(アイキャッチのデザインはいろいろ模索中です。こちらもコツコツやっていきます^^;)
「ブロックチェーン=仮想通貨」というイメージは、仮想通貨に対するネガティブなイメージと相まって、ブロックチェーンに対しても歪んだ印象を与えてしまっている気がします。
ここに、「仮想通貨=投資商品」というイメージが重なると、ますます、ブロックチェーンという技術とはまったく関係のない、「ブロックチェーン=危険」という印象が広がっていってしまっているように感じます。
そうしたイメージを払拭するために、たとえば台湾でも、僕が実際に訪れた仮想通貨カフェ&ラボ「Bitzantin」のように、カフェという拠点をベースに、コミュニティとの交流やイベント開催などを通じてブロックチェーンに対するイメージ向上を図るような動きも生まれてきています。
今回は、香港でもそうした拠点づくりに関する動きが現れているようですので、書き留めておきたいと思います。
・BITWORKが香港にブロックチェーン交流の拠点を開設
・そもそもBITWORKって?
・産官協働組織もバックアップ⁉︎
・リアルなコミュニティがネガティブイメージを変える?
香港を中心に中華圏で発行されている「明報」のニュースサイトに2018年8月27日に掲載された記事によると、香港でブロックチェーン関連のサービスやソリューションを提供している「BITWORK」が、香港で初めてのブロックチェーンをテーマとするシェアスペースを開設したということです。
BITWORKが公式ウェブサイトに掲載したニュースには、シェアスペースの詳細が以下のように紹介されています。
為配合區塊鏈技術於香港迅速發展,BITWORK於2018年8月正式於香港九龍灣常悅道18號富通中心7樓01-04室新址正式營業,務求為員工提供優質的工作環境,以及為熱衷區塊鏈技術的企業、個人或團體提供工作空間,從而建造一個區塊鏈社群。
(ブロックチェーン技術が香港でスピーディに発展していくことに合わせて、BITWORKは2018年8月に香港九龍灣常悅道18號富通中心7樓01-04室という新たな住所で正式に営業を開始し、スタッフに優良な作業環境を提供するとともに、熱心にブロックチェーンを開発する企業や個人、グループにワーキングスペースを提供し、ブロックチェーンコミュニティを構築する事を目指す)
このニュースを見ると、正確にはBITWORKの新たな拠点を、ブロックチェーンに関係する人々にも開放し、業界のコミュニケーションスペースとしての役割も果たしていくという動きであるようですね。
「明報」の記事には、こうしたスペースによって、「希望向不同行業推廣區塊鏈技術,幫助企業轉型(さまざまな業界へブロックチェーン技術を推進し、企業の改革をサポートする)」ことを通じて、以下のような目標の達成を目指しているようです。
希望未來有更多應用場合推廣區塊鏈技術,可以「撥亂反正」,打破市場認為區塊鏈就是虛擬貨幣的印象。
(将来的に、ブロックチェーンを推進していくためのアプリケーションが多く生まれ、「混乱を正す」、つまり、マーケットが抱いている、ブロックチェーンといえば仮想通貨であるというイメージを打ち破っていきたい)
ブロックチェーンに対する「正しい」イメージを、自らの仕事も含めたコミュニティ形成によって広めていくという意気込みが、こうした表現からは垣間見えますね。
BITWORKは公式ウェブサイトのトップページにも、「WE BUILD THE BEST BLOCKCHAIN COMMUNITY」というキャッチコピーが掲げられているように、ブロックチェーンに関するコミュニティ形成を事業の軸としているようです。
そのうえで、こうしたコミュニティ形成を通じて、「區塊鏈項目培育(ブロックチェーンプログラムの育成)」、「區塊鏈社區服務(ブロックチェーンコミュニティサービス)」、「共同工作空間(シェアワーキングスペース)」を実現するとして、以下のようなビジョンを掲げています。
Bitwork作為香港區塊鏈社區的先驅,熱衷於收集區塊鏈專家和才華,以支持香港區塊鏈行業的發展。隨著區塊鏈的普及,Bitwork會將區塊鏈系統及其功能帶入社會,提高公眾對區塊鏈的認知度,並創建一個新的世界區塊鏈系統。通過企業對企業對客戶 (B2B2C)的完整生態系統模型,Bitwork旨在為企業建立產品或服務互惠交付的渠道。
