれ?INATBAって、どこかで聞いたことがあるような…」と思って調べてみると、以下のTweetを目にしていたのでした。
リンクが貼ってあるALISのプレスリリースにもありますように、INATBAは「ブロックチェーンを次のステージに引き上げ、社会一般のものとすることを目的に、EUにおいて組織された国際団体」なんですね。
INATBAの公式ウェブサイトにも、ちゃんとALISの名前が挙がっています。
ALISが創業メンバーとして参加を表明したINATBAが、台湾の行政機関にも声をかけている…こんな形で、ALISと台湾がつながるとは。
…という話はALIS内のことだとしても、以下の「Sustainable Japan」の記事にもありますように、INATBAは「ブロックチェーンの活用が期待される各セクターでのガイドラインや国際基準を策定すると宣言」していて、世界中の産官学のステイクホルダーに広く参加を呼びかけているようです。
陳美伶さんの説明によれば、参加に向けた準備を進めていると同時に、将来的な台湾とEUのブロックチェーン産業の連携促進も視野に入れているそうです。
EUのブロックチェーン推進組織を介して、世界各国のブロックチェーンに関わるプレイヤーが連携していく動きに発展していくかもしれませんね。
2018年度に「ブロックチェーン元年(區塊鏈元年)」を迎えたと言われていた台湾では、2019年に入ってからはより活発な動きが各分野で展開されています。
とりわけ、産官学の連携の動きは活発で、今回の行政主導の動きと連携するように、大学側が主導する組織の結成も進んでいます。
また、以下の記事にまとめています立法委員の許毓仁さんを中心に、ブロックチェーン関連の立法作業も着々と進んでいるようです。
今後は、こうした各分野での動きを結集し、台湾全体でブロックチェーンの普及と発展を進めていくことになっていきそうです。
そして、それが国際的な連携の動きへと発展していき、そこにALISも入っていく…
ブロックチェーンに関する動きは本当の意味でボーダーレスに、分野の壁や国境を超えて、急速に広がっていくのかもしれませんね。
こうした国際的な動き、そしてALISとの関係も視野に入れながら、台湾の動きをコツコツと追いかけていきたいと思います!