仮想通貨を支えるブロックチェーン技術は、仮想通貨に限らず、多様な方面への応用が期待され、実際に試みられていますね。(むしろ、技術を応用したプロジェクトを実現するためにICOによって資金調達するというのが近年の主流ですね)
台湾でも、たとえば過去記事にも書きましたが、ブロックチェーンの改ざんできない性質を利用した応用がいろいろと試みられています。(過去記事:台湾からはIOTA関連の話題がよく出てきますよね(DAG活用の方向性?))
そんななかで、台湾のエンタメ界でもブロックチェーン技術を応用した新しいサービスの展開が始まっています。ここでは、特に音楽業界の新しい動きについて少し目にしたので、まとめてみたいと思います。(文中の日本語訳はかなりザックリとした粗訳なので厳密なものではありません。参考までにご覧ください(^^;)
「KKBOX」という音楽ストリーミングサービスをご存知でしょうか?日本でもサービスを展開していますね。このサービスはもともと台湾の企業が開発・提供しているもので、アジア全体で多くのユーザーに支持されています。
このKKBOX関連のグループ企業に「KKFARM(科科農場)」というエンタメ事業への投資をおこなう投資会社があります。
このKKFARMが2018年1月からサービス提供を開始しているのが、「SoundScape在田」です!これは、台湾で初めてのブロックチェーン技術を利用した「デジタルミュージック提供プラットフォーム(數位音樂發行平台)」として、多くの人々の注目を集めています。
この記事に掲載されているKKFARM総裁(President)の黄凱偉さんによると、このプラットフォームを通じて作品を公開することによって、「讓他們能自由創作並100%掌握音樂版權,自行管理,獲得合理的利潤(創作者は自由に捜索し、100%自らの版権を掌握し、自ら管理し、合理的な利益を得ることができる)」と説明されています。
基盤となる技術にはBitmarkの技術を採用し、資本面では台湾の大手銀行である中国信託商業銀行(中信商銀)と提携しているようです。また、ここで公開された作品はKKBOX、iTunes/iMUSIC、Spotify、GooglePlayなどでそのまま配信されるとのことで、創作者にとっても大きな利益を得ることができるといわれています。
こうした音楽プラットフォームを基盤として、KKFARMは2018年4月に「Muzeum」というプロジェクトを発表しました!
このプロジェクトには「區塊鏈創意産業協定」という名称が付されています。日本語で言うとすれば、「ブロックチェーン(を利用した)創作産業協定」というあたりになるでしょうか。
この記事によると、発表会見にはKKFARM総裁の黄さんと共同経営者(合夥人)の呉柏蒼さんに並んで、文化部次長の丁曉青さんがいたようです。文化部は台湾の政府機関ですから、政府も挙げてバックアップしているプロジェクトのようですね。
記事中にある説明では、このプロジェクトではブロックチェーン技術の導入によって、デジタル資産(數位資産)の保護と発展を目的に、「讓授權變得更容易(権利を得るための手続きが簡単になる)」、「確保分潤能夠正確快速的執行(利益の分配を正確かつスピーディにおこなうことができる)」、「減少盗版,增加内容的授權利用(海賊版が減り、権利の利用が進む)」という課題を解決することができるといわれています。
ここに挙がっている課題解決から見ると、ブロックチェーン技術によるスマートコントラクトの応用事例として捉えることができますね。実際に、記事中にも「智能合約(スマートコントラクト)」という表現が散見されます。
先に挙げたものとは別の記事によれば、これはまだ具体的なプロダクトではないため、「協定」としたと説明されています。「第一歩希望可吸引更多的合作夥伴(まずはたくさんの協力パートナーを引き寄せたい)」と説明されていることからも、これから大きく育てていきたいプロジェクトのようですね。
でも、その見据える先には広大な「ブルーオーシャン(藍洋)」が広がっているように思います。なにしろ、「著作権」にかかわるプラットフォームを作ってしまおうということですから、それは音楽だけにとどまらず、あらゆる創作物にかかわってきます。上の記事にもそうしたことを視野に入れた事業展開が語られています。
いわば、創作物の創作から配信、著作権管理までをすべてひとつのプラットフォームでおこなう、創作物の「六次産業」的なポジションを取ろうというものですから、その先行きには期待してしまいます。
様々なプロジェクトが、民間に限らず「産官学」の連繋によって打ち出されると、とてもワクワクしますね。
kazの記事一覧はこちらです。よろしくおねがいします。https://alis.to/users/kaz(下のアイコンからも記事一覧に行けます)
台湾の仮想通貨関連の応用事例としては、こんなのもあるようです。
台湾発の仮想通貨「MITH(秘銀幣)」に興味を持ってみました(ALISとの共通点?)
台湾初の仮想通貨ケーキ屋さん「Coin Cake」の目的が思いのほか熱い!