ブロックチェーンは「分散型台帳技術」と日本語で表現されるように、データの記録・保護を主な特性として持っていますよね。
そうした特性が仮想通貨の「価値の保存」を可能にしていますし、食品トレーサビリティや著作権保護といった分野でも注目され、実際のサービスとして実現・普及されつつあります。
今回は、こうした特性を活かしたサービスのひとつとして、グッズオークションプラットフォームを運営するスタートアップの動きが目に止まりましたので、少し書き留めておきたいと思います。
・Fansdaqが発行する独自トークンが上場⁉︎
・そもそもFansdaqって?
・ファンエコノミーは上手く回る?
台湾の経済紙「經濟日報」が2019年3月11日に掲載した記事によると、香港に拠点を構えるスタートアップ「Fansdaq(粉絲達克)」が発行する独自トークン「FansGold(粉金)」が、シンガポールの仮想通貨取引所「MBAEX」に上場したということです。
MBAEXは公式ウェブサイトにも、「東南アジア最大のブロックチェーンアセットトレードプラットフォーム(东南亚最大的区块链资产交易平台東南)」とありますように、取引量の大きい取引所として知られていますね。
個性的なトークンがいくつも上場されているようで、以下の記事でも触れましたが、台湾の航空会社「遠東航空」が発行するALLNトークンも上場しています。
記事中、Fansdaqの創業者でCEOの黄維倫さんが「FansGold」の活用方法について、以下のように語っています。
FansGoldの初期流通は、主にFansdaqのアイドル取引所、Fansdaqショップ、Fansdaqムービングキャッスル、Fasdaqホログラムデバイス(FHD)のビジネスエコシステムで活用する
(粉金初期的流通將主要在粉絲達克的明星交易所、粉絲達克商城、粉絲達克移動城堡跟粉絲達克全息智能產品(FANSDAQ Hologram Device - FHD)的產業生態鏈下應用)
将来的には、ゲームや映画、コンサートといった総合的なエンターテインメント産業への活用を目指しているということですが、まずはFansdaqが提供するサービスでの流通を展開していくということですね。
Fansdaqの公式ウェブサイトには、「The first Asian celebrity Stock Exchange(亞洲第一娛樂名人限量週邊競標互聯網)」というキャッチコピーが掲げられています。
この点、もう少し詳しく、以下のような説明が掲げられています。
私たちは、独自の限定アイテムオークションプラットフォームを生み出し、アイドルを応援するファンたちが私たちのプラットフォームを通じて好きなアイテムを購入したり、アイテムへの投資によって、評価と運用を通じた利益獲得を可能にする。
我們創建一個獨特的限量周邊商品競標交易平台,讓喜好明星的粉絲們,透過我們的競標平台購買喜愛的商品,或是進行商品投資,進而經由評估與操作得到獲利。
いわば、アイドルの限定グッズをオークション方式で購入することができるプラットフォームということのようですね。
サービスの概要については、以下のような動画がYoutubeにアップされています。
いわゆる「ファンエコノミー」の確立を目指したプラットフォームであることがイメージできますね。
こうしたサービス確立のためには、実際にアイドルや所属事務所がこのプラットフォームを使うことがポイントになると思います。
この点、公式サイトには、「台湾、中国、香港、韓国のレコード会社やエンターテインメント会社と提携(透過台灣及中國、香港、韓國的唱片娛樂公司及娛樂經紀公司的合作)」していると書かれています。
ただ、「アイテム取引所(商品交易所)」のページを見ると、まだサービスは始まっていないようですね。
サービス開始は2019年ということですから、これからどう展開していくか未知数なところがありますが、協力パートナーには中国の金融決済大手の「銀聯」や台湾の大手携帯キャリア「遠傳」が名を連ねています。
また、中国、台湾、韓国、シンガポールにすでに拠点を開設し、台湾ではリアル店舗の展開も予定しているということです。
技術的には、前段で触れた「遠東航空」のALLNトークンにも採用された、実名制パブリックチェーンを開発しているMAXONROWの技術を活用しているということです。
今回のトークン上場も含めて、これからの展開が期待されているスタートアップと言えるかもしれませんね。
こうした「アイドル×ファン」を限定商品の売買によってつなぐプラットフォームは、ブロックチェーンの活用例としては特性を活かすサービスとしてありうると思います。
ただ、こうしたファンエコノミーが上手く回るかどうかは、ブロックチェーンの特性以外の要素がいろいろと関わってくるように感じます。
たとえば、上にも述べましたが…
実際にこのプラットフォームにアイドルグッズが提供されるかどうか
そこにファンが食いつくかどうか
あからさまに売買・投資の対象としてアイドル限定グッズを扱うことへのイメージがどうなっていくか
などなど…
まだまだサービス展開はこれからということのようですから、こうしたハードルをどのように越えていくかが、成功の鍵になってくるように思います。
ファンエコノミーのひとつの形として、こうした取り組みが成功するかどうか…これからの動きをコツコツと追いかけていきたいと思います!