ブロックチェーンを使った新たなサービスや製品の開発、または既存のサービスへのブロックチェーンの組み込みなどの動きが、世界中で展開されていますね。
ただ、ブロックチェーンは基礎的な技術なので、エンドユーザーがその存在を実感するのは(あるいは実感することなしに触れるためには)、具体的なサービスや製品が実際に動き出して、それらを利用するようになってからですよね。
その典型が仮想通貨であったり、仮想通貨に関連する製品、たとえばウォレット(錢包)だったりするわけですが、今回はそうした製品のひとつとして注目されている「ブロックチェーンスマホ」について、少し書いてみたいと思います。
…と言いつつ、僕自身、ブロックチェーンスマホにどのような利便性があるのか、いまいち理解できていないというところがあったり、日本語で読める情報としても既に流通しているものがあるので、あまり目新しいことはないかもしれません(^^;
ただ、台湾とのかかわりで少し目に留まった情報がありましたので、記事として書き留めておきたいと思います。(文中の日本語訳はざっくりとした粗訳ですので、参考までにご覧ください(^^;)
・半年以内にブロックチェーンスマホが続々登場!?
・HTCの「Exodus」って?
・HTCの多彩な事業との関係は?
・ブロックチェーンスマホと各種技術との連携は?
台湾のデジタル系ネットメディアの「數位時代」が2018年5月31日に掲載した記事によると、この半年のうちに「ブロックチェーンスマホ(區塊鏈手機)」の発売が多数予定されているようです。
たとえば、イスラエル(以色列)発のスタートアップであるSirinLabsは「Finney」という世界初のブロックチェーンスマホを2018年10月に発売する予定です。
価格は1,000アメリカドルを予定、製造は台湾の鴻海グループ(集團)傘下の富智康(FIH mobile)が請け負っています。
そのほか、宏達電(HTC)が2018年5月にブロックチェーンスマホ「Exodus」を発表。
聯想(Lenovo)が3月に「S5」を発表し、999人民元で事前優待予約をし、中国の京東ショッピングマーケットで30万台を受注。
そのほか、中国のモバイルメーカー長虹やフランスのスマホメーカーSugerがハードウォレット(硬體錢包)を搭載したスマホを打ち出しているようです。
フランスのSugerは中国のTinoMobileの子会社ですので、ここに挙げられているメーカーのすべてが中華圏の企業、もしくはそうした企業との関連があるところで占められています。
ブロックチェーンスマホの市場は今のところ、中華圏のメーカーが先行しているようですね。
以上に挙げたメーカーのうち、HTCが発表した「Exodus」については、すでに台湾の多くのメディアで、2018年5月16日に開催された記者発表に基づいた情報が発信されています。
たとえば、iThomeのこちらの記事によれば、Exodusの特徴を以下のように紹介しています。
Exodus將支援分散式應用程式(Decentralized Application,DApp),讓每支手機都成為以太坊或比特幣的節點,也會提供可靠的硬體堆疊與APIs以連結加密貨幣錢包,將使用者身分資料存放在手機上而非中央式雲端。
(Exodusは分散型アプリケーション(DApp)をサポートし、それぞれのスマホをイーサリアムやビットコインのノードとし、かつウォレットと連携したAPI(Application Programming Interface)による信頼できるハードウェアスタックを提供し、ユーザーの個人資料をスマホ内とともに分散型クラウドに保存する)
いろいろな機能が挙げられていて、僕の理解が追いつかないのが情けない話ですが…単純にウォレットが搭載されていて仮想通貨の取引がストレスなくおこなえるというだけではなく、DApps(分散式應用程式)がサポートされることで、ブロックチェーン上で動く多様なサービスとの接続が実現されるようですね。
HTCの公式ウェブサイトにはExodusの特設ページが開設されていて、購入予約も受け付けているようです。このページには英語の説明がありますので、ご参考ください。
上に挙げた「數位時代」が報じた記事によれば、Exodusを開発したチームのリーダーは陳信生さん(Phil Chen)といいます。
彼はもともと、日本でも販売されているHTCの「Vive」というバーチャルシミュレーターの開発者であり、現在の肩書は「去中心化長(DecentralizedChiefOfficer)」というそうです。日本語に無理やり訳すとすれば、「分散型(開発)主任」でしょうか(^^;
ここに、HTCがブロックチェーンスマホを従来のスマホとは違う観点から開発を進めようとしていることがうかがえるように思います。これまで実績のあるスマホのラインとは異なるものとしてExodusが位置づけられているように感じます。
また、HTCはブロックチェーンスマホの販売に続けて、新たなチャレンジを公表しています。それが、AIの活用です。
台湾のネットメディア「新頭殼newtalk」が報じた記事によると、HTC傘下のヘルスメディカル事業を担うDeepQは2018年5月29日に、AIプラットフォーム(人工智慧平台)の「DeepQ AI platform」を公表し、AIアプリの開発のスピード化、シンプル化、効率化を促進していくと伝えられています。
「DeepQ AI platform」は、AIモデルのトレーニングにおいて自動でパラメータ調整をする機能を担うことによって、ユーザーや開発者にAI開発のコスト低減を実現し、AIアプリの開発を支援するというもののようです。
このニュースは、一見するとブロックチェーンスマホとは関係のないもののように思います。
ですが、HTCという企業が展開している多角的な事業として考えれば、まったく無関係とも思えません。
ブロックチェーンスマホの開発の責任者にわざわざ「去中心化長」と名付けて、「分散型」のプラットフォームとしてブロックチェーンスマホを位置づけているとすれば、バーチャルリアリティやAIとの連携が進められることは、単なる「妄想」ではないと思います。
ブロックチェーンを使用した製品のひとつとして、スマホは世界的な流れとして注目されていますが、そこへのアプローチを各企業がどのように展開し、特色を出していくのか。
HTCがどのように動いていくのかということはまだまだこれからの動きを見ていかなければなりませんが、そのアプローチは、ブロックチェーンスマホの先例として興味深いものになるような気がします。
こうした動きはまだまだ始まったばかり。これからも続報を追いかけていきたいと思います!
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