「區塊鏈元年(ブロックチェーン元年)」を迎えているといわれる台湾では、ここ1・2年で新たな仮想通貨取引所の開設が続いています。
台湾の仮想通貨取引所といえば、BitoEXとMaiCoinが二大取引所といわれていますが、そのほかにもCobinhoodやOTCBTC、スタービットやJOYSOなど、個性豊かな取引所が相次いで開設されています。
(台湾の仮想通貨取引所については、以下のまとめ記事から各記事をご覧いただければ嬉しいです)
仮想通貨取引所に関する法制度の整備をめぐって台湾でも議論が進んでいますが、健全な市場の構築を目指して前向きな議論が展開されているように感じます。
そうした状況のもとで、海外から台湾に取引所を開設する動きも生まれています。
今回は、シンガポールのBitrueが台湾に取引所を開設したというニュースを目にしましたので、書き留めておきたいと思います。
(文中の日本語訳は、ざっくりとした粗訳です。参考までにご覧ください(^^;)
・Bitrueが取引所を台湾に開設!
・取引所のコミュニティ化を目指す!?
・RippleやWanchainと提携
・台湾の仮想通貨取引所は多様化していく!?
台湾の経済系ニュースサイト「鉅亨網」の記事によると、2018年7月19日に、シンガポールの「Bitrue」が運営する初めての仮想通貨取引所を台湾に開設したと報じています。
取引所の特色については、ビジネスニュースサイト「數位時代」の記事によれば、目下のところ35種類の通貨を扱い、取引手数料を0.098%に設定しているとのことです。
また、高い安全性を前面に押し出すとともに、「不收任何上幣費、不收空氣幣,會從技術審查、團隊背景、社群活躍度等去做審查(いかなる上場費用も取らず、スキャムを取り扱わず、技術審査、グループのバックボーン、コミュニティの活動度などから審査する)」としています。
取り扱い通貨については、取引所のトレードページを見ると、確かに35種類の通貨が取り扱われています。
なかでも、USDTとの取引が可能なのは、ビットコイン、ビットコインキャッシュ、イーサリアム、ライトコイン、リップルの5種類となっていますので、これらが基軸通貨として位置づけられているようです。
また、安全性については公式ウェブサイトによれば、二段階認証、マルチシグ、コールドウォレットによる管理が挙げられていると同時に、McAfee SECUREの認証を得ていることが明示されています。
上に挙げた「鉅亨網」の記事によれば、台湾内に24時間対応のサービスセンターを開設し、「Bitrue 虛擬貨幣投資學堂」という仮想通貨取引に関する教育プログラムを実施する予定とのことで、仮想通貨取引をめぐる環境整備を積極的に進めようとしていることがうかがえます。
今回、仮想通貨取引所を開設した「Bitrue」は、「數位時代」の記事によれば、2017年にシリコンバレー(矽谷)のあるサンフランシスコベイエリア(舊金山灣區)に設立されたブロックチェーンインキュベーター(區塊鏈孵化器)である「Bitrue Space」から始まった企業だということです。
創業者でCEOの王志得さんは台湾大学修士課程の修了後に「Bitrue Space」を創業し、シリコンバレーのブロックチェーンスタートアップやFacebook・Googleなどの技術者とミートアップなどを通じて交流し、ブロックチェーンへの関心とかかわりを深めていったということです。
そうした経験を土台に、Bitrueでは取引所の「コミュニティ化(社群化)」を目指していて、実際の運営に「経済権」と「投票権」という2つのシステムを導入しているそうです。
「數位時代」の記事によれば、この2つのシステムは以下のように説明されています。
經濟權指的是,用戶交易越多、可獲得越多Bitrue發行的平台幣,相當於成為Bitrue的股東,而Bitrue會定期回購平台幣回饋用戶
(経済権は、ユーザーの取引が増えるにつれて、Bitrueが発行するプラットフォームトークンをより多く得ることができる。つまり、(彼らは)Bitrueの株主というようなものであり、Bitrueは定期的にプラットフォームトークンを買い取りユーザーに還元する)
投票權指的是,他們將管理權下放給用戶,讓社群投票決定要上架哪些幣。
(投票権は彼らの管理権をユーザーに開放し、コミュニティの投票によってどのトークンを上場させるかを決める)
「経済権」についてはFCoinが、「投票権」についてはHADAXなどでおこなわれています。
記事のなかでは、王志得さんもFCoinを意識しているようで、FCoinの「経済権」の仕組みの有効性を認めたうえで、Bitrueはこれに「投票権」を加えたことで、「可提高用戶對交易所的忠誠度(ユーザーの取引所に対する忠誠度を高めうる)」と説明しています。
「経済権」を実現するプラットフォームトークン(平台幣)については、2か月以内に詳細を発表するということです。
まだまだこれから実装されていくシステムですから、王志得さんが説明したような形で発展していくかどうかは、これからの動きにかかっているといえますね。
また、台湾の総合ネットニュースサイト「Knowing新聞」の記事では、Bitrueのサービス開始に合わせて、「Ripple」や「Wanchain」との提携が公表されたことに注目されています。
特に、「Wanchain」については公式ウェブサイトのトップに、「Rebuilding Finance with Private Cross-Chain Smart Contracts」とあるように、あらゆる仮想通貨・デジタルアセットを結びつけるクロスチェーンプラットフォームとして注目されているようです。
日本語で読める情報としても、たとえばMakiさんの以下のページにまとめられています。
こうした著名なプロジェクトとの提携を公表し、取引所でも取り扱うことで、すでにこうしたプロジェクトに投資をおこなっている人々をBitrueでの取引に引き込むと同時に、台湾市場における信頼性を獲得していくという思惑があるようです。
こうした戦略的な部分は、台湾発の仮想通貨取引所にはない特徴として、他の取引所とは違う強みになっていくのかもしれません。
また、「鉅亨網」の記事によれば、今年の下半期のうちにヨーロッパ、アメリカ、日本、韓国などへの進出を考えているとのことです。
Bitrueの公式ウェブサイトには、すでに日本を含む5つの地域に拠点を構えていると書かれています。
ちなみに、2018年7月19日現在、公式ウェブサイトの言語には中国語(繁体字・簡体字)と英語のほかに、日本語・韓国語・スペイン語も挙げられていますが、後者3言語については、クリックしてもすべて英語になってしまいます(^^;)
台湾での取引所開設を足掛かりに、世界的なプロジェクトと提携しつつ、世界各国での事業展開を具体的に展望していることがわかりますね。
「Knowing新聞」の記事によれば、Bitrueは台湾で結成されたブロックチェーン業界の自主組織(SRO)に加入したそうです。
台湾のSROについては下記の記事などにまとめましたが、台湾ではブロックチェーン・仮想通貨をめぐる市場の健全な発展に向けて、産官学がさまざまな形で協力関係を築きながら議論をおこなっています。
そうしたなかで、台湾の仮想通貨取引所もさまざまな特徴を持つ形で設置され、多様な仮想通貨が取引される環境が徐々に整えられてきています。
日本と同様、台湾でもまだまだ仮想通貨取引に対してネガティブな反応を示す人々が多くいます。
ただ、以上のような環境が整備され、健全な市場が構築されていけば、台湾は歴史的に投資活動が盛んな社会ですから、市場が発展していく可能性は十分にあると思います。
そうした土壌があることに決して少なくない人々が注目し、多様な特徴を持った取引所が少しずつ開設されているのだろうと感じます。
台湾の仮想通貨取引をめぐる動きはまだまだいろんな展開がありそうですので、これからもコツコツと情報を追いかけていきたいと思います!
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