(BITWORKは香港のブロックチェーンコミュニティのフロントランナーとして、一所懸命にブロックチェーンの専門家や才能を集め、香港のブロックチェーン業界の発展を支えていきたいと考えている。ブロックチェーンの普及によって、BITWORKはブロックチェーンのシステムと機能を社会へともたらし、一般の人々のブロックチェーンに対する認知度を高め、新たなワールドブロックチェーンシステムを構築する。そして、企業対企業対ユーザー(B2B2C)の完成されたエコシステムモデルを通じて、BITWORKは企業に製品やサービスの相互交流の橋渡しを確立することを目指す)
やはりここからも、ブロックチェーンに関する企業間(B2B)や企業対個人(B2C)の交流コミュニティを作り出すことを通じて、「提高公眾對區塊鏈的認知度(一般の人々のブロックチェーンに対する認知度を高める)」ことを目指していることがうかがえます。
より具体的には、空間の提供だけではなく、ブロックチェーンの導入を検討している企業に対する法律やマーケット・技術管理に関する情報の提供や、ワークショップやシンポジウム・ミートアップなどの開催に加えて、クリプトアセット管理に関するサポート業務もおこなっていくようです。
…ミートアップの開催もできる⁉︎
ALISの運営さん!香港でもミートアップが開催できるスペースが誕生したようですよ〜(^ ^♪
…と、それはともかく、香港で初めてのブロックチェーン関連のコミュニティスペースを提供することによって生まれるリアルな交流を通じて、企業間のブロックチェーン導入を促し、ブロックチェーンの社会実装からブロックチェーンに対するイメージ向上を果たしていくという具体的なビジョンが見えてくるように感じますね。
上に挙げた「明報」とは別に、BITWORKによるこうした動きを報じた「華富財經」の記事によれば、今回の動きには香港のIT企業を支援している「數碼港(Cyberport)」という産官協働組織も関わっているようです。
記事中、數碼港の事務局長である任景信さんは、「我們期待與BITWORK建立緊密合作,共同積極推動區塊鏈的發展,為業界培育更多新力軍,支援業界發展(私たちはBITWORKと緊密に協力し、共同でブロックチェーンの発展を積極的に推進し、業界のために多くのニューパワーを育て、業界の発展を支えていくことを期待する)」と述べています。
數碼港は公式ウェブサイトによれば、スタートアップへの支援を目的に、1000に及ぶ技術系企業が集まるとともに、香港特別行政区政府が100%出資する産官協働組織として結成されたようです。
特に、「金融科技(フィンテック)」、「電子商貿(イーコマース)」、「物聯網/可穿戴科技(IoT/ウェアラブル)」、「大數據/人工智能(ビッグデータ/AI)」の4分野への支援を中心におこない、「推動香港的智慧城市發展(香港のスマートシティの発展を推進する)」ことを目指しているようです。
香港が行政的な方針として「スマートシティ」の実現を目指していることは、以下の記事でも触れましたが、その具体的な動きを担う機関のひとつが「數碼港」だと位置づけることができそうです。
そして、その「數碼港」との協力のもとで今回のBITWORKの取り組みが進められていることを考えれば、ブロックチェーンに関するコミュニティの形成も、香港の「スマートシティ」化につながる動きとして捉えることもできるのかもしれません
いずれにしても、香港が都市としての競争力向上を目指して、至るところでブロックチェーンの活用を模索している様子がうかがえますね。
BITWORKの今回の取り組みは、オフィスをブロックチェーン関係者に開放することで、香港で初めてのブロックチェーン専門のコミュニティスペース構築を目指す動きのようです。
そうしたリアルなコミュニティでのつながり(B2BやB2C)を通じて、実際にブロックチェーンが企業活動のなかに導入されていくことを目指すと同時に、プログラムの育成も果たしていくということは、
今回の取り組みは単純なコミュニケーションスペースの提供というだけではなく、ブロックチェーンを育て、発展させていく、アクセラレーターやインキュベーターのような役割も果たしていくということなのかもしれません。
また、こうした取り組みの背後に、産官協働組織を通じた行政のビジョンとの関わりもうかがえ、香港としてのブロックチェーンに対するアプローチのひとつとして位置づけられるところも興味深いところです。
ブロックチェーンにアクセスするための多様なパイプが形成されることによって、確かにブロックチェーンに対するネガティブなイメージが少しずつ解消されていくのかもしれません。
こうした動きが実っていくのかどうか…これからもコツコツと動向を追いかけていきたいと思います!
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