ブロックチェーンを活用したサービスがいろいろ開発されているなかで、「ブロックチェーンスマホ」は注目を集めている製品のひとつですね。
ブロックチェーンスマホについては蟻巣ジョシさんの以下の記事が手際よくまとめられていて、とても参考になります。
この記事でも取り上げられている台湾のHTCが開発を進めていた「EXODUS1」ですが、先行予約をしたユーザーの手元に製品が届き始めているようです。
世界で初めてのブロックチェーンスマホの販売は、タッチの差で「SIRIN LABS」の「FINNEY」にその座を譲ることになったようです。
ですが、EXODUS1も台湾のネットメディアによる実機レビューを見るといろいろと面白そうなことがわかってきましたので、少し書き留めておきたいと思います。
ちなみに、「WIRED」日本版に掲載された以下の翻訳記事から、EXODUS1が見据える将来像についてうかがうことができます。合わせてご参照ください。
・EXODUS1が予定どおりに出荷開始!
・BlockfolioやBraveが標準インストール⁉︎
・まだまだ「完成版」ではない?
台湾のブロックチェーン専門ニュースサイト「區塊客」が2018年12月7日に、HTCのブロックチェーンスマホ「EXODUS1」の「開封の儀」と実機レビューを掲載しています。
記事によれば、今回のEXODUS1の出荷についてはフィンランド・ヘルシンキで開催された国際的なスタートアップイベント「Slush 2018」の席上で、HTCの開発責任者であった陳信生(Phil Chen)さんが公表したようです。
以下、Slushの公式ウェブサイトに掲載されているアジェンダによると、「First Demo of HTC Exodus:Building a Foundation of Trust and Security」というテーマで、陳信生さんとライトコインの創設者であるCharlie Leeさんが登壇したようです。
登壇の様子については、陳信生さんのTwitterにもツイートが上がっていて、現場の様子も含めて動画がYouTubeにアップされています。
発表に合わせて購入者に製品が届くという演出がされたようで、それに応えるように「區塊客」も速やかに実機レビューを上げたという感じですね。
このあたりは、台湾のブロックチェーン業界における連携の様子をうかがうことができます。
「區塊客」の記事は開封の儀から実機レビューまで、写真入りで詳細にまとめられていますので、中国語が分からなくても日本の同類記事と同じように楽しむことができます。
ハードウェアの構成については、冒頭に挙げた僕の過去記事に書き留めた事前の情報どおりの内容となっていて、HTCの最新フラッグシップモデルである「U12+」をベースとしているようです。
ただ、イメージ動画でも「かっこいいなぁ!」と思っていた本体背面のスケルトン柄はステッカーだということで、若干、残念…と感じました。
そのほか、ウォレットとして「Zion Wallet」が標準装備、ブロックチェーン育成ゲームとして人気の高い「CryptoKitties」もプリインストールされているということで、このあたりも事前の情報どおりとなっているようです。
Zion Walletは今のところ、ビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、およびERC-20トークンをサポートしていて、これらとは別に、CryptoKitties用のERC-721もサポートしているということです。
そのほか、事前の情報では公開されていなかった内容としては、「Blockfolio」と「Brave」がプレインストールされているようです。
Blockfolioは公式ウェブサイトにも書かれていますように、世界的な仮想通貨ポートフォリオ管理アプリですね。
また、Braveについてはこちらも蟻巣ジョシさんが詳細な記事にされていますが、広告を表示しないブラウザとして注目が集まっていますね。
ブラウザに何を採用するのかなということは論点のひとつでしたが、ここにブロックチェーンを活用したBraveを採用したというのは、セールスポイントのひとつだと言えるかもしれません。
EXODUS1はブロックチェーンスマホということで、ブロックチェーンをどの程度まで活用しているのかというところが注目されていましたが、まずはウォレット、DAppsゲーム、ポートフォリオ、ブラウザという4つのフィールドで試行していくということのようですね。
Slushのイベントに陳信生さんと一緒にライトコインのCharlie Leeさんが登壇していたことに合わせるように、EXODUS1の購入に使用可能なコインとして、ビットコインとイーサリアムに加えて、ライトコインが追加されています。
購入には仮想通貨のみ受付ということになっていることも注目されますが、2018年12月9日現在、すでに在庫なしとなっていて購入することはできません。
ちなみに、冒頭の過去記事に書いたときの価格は0.15BTC、4.78ETHとなっていて、このときの相場では約11万円でしたが、今の相場だと約6万円弱となっています…このあたり、価格の変更があるかもしれません。
なお、冒頭の記事にも書きましたが、EXODUS1を今回手に入れたのはブロックチェーンの開発者やブロックチェーン・仮想通貨コミュニティにいる人々に限られています。
それは、今回の機種がまだまだ「試用版」であり、セキュリティ面も含め、どのような形でブロックチェーンの特性を活かすことができるのかを、実機を手にした人々とともに開発・試行していくという理由があるようです。
つまり、「WIRED」の翻訳記事でも言及されていましたが、ブロックチェーンスマホの可能性(や危険性)については、まだ継続して検討が進められている段階だということのようです。
ですので、一般販売にはまだ時間がかかるようですが、少なくとも実機がブロックチェーン開発関係者の手に渡ったということで、これからの展開が期待できます。
これからさまざまなレビューが上がってくると思いますので、コツコツと情報を追いかけていきたいと思います!