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台湾の新内閣は選挙で負けたメンバー…だけど「スマートシティ」に理解のある面々が入閣するようですよ

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  • kaz
  • 2019/01/13 18:10
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(台湾の夜市の屋台。この雰囲気が台湾っぽいですよね)

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日本は今年2019年が統一地方選挙のタイミングですが、台湾では一足早く、2018年11月統一地方選挙がおこなわれました。

選挙結果については以下の記事に少し書き留めましたが、政権与党である民進党が多くのポストを失う大敗となりました。

その結果、総統で民進党の主席(党首)も兼任していた蔡英文さんが主席を辞任し、行政府のトップである行政院長の頼清徳さんも辞意を表明し、2019年1月11日内閣総辞職となりました。

この内閣総辞職にともない、新内閣1月14日に発足する予定となっていますが、今回入閣したメンバーを見てみると、統一地方選に立候補していた人々が入っています。

この新入閣メンバーが、ブロックチェーンなどの新技術の活用による「スマートシティ」の実現に積極的な人々だということで、少し書き留めておきたいと思います。


もくじ

・新内閣のメンバーは?

・ブロックチェーン導入という観点から見ると…

・行政施策としてのスマートシティの実現は新たな展開へ?


新内閣のメンバーは?

台湾の報道機関である「中央通訊社」は2019年1月13日の記事で、同日に公表された行政院の新内閣の名簿を掲載しています。

台湾のケーブルテレビ局「民視新聞台」のニュース動画で解説されていますが、今回の新入閣メンバーで注目されているのは、行政院長蘇貞昌さん、行政院副院長陳其邁さん、行政院秘書長(事務局長に相当)の李孟諺さん、交通部長林佳龍さんです。

新内閣を組閣した行政院長の蘇貞昌さんは民進党のベテラン政治家で、陳水扁政権下の2006年から2007年にかけて行政院長を務めた経験もあり、安定感が期待されている一方で、新鮮味に欠けるといったような意見も出ているようです。

ただ、それ以上に、蘇貞昌さんは新北市陳其邁さんは高雄市林佳龍さんは台中市の市長選挙にそれぞれ立候補し、野党・国民党の候補者に敗北した人々だということに対する反応も生まれているようです。

台湾の大手紙「中國時報」が2019年1月13日に掲載した記事では、新内閣に対するネット上の反応として、「蔡英文総統は選挙結果からのリベンジのために最終局面を作り出したのか?(蔡英文總統為救選情而做出的最後佈局?)」という意見があることが取り上げられています。

次期総統選挙は今から1年後の2020年1月におこなわれる予定ですが、今回の統一地方選挙の敗北から党勢を回復するための布陣として、今回の新内閣はどうなのか…という見方が生まれているのは、こうした人選も影響しているようですね。


ブロックチェーン導入という観点から見ると…

以上の点で新内閣には厳しい視線が向けられていますが、ブロックチェーンの導入という観点から見れば、少し期待感がある人事かもしれません。

なかでも、行政院副院長に就任する陳其邁さんは、以下の記事でも触れましたように、ブロックチェーンスマートシティ(智慧城市)に強い関心を持っています。

今回の副院長就任にあたって、陳其邁さんは自らのFacebookページを更新し、これからの抱負を述べています。

このなかで、陳其邁さんは自らが作った「高雄シンクタンク(高雄智庫)」のこれからの活動展開のなかで「スマートシティ」の発展を進めていくとして、「AI(人工智慧)」や「ブロックチェーン(區塊鏈)」の活用に言及しています。

また、交通部長の林佳龍さんに至っては、下記の記事に書き留めましたように、台中市長時代にブロックチェーンの活用やスマートシティの実現に向けた施策を積極的に進めていました。

林佳龍さんも自らのFacebookページを更新し、交通部長就任に向けた抱負を語るなかで台中市長時代に推進してきた政策に言及し、そのひとつとして、「スマート交通(智慧交通)」の実現を挙げています。

スマート交通」については、以下の「數位時代」の記事にまとめられていますが、台湾の科学技術行政を管轄する「科技部」も関連技術の開発に補助金を出すなど、注目されている分野でもあるようです。

行政院長に就任する蘇貞昌さんも、以下の記事で触れたように、新北市長選のキャンペーンサイトに掲載された政策では、「スマート産業の推進、循環経済の発展(推動智慧產業,發展循環經濟)」という方針を掲げ、ブロックチェーンやAI、IoTなどの新技術の開発を進めるスタートアップのバックアップに言及していました。

いずれも、今回の市長選挙に勝利することができず、都市政策としては実現できなかったものではありますが、台湾の中央行政を担うポストに彼らが着任することで、台湾全土の行政方針のなかに組み込まれていく可能性もあるのかもしれません。

ブロックチェーンの活用という視点から見ると、今回の組閣には期待できる部分もあるのかなと感じますね。


行政施策としてのスマートシティの実現は新たな展開へ?

今回の新内閣は、2020年1月の総統選挙までのわずか1年が任期ということですから、実際に実現できる施策には限界があるかもしれません。

ただ、たとえば副院長に就任した陳其邁さんを破って高雄市長となった国民党の韓國瑜さんは、陳其邁さんの副院長着任にあたって、「まず、陳其邁さんはきっと優れたパフォーマンスを発揮すること、次に、陳其邁さんは高雄のための大きな力を発揮してくれると信じている(第一個是相信陳其邁一定會有傑出的表現,第二個是相信陳其邁一定會大力幫助高雄。)」と期待感を表明したということです。

限られた任期のなかで政策を進めていかなければならないからこそ、これまでに進めてきた政策、あるいは構想されてきた政策の枠組みのなかで、行政施策が進んでいくと予想されます。

そう考えると、行政院長をはじめ、新入閣する人々がこれまでにブロックチェーンの導入を含めたスマートシティの実現に大なり小なり言及してきたということは、こうした産業にとってはポジティブな材料なのではないかと思います。

仮想通貨に関する法整備が進むなど、立法の分野では着々とブロックチェーン・仮想通貨をめぐる環境整備が進められてきていますので、行政の動きもより一層活発になっていけばいいなあと感じます。

これからの新内閣・行政の動きにも注目しながら、情報をコツコツと追いかけていきたいと思います!

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公開日:2019/01/13
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本職のフィールドである台湾・香港・中国の情報を中心に、自分が「面白いな!」と思ったことを記事にしています。Twitter: @kazALIS2

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