ブロックチェーンの技術が知らず知らずのうちに社会実装されるためのデバイスとして、「ブロックチェーンスマホ」が果たす役割は大きいように思います。
ブロックチェーンスマホの開発状況については、蟻巣さんが詳細な記事にまとめていらっしゃいますし、僕もこれまでに記事にしてきました。
今回は、僕の過去記事で取り上げた、台湾のHTCのブロックチェーンスマホの詳細が公開されたということで、少し書き留めておきたいと思います!
・HTCが「EXODUS1」の情報を公開!
・仕様はどうなっている?
・まずはコミュニティと開発者に向けて…
・日本での発売は?これからの世界展開は?
台湾のネットニュースサイト「ETToday新聞雲」が2018年10月23日に報じた記事によると、台湾のHTC(宏逹電)がブロックチェーンスマホ(區塊鏈智慧手機)の「EXODUS1」の情報を公開したということです。
詳細の公表については、「HTC EXODUS」の公式Twitterなどでこの日の公開が予告されていましたが、以下のツイートをによれば、現在、ドイツ・ベルリンで開かれている「Web3 Summit」の場で公表されたようです。
Web3 Summitの公式ウェブサイトに掲載されている開催日程によれば、10月23日のプログラムのなかに、「Phil Chen “Genesis to Exodus : The Journey from the First Android Phone to the First Crypto Phone” 」という講演が見えます。
Phil Chenさんというのは、今回のEXODUS1の開発リーダーである陳信生さんのことですね。
公式ウェブサイトも今までのワンペーパーだった状態から更新されて、いろいろなコンテンツが公開されています。
イメージ映像もこんな感じでYouTubeにアップされていましたので、雰囲気を感じてみてください。
EXODUS1の仕様については公式サイトで公開されていますが、日本語で読める記事としても、「phablet」に詳細な記載があります。
公式サイトに掲載されている仕様から、主だったところを挙げておくと…
ディスプレイ:6.0” Quad HD+ display with 18:9 aspect ratio
メインカメラ:12MP + 16MP main camera with high quality zoom
OS:Android O.(Oreo、8.0)
CPU:Qualcomm® Snapdragon™ 845
メモリ:6GB - DDR4x RAM
ストレージ:128GB - UFS2.1 Storage
その他:Zion Wallet
スマホとしての機能に加えて、「その他」のところに挙げた「Zion Wallet」が目を惹きますね。
ウォレットについては、公式サイトには「Secure your Bitcoin, Litecoin, Ethereum and more.」という記載があり、ビットコイン・ライトコイン・イーサリアムなどをサポートするようですね。
(and more の部分が気になりますが…^^;)
セキュリティシステムについては冒頭に挙げた僕の記事にも書きましたが、ソフトバンクが買収したことで知られるArmのセキュリティ技術であるTrustZoneがベースとなっているということです。
そのほか、データ保存のセキュリティを確保するものとして「Social Key Recovery」というシステムが採用されていますが、これについても上の記事に書き留めていますので、合わせて読んでいただければ嬉しいです!
今回の公式発表を受けて、EXODUS1の公式サイトのトップページには、「Get your Early Access」というメッセージとともに、予約購入ページへのリンクが貼られています。
支払い方法は、「ビットコイン」と「イーサリアム」が選択でき、2018年10月24日現在、ビットコイン払いの場合は0.15BTC、イーサリアム払いの場合は4.78ETHとなっています。
今の相場でいうと、だいたい10万5千円〜11万円といったあたりでしょうか。
上に挙げた「ETToday新聞雲」の記事には、今回の公式発表が「Early Access」であるとされている理由が、以下のように説明されています。
主要針對全球加密社群及開發者,並首度可透過比特幣或乙太幣在HTC Exodus官網進行交易購買,預計12月到貨。
(おもに、世界中のクリプトコミュニティと開発者に向けたものであり、同時に、初めてビットコインとイーサリアムによる購入をHTC EXODUS公式サイトで開始し、12月には届く予定となっている)
今回の発表は一般に広く購入を促すものであるというよりは、「全球加密社群及開發者(世界中のクリプトコミュニティと開発者)」に向けたものであるというのが気になるところですが、だからこそ、仮想通貨払いのみの設定になっていることがうかがえます。
「Early Access」の対象がこうした人々であるということについては、同じ記事で以下のように述べられています。
HTC廣邀來自世界各地的密碼學家和開發者加入Exodus社群,共同協助強化安全架構(Secure Enclave),並且宣布開放搶先體驗期間,HTC將透過在Telegram上的官方頻道“HTC EXODUS”邀請各界進行回饋,及協力改善電子錢包及安全儲存功能。
(HTCは世界各地の暗号研究者と開発者がExodusコミュニティに加わることを広く呼びかけ、セキュリティシステム(Secure Enclave)の強化に共同で向き合うと同時に、Early Access期間であることを公表し、HTCはTelegramに公式チャンネルを開設することで各界からのフィードバックを受け付け、デジタルウォレットとセキュリティストレージの改善への協力を求めている)
今後、APIの公開も予定しているということですから、広く開発に関わる部分について、世界中のコミュニティの関心を呼ぼうという姿勢がうかがえますね。
(ちなみに、ALISCTOの石井さんがEXODUSの公式Twitterに以下のコメントを残されています。返事が早く来ますように!)
「ETToday新聞雲」の記事には、発売地域について以下のように書かれています。
目前「EXODUS 1」在34個國家和地區開放申請,包括美國、臺灣、香港、紐西蘭、英國、奧地利、挪威及其他歐洲地區等。
(今のところ、EXODUS1は34の国と地域に向けて申し込み受け付けを始めた。ここには、アメリカ、台湾、香港、ニュージーランド、イギリス、オーストリア、ノルウェーおよびそのほかのヨーロッパ地域などが含まれています)
別のメディアの記事には、中国大陸は今のところ含まれていないということが書かれているものもありますが、「など」の中に日本が含まれているかどうかは、今日のところはわかりません。
これまで、HTCは日本モデルを発売してきた実績がありますので、こうしたグローバルモデルがすぐに日本で販売されるというのは、もしかしたら難しいのかもしれません。
ただ、クリプトコミュニティや開発者への呼びかけを広くおこなっているという方針もありますので、日本のこうした方面にどれだけ関心を寄せているかというところにかかっているのかもしれません。
実際に発売が予定されている12月までにいろんな動きがありそうなので、これからもコツコツと情報を追いかけていきたいと思います!