(今回もアイキャッチは億ラビットくんさんのALISロゴ&キャッチコピー作成のページから作りました!カラーは記事に出てくるimmerseXのロゴから作りました)
新たな技術であるブロックチェーンは、社会のありようを変えていくことが期待されているだけに、既存のサービスにいろんな形で導入されようとしています。
それは分野を問わず…という形で展開されていきますから、たとえばMALISさんが記事にされていたように、ポルノ業界・アダルト産業へのブロックチェーン・仮想通貨の導入という動きも、もちろん進んでいます。
台湾でも、アダルト産業にブロックチェーンを導入しようという動きが現れてきましたので、書き留めておきたいと思います。
(文中の日本語訳はざっくりとした粗訳です。参考までに留めてご覧ください^^;)
・ImmerseXがアダルト産業にブロックチェーンとVRを活用
・日本のアダルト業界との提携
・そもそもimmerseXって?
・新たな技術にアダルト産業は欠かせない?
台湾の経済紙「工商時報」のウェブサイトに掲載された記事によれば、2018年8月23日に「immerseX」が記者会見を開き、これからブロックチェーンとVRを活用した新たなアダルトサービスを展開していくことを発表したようです。
記事中、immerseXの創業者である田浩洋さんは、今後実施を目指しているサービスの内容を以下のように説明しています。
玩家可以在平台上使用虛擬貨幣-IMEX幣交易,並透過VR虛擬實境享受高質量的娛樂內容,會員更可以根據自己的喜好,去創造與訂製互動娛樂內容。
(ユーザーはプラットフォームで仮想通貨、IMEXコインを使って取引ができ、VRを通した高品質のエンターテインメントコンテンツを楽しむことができる。会員はより一層、自分の好みに合わせて、インタラクティブなコンテンツを生み出したり、カスタマイズしたりすることができる)
より具体的には、「線上沉浸式成人內容觀賞(オンラインでの没入型アダルトコンテンツ鑑賞)」、「沉浸式成人娛樂內容創作(没入型アダルトコンテンツの制作)」、「線下沉浸式約會娛樂體驗(オフラインでの没入型出会い系ユーザー体験)」という3つのサービスを展開していく予定だとしています。
アダルト動画サービスと出会い系サービスにトークンを介在させることで「トークンエコノミー」のなかでこれらのサービスを展開していくと同時に、VRを活用したコンテンツを生み出すことで、「沉浸式(没入型)」と表現されるような、より密度の濃いユーザーエクスペリエンスを生み出すということのようですね。
また、今回の記者発表では、アダルトコンテンツの供給について、日本のアダルト業者との提携が合わせて発表されたようです。
台湾の経済紙「經濟日報」には提携先として、アダルトビデオ制作をおこなっているMAX-AとALICE JAPAN、アダルト女優さんの事務所であるMINE’SやDIAZ GROUPが挙げられています。
今回の記者発表にはこうした提携先の代表が同席し、提携合意書が交換されたとともに、女優さんの長瀬麻美さんや若月まりあさんが同席したとのことです。
ちなみにimmeeseXの公式ウェブサイトには、スペシャルアドバイザーとして長瀬麻美さんと友田綾也香さんの名前が挙がっています。
台湾はもちろん、アジアのアダルト市場で日本のアダルトコンテンツは広く行き渡っているので、今回のサービスにおいても必然的に日本から発信されるコンテンツが中心になっていくということのようですね。
immerseXの公式ウェブサイトには、トップに「A Revolutionary Platform that Offers an All-Encompassing Online-to-Offline Immersive Adult Experiences(包括的にオンラインからオフラインまでを含む没入型アダルト体験を提供する革新的なプラットフォーム)」というキャッチコピーが掲げられています。
まず、immerseXという名前は、「immersive(没入型)」から付けられていることがわかりますね。
提供を予定しているサービスは先の記事に挙げられていた3つですが、こうしたサービスをブロックチェーン上に構築する理由については、以下のように説明されています。
Immerse-X shall create a token economy and ecosystem to help foster and create original immersive adult content for loyal fans and viewers. Using blockchain technology, we can establish a new model that ensures content producers get rewarded for creating content, while viewers get rewarded for consuming them, all taking place in a safe and anonymous environment.
(Immerse-Xは忠実なファンと視聴者のためのオリジナルな没入型アダルトコンテンツを育て、生み出すことを助けるトークンエコノミーとエコシステムを作り出す。ブロックチェーン技術を用いることで、コンテンツ制作者がコンテンツを生み出して報酬を得て、視聴者がそれらを消費することで報酬を得ることができるような新たなモデルを確立する。そして、すべては安全で匿名化された環境で実施される)
トークンエコノミーやエコシステムといった既視感のあるフレーズが並んでいますが、そうしたシステムが、「コンテンツ制作者がコンテンツを生み出して報酬を得る」ことができるようなモデルの構築を目指して提示されていることは注目されます。
「性」をビジネスとするアダルト産業がさまざまな問題を抱えているということを踏まえたうえで、こうしたプラットフォームモデルはエンターテインメントやアートの世界で、クリエイターに正当な報酬を与えようという発想とつながる視点だろうと思います。
たとえば、台湾でも音楽や映画をめぐって同様の目的を掲げている以下のような取り組みがあります。
サイトに公開されているホワイトペーパーによれば、プラットフォームで発行されるトークン「IMEX COIN(IMEX幣)」はERC20トークンとして発行され、発行枚数は3億枚、パブリックセール時には1,000IMEX=100アメリカドルでの販売が予定されているということです。
上に挙げた「經濟日報」の記事によれば、今のところ1億8千万枚分のトークンが投資家へ既に販売済みということで、これからパブリックセールなどを経て、2019年初めにはプラットフォームを公開する予定だということです。
immerseXの公式サイトには、「Throughout its history, the adult entertainment industry has directed the growth of technological advances.(歴史を振り返れば、アダルトエンターテインメント産業は技術的進歩の成長を方向づけてきた)」と書かれています。
台湾のニュースサイト「ETtoday新聞雲」の記事には、immerseXの創業者である田浩洋さん自身も「成人娛樂市場一直都是新興技術的推動者(アダルトエンターテインメントマーケットはずっと新たな技術の推進者であった)」と語ったようです
冒頭に挙げたMALISさんの記事にも書かれていましたが、インターネットの黎明期にアダルト産業が普及の推進力になったという歴史があります。
日本のアダルト産業と提携しながら日本で生み出されるアダルトコンテンツをメインに、アジアのマーケットを目指してサービス提供を目指すimmerseXにとって、ブロックチェーンやVRは相互作用が期待できる技術なのだろうと思います。
また、ホワイトペーパーには、MALISさんの記事にも触れられていた「PornHub」の事例も挙げられていますから、世界的な先行事例も踏まえたうえでプラットフォームの構築が目指されていることがうかがえます。
こうした動きが生まれてくるということは、ブロックチェーンが多様な可能性を試されている黎明期にあることを示しているように感じます。
このような動向も頭に入れながら、ブロックチェーン・仮想通貨をめぐる動きをコツコツと追いかけていきたいと思います!
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