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ブロックチェーンが普及していくためには、イチからいろいろなサービスが開発されることも大切ですが、既存のサービスに導入されることもまた、スピーディに技術が広まっていくためには大切だと思います。
とりわけ、多くのユーザーをすでに獲得しているサービスに導入されると、普及のスピードは格段に上がりますね。
その点、LINEがブロックチェーンの導入を積極的に進めていることは大きな注目を集めていますね。
LINEが開設した仮想通貨取引所である「BITBOX」は日本がサービス対象地域から外れていることもあって、その後の動向がなかなか伝えられていないように感じますが、着々といろいろな動きを見せているようです。
今回はLINEがこうしたサービスに関わる人材を台湾でリクルートしたという情報を目にしましたので、少し書き留めておきたいと思います。
もくじ
・LINEがセキュリティ開発の人材をリクルート⁉︎
・LINEがブロックチェーンの導入によって見据えるのは…?
・LINEから、その次へ…?
台湾の経済紙「工商時報」のニュースサイトが2018年12月14日に掲載した記事によると、LINEがブロックチェーン技術に関するセキュリティ対策を強化する目的で、人材募集を台湾でおこなったそうです。
記事によれば、今回の募集で台湾では250人のスタッフを募集するということで、そのうち、セキュリティ管理とアプリセキュリティの開発に関わる人材を中心に、セキュリティ対策に関わるエンジニアの数を増やすことを目指しているということです。
この人材募集については、LINE Taiwanもプレスリリースを出していて、台湾のハッカーたちが集まっているHITCONの2018年大会にブースを出展し、リクルーティング活動をおこなったようです。
HITCONについては以下の記事に書き留めましたが、台湾最大のハッキング技術やネットセキュリティに関するイベントを毎年開催しているコミュニティで、イベントはこれまでもハッカーをリクルーティングする機会として、多様な企業に活用されてきています。
また、下記の記事にも書きましたが、台湾ではブロックチェーンの開発を進める企業が専門的な人材をリクルーティングする動きが現れてきています。
ブロックチェーンに関する人材の争奪戦が台湾でも始まっていることがうかがえますね。
もうすでによく知られているように、LINEは2018年8月にブロックチェーンを活用した「LINEエコシステム」の構築することを公表し、同年9月には5つのDAppsによって具体的な実現へとつなげていくことを明らかにしています。
日本でもすでに「4CAST」や「Wizball」が先行公開されていますし、日本とアメリカを除く海外では「BITBOX」がすでに稼働していますね。
こうした事業展開のなかで、ハッカー対策を中心としたセキュリティの強化を進めていくために、今回のリクルーティング活動がおこなわれたようで、上に挙げた「工商時報」の記事にも、2018年9月に発生したZaifの資金流出事件を引き合いに、その対策の必要性が言及されています。
同じく、台湾の経済系ニュースサイト「數位時代」の記事では2018年1月のコインチェックのNEM流出事件が引き合いに出されていて、LINEによるセキュリティ強化の方策、具体的には「Layered Security」の導入による対策強化について説明されていて、そうしたシステムの強化を目指したリクルーティングであることがうかがえます。
同時に、「數位時代」の記事には、単なるセキュリティ強化に向けた動きということだけではなく、次のシステム開発へとつなげていくような動きについても言及されています。
記事のなかで挙げられているのは、生体認証に関連するサービスの開発と、EUで始まったGDPR(General Data Protection Regulation、一般データ保護規則)への対応です。
特に、記事ではLINEがFIDOの「董事会」のメンバーであり、2019年には生体認証関連サービス続々と推し進めていく考えがあると書かれています。
FIDO(Fast IDentity Online Alliance)というのは、生体認証に関わる認証技術の標準化を目指して結成された国際的組織で、FIDOの公式ウェブサイトによると、LINEは「Board Level Members」に名を連ねています。
台湾で250人の人材を採用するという今回の大規模なリクルーティングは、こうした次の展開を見据えたうえで展開されていることが垣間見えますね。
すでに多くのユーザーを獲得し、世界的に事業を展開しているLINEのような企業がブロックチェーンの活用を積極的に進めていくことは、技術の普及と発展にポジティブな影響を与えると思います。
同時に、それはLINEが成長をしていくということだけではなく、ブロックチェーン関連業界が発展していくためにも欠かせないことだと感じています。
たとえば、ブロックチェーンの開発へと人材を流入させるために、Googleから羽ばたいて新たなスタートアップを立ち上げている人々がリクルーティング組織を立ち上げるような動きが生まれています。
台湾でも、たとえばシャープを買収したことで知られている鴻海グループから飛び出した人々が、ブロックチェーンを活用した新たなサービスを開発するような動きも現れています。
世界的に名だたる企業で経験と実績を積んでから、自らスタートアップを立ち上げて革新的な技術やサービスを生み出すという動きが広がれば、可能性の拡大と技術の普及はよりスピーディに進んでいくと期待できます。
LINEがこれからブロックチェーンをどのように活用していくかということに加えて、LINEで成長した人々がブロックチェーンの可能性をどのように広げていくのか…
いろいろな点で注目される動きだと思いますので、これからの展開をコツコツと追いかけていきたいと思います!