(台湾大学のヤシの木の並木道。南国っぽいですけれど、時々ヤシの実が落ちてきて、ちょっと怖いです^^;)
ブロックチェーン・仮想通貨をめぐる開発が世界中でおこなわれているなかで、開発に関わることのできる人材の育成と確保は大きな課題になっていますね。
教育機関での関連教育プログラムの開設やインキュベーター・アクセラレータープログラムの実施など、人材育成の試みは多様に行われつつありますが、それでもまだまだ時間がかかります。
そうした状況のなかで、即戦力として活躍が期待できる人材の確保に乗り出す企業も少なくなく、たとえばGoogle出身者によるリクルーティンググループなどが立ち上がったりしています。
今回はそうした動きの中に位置づけられるものとして、仮想通貨取引所が人材確保に向けた「ワールドツアー」を展開しているという情報を目にしましたので、少し書き留めておきたいと思います。
・BitMax.ioが台湾で人材をリクルート⁉︎
・そもそも、BitMax.ioって?
・台湾は世界とつながる人材輩出が期待されている?
台湾の大手紙「中國時報」のニュースサイトに2018年9月18日に掲載された記事によると、仮想通貨取引所の「BitMax.io」が「World Summit Tour」の一環として台湾・台北でミートアップを開催し、台湾の若い人々にインターンの機会を提供することを明らかにしたそうです。
インターンの内容について、BitMax.ioの創始者でCEOのGeorge Caoさんは以下のように説明したということです。
BitMax.io此行還帶給台灣年輕人到美國紐約實習的機會,寒暑期實習生月薪約台幣五萬元,不但能前往紐約辦公室實習,並能在結束後優先獲得正職機會,薪資比照投資銀行標準美金80,000起跳,大舉號召台灣營運、管理、行銷、公關、開發等領域人才。
(BitMax.ioは今回のツアーで、台湾の若い人にアメリカ・ニューヨークでのインターンのチャンスを持ってきた。冬休み・夏休みのインターンには月額約5万台湾元・日本円で約18万円、しかもニューヨークの事務所でのインターンというだけではなく、終了後には優先的に正式スタッフへのチャンスを与える。給与は投資銀行の標準額に照らして80,000アメリカドル超とし、台湾の運営、管理、マーケティング、広報、開発などの人材を広く募った)
この給与水準、日本円に換算すると「安くない?」と思うかもしれませんが、ここ数年、台湾の大卒初任給の水準を示す言葉としてよく使われる「22K」、つまり2万2千台湾元が平均額と言われている状況からすれば、魅力的な給与水準といえます。
BitMax.ioによる今回のツアーは、公式ウェブサイトによれば、すでにベルリンと台北で開催され、上海、ソウル、ニューデリー、シドニーで開催予定ということです。
このなかで、台湾でのリクルーティングについては以下のように語られています。
台灣技術人才眾多,區塊鏈社群相當活躍,目前台灣積極推動立法的政府、市場對科技新創的友善態度、豐沛的技術人才,都很適合區塊鏈創業專案發展
(台湾の技術者は多く、ブロックチェーンコミュニティも相当活発で、今のところ立法を積極的に推し進める政府があり、マーケットはスタートアップに友好的で、豊かな人材がおり、ブロックチェーン専門企業が発展していくのに適している)
台湾のブロックチェーンをめぐる環境に期待感を高めている様子がうかがえますね。
そもそも、BitMax.ioが「ワールドサミットツアー」と称して世界中でリクルーティング活動を展開しているのかというと、BitMax.ioがまだ創業したばかりの企業だからです。
「中國時報」の記事には、2018年8月にオンラインサービスを開始し、1週間のうちに登録ユーザーが1万人に達したと書かれています。
公式サイトに上がっているホワイトペーパーのロードマップによれば…
2018年7月にオープンβ版ローンチ、
8月にトークン上場、
10月にスマートコントラクト投票サービス開始、
11月にスマートコントラクトによる収入分配のサービス開始、
2019年4月にパブリックチェーンへの接続と書かれています。
取引所としてのサービスをスタートさせた段階で、今回のツアーが行われていることがわかりますね。
そのうえで、このロードマップをよく見てみると、スマートコントラクト(智能合約)を用いたふたつのサービス開始が予定されています。
「投票」と「収入分配」という表現からイメージできるとおり、仮想通貨取引所「Fcoin」で採用されている「トレードマイニング」の採用を予定しているようです。
BitMax.ioではホワイトペーパーに、「社区型自治的数字资产交易平台(コミュニティ型自治デジタルアセットトレードプラットフォーム)」を実現するための方法として位置付けられています。
台湾でも同じく「トレードマイニング(交易挖礦)」を掲げる取引所「幣必多(BITBITDUO)」が設立されるなど、取引所のセールスポイントとしてのトレンドになっているようですね。
ロードマップでは収入分配の開始は11月となっていますが、公式サイトには2018年9月16日に「BitMax.io 交易挖矿规则说明 (初稿)(BitMax.ioトレードマイニングルール説明(初稿))」がアップされています。
2018年9月19日現在で上場されているトークンは、ビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、USDTに加えて、IOStoken、Aelf、Zilliqa、LibraCredit、OneLedger、そして独自トークンのBTMXとなっています。
独特でユニークなラインナップになっているように感じますが、これから取り扱いトークンを増やしていく方針であるようですので、どのような方向に展開していくのかが楽しみです。
上に挙げた「中國時報」の記事には、BitMax.ioの創業スタッフは全員、ウォール街(華爾街)で10年以上の業務経験があるメンバーで構成されており、ニューヨークを拠点に、すでにアメリカ・カナダ・シンガポールの3か所に取引所を開設していると書かれています。
BitMax.ioにとって、今回のツアーは優秀な人材のリクルーティングの一環ですが、台北をはじめとする開催都市の若い人々にとっては、グローバルな舞台へと羽ばたいていくチャンスのひとつとしても位置づけることができるだろうと思います。
上に挙げた、台湾のブロックチェーンをめぐる環境や人材に対する高い評価は、セールストークとして発せられているところが多分にあるかと思いますが、このように評価をしてもそう違わない程度に、台湾のブロックチェーンをめぐる状況は前向きに動いていると捉えることもできます。
そうした環境のなかで若い人々がブロックチェーン・仮想通貨に関する業界に関心を向け、そうした事業に関わることができるような状況は、世界的なブロックチェーンの発展に寄与するところが大きいだろうと思います。
ブロックチェーン・仮想通貨をめぐる適切な環境が整備されることは、優秀な人材を求めている企業を呼び込むことにもつながり、台湾の人々にとっても世界へと進出していく機会を増やすことにもなるようです。
このような機会がこれから増え、台湾のブロックチェーン・仮想通貨をめぐる状況が向上していくかどうか…これからの動きをコツコツと追いかけていきたいと思います!