台湾は「區塊鏈元年(ブロックチェーン元年)」を迎えていると言われているように、ブロックチェーンを活用したさまざまなプロジェクトが生まれています。
また、台湾の二大取引所と言われている「BitoEX」や「MaiCoin」をはじめ、バラエティ豊かな仮想通貨取引所が開設されて、メジャーなコインに加えて、台湾発のさまざまなコイン・トークンが取引されています。
台湾発のプロジェクトが発行しているトークンを日本の取引所で購入する方法はこれまでなかったのですが、今回、初めて日本の取引所に台湾発のトークンが上場されるというニュースを目にしましたので、少し書き留めておきたいと思います。
(2018年10月4日20時追記)MITHがLiquidに上場されましたが、残念ながら今日現在、日本国内から購入することはできないようです。
(なお、記事には取引所に上場されるトークンに関する情報が含まれていますが、投資に関する情報を提供するものではありませんし、投資を勧めるような内容ではありません。投資は自己責任でご判断ください)
・Mithrilのトークン「MITH」が「Liquid」に上場⁉︎
・Mithrilってどんなプロジェクト?
・日本市場への関心?
・ALISとの競合は?
2018年10月3日に台湾の「Mithril」の公式ツイッターに、以下のようなツイートが掲載されました。
日本の仮想通貨取引所である「Liquid」に上場される、しかもこれが日本の取引所では初めての上場になると書かれています。
このニュースを目にした時、恥ずかしながら、「Liquid?どこ?」と思ったのですが、2018年9月に「QUOINEX」から名称変更されたのですね。
Mithrilの公式Facebookページには、「ようこそ、ミスリル生態系へ!」と日本語で書かれた記事がアップされていて、「明日はLiquidと言う、日本の取引所初上場!」と、2018年10月4日の上場が示唆されています。
このFacebookページには、Mithrilの公式Mediumページにアップされた4本の日本語記事のリンクが貼られています。
Mithrilが今回の上場に合わせて、日本の投資家に向けたアピールを準備してきた様子がうかがえます。
ちなみに、このページに付けられたハッシュタグが、「#我日文很弱歡迎幫我糾正(日本語は弱いので助けてください!)」、「#跪求日文大神降臨秘銀生態系(日本語の神様がミスリルのエコシステムに降りてきますように!)」となっているところがチャーミングですね!
Mithrilについては、これまでに以下の記事でプロジェクトの内容を簡単に書き留めてきました。
2018年10月現在、Mithrilの主力サービスは「Lit」という写真・動画シェアアプリを通じた「ソーシャルマイニング」です。
ソーシャルマイニングについては、上に挙げた僕の記事にも書き留めていますが、Mithrilの公式Mediumページの日本語記事には、以下のように説明されています。
ソーシャルマイニングとは、これに対応するプラットフォームで、創作したり、コンテンツをアップロードしたり、他者と交流したりすることで、ミスを取得することです。
文中、「これに対応するプラットフォーム」というのは、2018年10月4日現在では上に挙げた「Lit」というアプリ以外にはありませんが、これから増えていく予定だということです。
また、カタカナで「ミス」と書いてあるのは、Mithrilが発行するトークンである「MITH」のことを指しています。
つまり、今のところ、Mithrilが提供するソーシャルマイニングはLitに動画や写真をアップし、そこで集まったいいねなどに応じて「MITH」トークンが発行されるという仕組みのことを指しているといえます。
なお、公式Mediumページに掲載されている別の日本語記事には、Litでのトークン配布について、以下のような説明がされています。
優れた投稿や創作を奨励するため、Litはユーザーに対して毎日の「いいね」の上限数を定めておりません。しかし、システム側ではユーザーの行動を観察しており、いいねを押した状況に応じて以下のような調整を行っています。
1.閲覧者の閲覧といいねを押すタイミングが速すぎると、この投稿をめぐる交流で得られるポイントが低くなります。
2.ユーザー自身、タイムラインを見る時間が短すぎたり、どのタイムラインにも頻繁にいいねを押していると、システム側がいいねの乱発行為とみなし、ユーザーの格付けが下がります。
投稿された内容がきちんと閲覧されたうえで「いいね」が押されているかどうかということが、報酬やユーザー評価に反映されていることがうかがえますね。
日本の仮想通貨取引所をめぐっては、ここ最近、明るくなれないニュースが続いていますが、そうした状況のなかでMithrilが日本の取引所への上場を決めたのはなぜでしょうか?
この点については、これからいろいろな情報が出てくる、もしくはMithrilから詳細な方針が発信されるかもしれませんが、これまでのMithrilの取り組みからは、日本市場への関心を感じ取ることができます。
上に挙げたLitアプリの日本語対応、日本でのダウンロード開始はもちろんですが、Mithrilの創業者である黄立成さんが立ち上げ、中華圏で多くのユーザーを抱えている「17直播(17video)」も、日本でのサービス展開をおこなっています。
また、Mithrilの公式Mediumページに掲載されている記事によれば、日本の著名な決済プラットフォーム運営企業とも、提携に向けた話し合いを進めていることに言及されています。
Mithrilによる多様なサービス展開を、日本にも積極的に導入し、ユーザー獲得を積極的に目指していることが感じられますね。
Litアプリはすでに日本でもリリースされていますので、本当はユーザー登録してから記事を書こうと思ったのですが、携帯番号の登録かFacebookのアカウントとの連携が必須になっているので、まだ躊躇しています^^;
なので、サービスの使用感などはわかりませんが、これまでに書いてきた記事でも少し触れましたように、Mithrilが目指す「エコシステム(生態系)」は、ALISが目指す方向性と共通している部分があります。
コンテンツに対して独自トークンによる報酬を配布し、クリエイターのモチベーション向上を図ろうとしていることもそうですが、合わせて、「広告収入に依らないSNS」の実現を目指していることもまた、ALISとの共通性を感じます。
プロジェクトとしての共通性をこの両者には感じますが、ただ、今回のMithrilの日本の取引所へのトークン上場によって、その投資的側面に関する動きとその姿勢は異なっているなあという印象を受けました。
Mithrilは、公式Mediumページの日本語記事として「MITH」トークンの上場取引所一覧を挙げていますが、その数、実に22か所(2018年9月20日現在)となっています。
ALISよりもMITHのほうが日本の取引所への上場が早くなるとは、まったく予想していませんでしたが…^^;
こうしたデジタルコンテンツへのトークン配布によってコンテンツの保護やクリエイターのインセンティブ確保・モチベーション向上を図るというサービスは、たとえば「GIFTO」のような投げ銭プラットフォームなども始まっているように、世界的に競争の激しい分野のひとつではないかと思います。
それだけに、成長する余地がまだまだ大きくあると認識されていると同時に、生き残りの方向性をどこに見出していくのかということがより大切になっていくのかなと感じています。
ALISのこれからということも含め、Mithrilの試みが日本でどのように受け止められていくのか…
こうした点からも、情報をコツコツと追いかけていきたいと思います!
ちなみに、Mithrilの公式ウェブサイトには、以下のような英語の紹介動画が掲載されています。
Youtubeの動画を埋め込むことができるようになったので、ついでに埋め込んでおきます!