ブロックチェーンに関する技術やサービスの開発をめぐる激しい競争が世界各地で展開されていますね。
同時に、競争を勝ち抜いていくための提携関係も多様な形で行われています。
今回は中国市場をバックボーンとして持つ香港のブロックチェーン開発企業が、多様な提携関係を展開しているニュースを目にしましたので、少し書き留めておきたいと思います。
・香港の雄岸科技が中国のブロックチェーン企業と提携
・雄岸科技は韓国のVCとも提携?
・多様な提携を通じてグローバル市場を取りにいく⁉︎
中国の経済系ニュースサイト「智通财经」が2018年11月23日に報じた記事によると、香港の「雄岸科技」の100%子会社である「雄岸テックブロックチェーングループ(雄岸科技区块链集团)」が、中国の「浙江空天ブロックチェーンテック(浙江空天区块链科技)」と戦略的パートナーシップに関する合意書を交わしたということです。
雄岸科技はもともと、中国で創設された「雄岸グローバルブロックチェーンイノベーションファンド(雄岸全球区块链创新基金)」が香港のテクノロジー関連企業だった「SHIS」を2018年5月に買収し、現在の名称になった企業のようです。
雄岸科技については、MALISさんが日本円と連動したステーブルコイン発行の計画を発表したことを記事にまとめています。
この計画についてはその後の動きが今のところ報じられていませんが、日本円と連動したステーブルコインについては、GMOグループが2019年度中に発行する予定であることを発表しましたね。
話を戻すと、今回、雄岸科技との提携を発表した中国の「浙江空天区块链科技」は、マイニングを中心としたブロックチェーン関連の技術開発を進める企業で、「OKNi」というブランド名で事業展開をしているようです。
公式サイトに掲げられている「協力パートナー(合作伙伴)」には、ビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、ダッシュなど、仮想通貨の銘柄がズラッと並んでいます。
仮想通貨の締め出しを進める中国にあって、パートナーとして仮想通貨の主要銘柄の名前を並べる企業は珍しいように感じますが、マイニングを始めとする主要技術の活路を模索しているように感じます。
「智通财经」の記事によると、今回の提携によって浙江空天は雄岸科技にマーケット分析に関する情報を提供し、雄岸科技は浙江空天にプラットフォーム管理の技術者を派遣するそうです。
技術開発とマーケット分析という強みを相互に活かすことで、ブロックチェーンをめぐる事業展開を進めていこうという意図が感じられますね。
また、台湾の経済系ニュースサイト「鉅亨網」が2018年11月26日に掲載した記事によると、雄岸科技は韓国のベンチャーキャピタル(風投)である「Vision Creator」と戦略的パートナーシップを締結したということです。
Vision Creatorの公式ウェブサイトにはトップページに、「Digital Asset Investment Expert Group」とあるように、デジタルアセットに特化した投資グループであるようです。
公式サイトは韓国語がメインですので、詳細なサービス内容はわからないのですが、起業家と投資家を結びつける投資サービスを提供する事業を展開しているようです。
今回の提携によって、韓国などで以下のような事業展開を計画しているということです。
両者は共同で韓国および、もしくはそのほかの地域でセキュリティトークンを発行する取引所を共同で開設し、法律、金融、マーケットなどの支援をおこなう。
(訂約雙方擬共同於南韓及╱或其他地區成立證券型代幣發行交易所,提供法律、金融及市場等支援。)
こうした事業を通じて、「国際的なブロックチェーン金融エコシステム(國際化區塊鏈金融生態)」を構築していくということです。
空天科技との提携によって中国市場での足場を固めていくと同時に、韓国のVCとの提携を通じて世界のマーケットへと事業展開していこうとしている様子がうかがえますね。
雄岸科技の今回の提携からは、中国や香港から世界的なマーケットを視野に入れた事業展開を進めていくことがはっきりと見て取れます。
日本円と連動したステーブルコイン発行の計画を公表したことも、そうした事業展開における姿勢を踏まえればありうる選択肢なのかなと感じます。
とりわけ、中国市場からは締め出されている仮想通貨関連の事業へと積極的に進出していくために、多様な国・分野の企業と提携するという姿勢は、これからも継続されていくように思います。
中国での事業展開と世界市場への進出の動きが同時に展開されていく様子を両方視野に入れながら、ブロックチェーンの技術開発がどのように進んでいくのか…
これからもコツコツと情報を追いかけていきたいと思います!