(写真は文中に出てくる「蘭嶼島」ではありません。念のため(^^;)
今、世界中で、ブロックチェーンの技術を応用したさまざまなサービスが開発され、日々、その世界が広がっています。
僕も毎日、ALISで記事を書いていて、その展開の速さと広がり・深まりを少しずつ実感しています。
そもそも、ALIS自体が、まだクローズドβ版であるにもかかわらず、新たな「ソーシャルメディア」として、日々、さまざまなことが起こり、世界が広がっていっていること、存在感を増していることを、「書き手」のひとりとして肌で感じています。
その一方で、そうしたサービスをより多くの人々に実感してもらうということについては、まだまだこれから…という感じもします。
もちろん、ブロックチェーンはあくまで基盤となる技術ですから、その技術が使われているということを知らなくてもサービスが使えるというのが理想的かもしれません。
また、仮想通貨をめぐる多様な情報が世の中に流通することで、少し前に比べれば良くも悪くもブロックチェーンに対する認知度も上がっているかと思います。
ブロックチェーンを活用したサービスが多様に開発されるようになると、次のステップとして、それをどのように知ってもらって、実際に利用してもらうかということが課題になってきますね。
今回の記事はブロックチェーン・仮想通貨に関する取り組みそのもの…というよりも、
ブロックチェーンに関するプロジェクトを少しでも多くの人に知ってもらって、ブロックチェーンが実現する世界を実感してもらうための取り組みについて、「お!これは…」というものを目にしたので、少し書き留めておきたいと思います。
・台湾映画「只有大海知道」
・DTCOの取り組みとの連携
・ブロックチェーン活用サービスの認知度をどうやって上げるか?
2018年6月15日、台湾で一本の映画が上映されました。
映画のタイトルは「只有大海知道(Long Time No Sea)」といいます。
台湾では上映からわずか10日で興行収入が500万台湾元(約1,900万円)を突破(これは、台湾で今年上半期に製作された映画の中では興行収入成績第2位)し、台湾の有名な映画祭にもノミネートされるなど、話題の映画になっています。
(ソースは、ネットメディア「鏡週刊」のこちらとこちらの記事をご参照ください)
以下のリンクから、予告編を見ることができます。(きれいな海と島の風景などが映し出されていて、これだけでも映画の雰囲気を感じることができます!)
この映画は世界で初めて、台湾の「蘭嶼島」に住む先住民の「達悟族(タオ族)」の人々をテーマとした映画として話題になっています。
映画はタオ族の少年とその父親の関係を軸に展開されていきますが、タオ族の現代の生活と伝統文化との葛藤と繋がりが重要な背景として、常に映画のストーリーに伏在するように描かれています。
映画のストーリーにはブロックチェーンのことはまったく出てきませんが…
興味深いのは、映画のプロモーションの一環として、ブロックチェーンを用いたプロジェクトと提携しているということです!
台湾の科学技術系ニュースサイト「科技新報Tech News」が報じた記事によると、ブロックチェーン技術・サービスの開発企業である「DTCO」が「只有大海知道」との共同で、初回の映画チケットを持っていると蘭嶼島の観光パスポート(觀光護照)を申請することができるというプロモーションを展開しているそうです。
なぜ、ブロックチェーン関連企業が映画とプロモーションをおこなったのかというと…
以下の記事に書いたのですが、DTCOは蘭嶼島で、タオの人々の「デジタルID」発行とICOによる観光業の発展を推し進めているんです!
DTCOはブロックチェーンを活用した台湾で初めての試みとして、タオの人々の先住民族としての身分を記録するデジタルIDの発行を試験運用しています。
それと同時に、ICOによって発行した「達悟幣(タオコイン)」によるトークンエコノミーの構築によって、島の主要産業である観光業のさらなる発展を目指しているようです。
こうしたプロジェクトの一環として、島を訪れる観光客に「観光パスポート」を発行し、さまざまな特典が受けられるようにしているとのことで、今回のプロモーションはそうした特典が受けられるようになるというものなんですね。
映画公開からまだ1か月も経っていませんから、このプロモーションの効果が現れるのはこれからだと思いますが、台湾は夏休みに入ったところ…続報に期待ですね。
(ちなみにこのパスポート、ICOにより発行したトークンを挟むことで、単なる優待パスポートではない効果が期待されています。詳細は、上に挙げた記事を見ていただければ嬉しいです)
上に挙げた「科技新報」の記事によれば、DTCOの取り組みは今後、タオ族だけではなく台湾の16の先住民族全体にサービスを広げていきたいと考えているようです。
具体的には、2018年8月21日に「金瓦幣(KINWA)」というトークンのICOを予定しているとのことです。
このトークンは、将来、「タオコイン」のような各族のコミュニティトークンと交換可能なものと位置づけることによって、先住民族全体からなるトークンエコノミーの中心を担う役割を与えていくということのようです。
その第一歩となるのが蘭嶼島での取り組みであり、その取り組みを多くの人に知ってもらい、実際に感じてもらう試みとして、映画との連携という方法が採られたようですね。
「科技新報」の記事は、こうしたプロモーションを通じて多くの人々が蘭嶼島に遊びに行き、このプロジェクトを体験することによって、「區塊鏈的威力(ブロックチェーンの威力)」を実感することになるだろうと、文章を締めくくっています。
ブロックチェーンという最先端の技術に多くの人々が関心を示し、実際に体験するためには、当面、その多くの人々が日常的に触れている既存のメディアや社会的な枠組み・サービスを利用していく必要があるのかもしれません。
DTCOのこうした試みは微々たるものかもしれませんが、ブロックチェーンと多くの人々を繋げていく方向性の一端を示しているように感じました。
技術の発展やサービスの展開とはまた違う観点ではありますが、これからこうしたところにも注目していきたいと思います!
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