(台北駅はライトアップされている夜もキレイですよ。街灯が入っちゃってすみません^^;)
ブロックチェーンが多くの人たちのあいだに普及していくためには、エンドユーザーが触れるサービスや商品に、それとはわからない形でブロックチェーンが組み込まれる必要があるかなと思います。
今、身近なところでいえばハードウォレットやDAppsがそうした役割を担っているのかなと思いますが、これらも仮想通貨と紐付いたものである以上、知らず知らずのうちにブロックチェーンを使っている…とまではいえないかもしれません。
そうした状況のもと、普及が見込まれる有力な商品として開発が進んでいるのが、「ブロックチェーンスマホ」かなと思います。
世界的な開発の動きも含めて、2018年5月に台湾のHTCがブロックチェーンスマホの開発を発表したことについて、以下の記事に書き留めました。
また、2018年7月に日本語で読める情報として、HTCがブロックチェーンスマホの開発を断念したのではないかという情報が出回りましたので、現地の情報を踏まえて、まだ開発は進んでいるようだということを記事にしました。
こうしたHTCの動きに関する続報が台湾メディアで報じられましたので、少し書き留めておきたいと思います。
・ブロックチェーンスマホ「Exodus」の発売スケジュールが決定⁉︎
・安全性の向上に尽力⁉︎
・開発は着々と進んでいる⁉︎
台湾の報道機関である「中央通訊社」が2018年9月25日に報じたところによると、HTC(宏逹)のブロックチェーン開発のリーダーである陳信生さんが、ブロックチェーンスマホ「Exodus」の予約を10月末から開始し、年末までには発売する予定であることを明らかにしたそうです。
冒頭に挙げた2018年5月時点での記事にも書きましたが、ブロックチェーンスマホはイスラエルのスタートアップであるSirinLabsや中国の聯想(Lenovo)が発売に向けた動きを本格化させています。
HTCのExodusの発売時期は、こうした競合に遅れを取らないような時期に設定されたということができますね。
なお、価格については予約開始に合わせて公表するとしていますが、今のところ「錢包售價再加上手機價格(ウォレットの販売価格にスマホの価格を上乗せしたぐらい)」を予定しているとのことです。
HTCの最新フラッグシップモデルである「U12+」が市場価格で2万台湾元(約7万3千円)前後、競合するSirinLabsが1,000アメリカドルでの販売を予定していますから、10万円前後が想定されているのかなと思います。
また、発売地域については台湾とアメリカで先行発売、その後、ドイツ、韓国、シンガポール、中国などを考えているとのことです。
「など」に日本が入っているかどうかはまだわかりませんが、ブロックチェーンへの関心が高い地域へ先行して投入するイメージが描かれているのかもしれませんね。
Exodusにはすでに3,000件を超える問い合わせが届いているとのことですが、開発の責任者である陳信生さんは、「初期量能不是重點,重點是要把安全性做到最好。(初期の出荷数は重要ではなく、重要なのは安全性を素晴らしいものにすることにある)」と語ったそうです。
折しも、日本の仮想通貨取引所Zaifでハッキングによる仮想通貨流失事件が起こったところということもあり、たとえば台湾の大手紙「自由時報」のウェブサイトには、Zaifの事件と絡めてExodusの安全性に言及する記事が掲載されています。
「自由時報」の記事には、Exodusの特徴として、安全性に関する以下のような機能が挙げられています。
就是Arm TrustZone在電子錢包的安全性保護,以及社交密鑰恢復機制(Social Key Recovery)
(Arm TrustZoneによる電子ウォレットにおける安全性保護と、ソーシャルキーリカバリーメカニズムを備えている)
Armといえば、日本では2016年にソフトバンクが買収したことで知られている半導体の設計メーカーですね。
Arm、およびそのセキュリティ技術であるTrustZoneについては、小山安博さんが書かれた以下の記事で詳しく説明されていますが、今回のExodusへの導入も、ブロックチェーンスマホにはこうした先端的なセキュリティ対策が必要不可欠であることを示していると思います。
また、もうひとつの安全対策として挙げられている「社交密鑰恢復(ソーシャルキーリカバリー)」については、以下のように説明されています。
用戶可以將密鑰交給5個以上信賴的人託管,其中只要3個親友認證,就可線上取回密鑰,以及虛擬資產。
(ユーザーは5人以上の信頼できる人にキーを預けることができ、そのうちの3人が認証すれば、キーや仮想資産をオンラインで取得することができる)
これは、台湾の経済紙「工商時報」の記事によれば、これはスマホの紛失時にユーザーの資産を回復することができるようにするためのメカニズムとして採用されているようです。
二重の有効なセキュリティシステムを採用することが、新たな製品であるブロックチェーンスマホを多くの人に受け入れてもらうための方策であることがうかがえますね。
冒頭に挙げた2018年7月の時点では、発売時期、価格、発売地域などの情報がまったく公開されていなかったので、「開発断念か?」という情報も飛び交っていましたが、今回の情報によって、前向きに開発が進められてきた様子をうかがうことができます。
Exodusの特設ページも、2018年7月の時点では簡単なキャッチフレーズとラフデザインのみが掲載されていましたが、今はいくつかの特徴と、開発チームの紹介が追加されています。
開発チームの紹介文によれば、開発の責任者である陳信生さんの肩書きが、以前は「Decentralized Chief Officer」となっていましたが、2018年9月25日現在では「Chief Crypto Officer」となっています。
このあたりは単純な名前の変更かもしれませんが、こうしたひとつひとつの動きに、開発がコツコツと進められている様子を垣間見ることができます。
あとは、今回公表されたように、今から1か月後に予約が開始され、年末までに発売されるかどうか…
引き続き、続報に注目しながらコツコツと記事を上げていきたいと思います!