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台湾からはIOTA関連の話題がよく出てきますよね(DAG活用の方向性?)

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  • kaz
  • 2018/05/01 12:39
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(2018年5月2日:リンクがおかしくなっていたので修正しました 2018年5月3日:台湾大学の部分は公式の学習課程ではないという記事が出ていましたので修正しました)

新しい技術が開発・発展・普及していくための要素のひとつとして、「産・官・学」でのバランスの取れた活動の展開というのは大切かなあと思います。

「産」は可能性のある分野へとドンドン進出していきますし、「官」は環境整備においておおいに力を発揮してもらう必要があります。それに対して、「学」の動きというのは、「基礎研究」もしくは「実験的実践」をもって新技術にアプローチします。

ただ、「産」と「官」の動きはニュースになりやすいので目に付くのですが、「学」の動きは地道なだけになかなか目にすることがありません…

もちろん、ニュースにならないわけではありません。たとえば、(国立台湾大学や→大学の公式な学習課程ではないという記事がでていましたので保留中です)国立政治大学という国立のトップクラスの大学にはブロックチェーンやフィンテックに関する学習課程が設けられています。

(台湾大学の課程…大学の公式な学習課程ではないという記事がでていましたのでリンクを外して保留中です)

政治大学の課程https://cpbae.nccu.edu.tw/cpbae/getClass.action?id=817-001

ハッカソン(黒客松)もたびたび開催されていますから、そこから「学」の動きを垣間見ることもできます。

そのなかで、ここでは国立成功大学の動きについて少し気になった記事を見かけたので書き留めておきたいと思います。


國立成功大學

国立成功大学は台湾の南部、台南にあります。在来線の台湾鉄道台南駅の東側に広大なメインキャンパスを有している、台湾のエリート大学のひとつです。

台湾大学が日本でいう東京大学、成功大学が日本でいう京都大学、というようなたとえで説明されることもあります(が、人によっては、「台湾大学は日本の東大と京大を合わせたぐらい(の圧倒的な存在)」とも言われています…)

医学部も含めた9つの学部があり、とりわけ理工系の学部・学科が多く設置されています。多くの技術者を輩出している大学でもありますから、仮想通貨・ブロックチェーンにも少なからず関心を寄せている教育機関です。


IOTAで学習履歴を保存!?

こうした成功大学では、学生の学習履歴を含めた学習に関する記録の保管に、IOTAの基盤技術であるTangleを導入したと報じられています。

この記事には、開発にかかわった成功大学資訊工程学系の黄敬群助理教授のインタビューとともに詳細が伝えられています。(ちなみに、「学系」というのは日本の「学科」に相当、「助理教授」は「教授」から数えて3番目の職位です)

黄敬群さんが開発した成功大学の身分認証システムは「TangleID」と名付けられ、IOTAのTangleの技術が活用されています。インタビューによれば、「Tangle是個有向無環圖(DAG)的網路結構,交易規模越大,可用性會越高。(Tangleは有向非循環グラフ(DAG)のネット構造をもっており、トランザクションが大きくなればなるほど、有用性は高まっていく)」とあり、「スケーラビリティ(Scalability、擴展)」の問題が生じない、トランザクション・フィー(交易費)を必要としないといった利点から、この技術を導入したと説明されています。


IOTAの特徴は学習履歴の保管と相性がいい!?

IOTAについては、「ファンページ」という形で、日本語で読める詳しいガイドページが公開されています。とても勉強になります(し、以下の説明はすべてこのページでの説明に依拠しています(^^;)。

このページによれば、「IOTAとはIoT技術において要求される決済手段に特化した暗号通貨」と説明されています。「IoT技術において要求される決済手段」とは、具体的に、「Micropayment(少額の支払)とNoFee(決済手数料無し)」だといわれています。それを実現したのがIOTAということですね。

そして、IOTAにおいてこの条件を実現しているのが、Tangleという基盤技術です。

Tangleは「DAG(Directed Acyclic Graph:有向非循環グラフ)に基づいた奇抜で新しい分散台帳アーキテクチャー」と説明されています。DAGというのは、「有向」つまりトランザクションの向きは一方向で、「非循環(無環)」つまり元の位置に戻ることがないようなトランザクションのつながりを実現するものです(う~ん、こういう理解で大丈夫でしょうか…(^^;)

技術的な部分に深く立ち入ると、とたんに説明する自信がなくなっていきますが、ともあれ、「分散台帳」という表現で説明されるこの技術は、PoE(Proof of Existence、存在證明)を必要とする、学生の学習履歴や成績を含む学習にかかわる情報の管理と非常に相性が良いと黄敬群さんは説明しています。


IOTAの実用可能性

僕自身がIOTAの技術に関することをまだまだ深く勉強していかなければなりませんが、ともあれ、IoTに特化した技術の性質というのは、いわゆるポートフォリオや個人情報の管理にも応用しうるものなのだなということがわかりました。

そういえば、台北市が「スマートシティ(智慧城市)」を実現するために、IOTAと提携を結んだことが話題になりましたね。台湾では住民全員がIDを持っているので、Tangleの技術を応用したID管理の構想が、具体性をもって速やかに実用化されていくように思います。成功大学の取り組みは、こうした実用可能性を先取りした取り組みとして位置づけられるのではないかなと感じました。


「産官学」の「学」の動きもフォローしていかないといけませんね。まだまだ情報の網を広げていかないといけないなと思っています。


kazの記事一覧はこちらです。よろしくおねがいします。https://alis.to/users/kaz(下のアイコンからも記事一覧に行けます)


台湾の仮想通貨関係で、こんな記事も書いてみました。

台湾発の仮想通貨「MITH(秘銀幣)」に興味を持ってみました(ALISとの共通点?)

台湾初の仮想通貨カフェ&ラボ「Bitzantin」に行きたい!(Cortexとの関係も?)

台湾初の仮想通貨ケーキ屋さん「Coin Cake」の目的が思いのほか熱い!

フィンテックについての台湾の新しい法令を読んでみました(レギュラトリー・サンドボックス)

台湾の「フィンテック白書」を読んでみました(ブロックチェーンの方向性は?)

公開日:2018/05/01
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本職のフィールドである台湾・香港・中国の情報を中心に、自分が「面白いな!」と思ったことを記事にしています。Twitter: @kazALIS2

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