(夏の台湾はフルーツが美味しいですよ!この写真にはほぼバナナしか写っていませんが(^^;)
中央集権的な取引所の問題がいろいろと取り沙汰されるなかで、DEX(Decentralized Exchange、分散型取引所)の注目度が上がってきていますね。
DEXもEtherDeltaやBancorがハッキングを受けたように、決してハッキングの可能性がゼロであるわけではありませんが、その安全性には大きな期待が寄せられています。
近年、さまざまな種類の仮想通貨取引所が開設されている台湾からも、アジアで初めてのDEXという触れ込みで開設された取引所があります。
台湾発のDEX「スタービット(STAR BIT、思達比特)」については以下の記事に書きましたが、いろいろな事業展開を打ち出していて注目を集めています。
今回は世界中のDEXとのつながりを考えるうえで少し目に留まった動きがありましたので、少し書き留めておきたいと思います。
(文中の日本語訳はざっくりとした粗訳です。参考までに止めてご覧ください(^^;)
・スタービットと0x Protocolの新たな提携!?
・0x Protocol V2って?
・プロトコルをどう活用していくか?
・新たな技術を、実現したい世界のために…
台湾の大手紙「自由時報」のウェブサイトに掲載された記事によれば、台湾発のDEXである「スタービット」を運営する思偉達創新科技(STAR BIT Innovation)が、分散型プロトコルを提供する「0x Protocol」と次期プロトコルの「V2」に関する提携を発表したそうです。
上に挙げた記事にも書きましたが、スタービットはもともと0x Protocolが提供しているスマートコントラクトプロトコル(智能合約協議)を基に取引所のサービスを構築しています。
「自由時報」の記事によれば、0x Protocolが提供しているプロトコルはDEXにおける取引量全体の6割以上で利用されているので、スタービットが特別であるわけではないのですが、今回、これからローンチされる予定の次期プロトコル「V2」との提携をスタービットが公表したということのようです。
0x protocol V2については、「自由時報」の記事には以下のように説明されています。
0x Protocol是一種無須申請的開源協議,0x Protocol V2改善的部分,包括升級版智能合約、全新支援ERC721代幣、以及高效率撮合訂單、新型簽章與自定義邏輯
(0x Protocolは申請を必要としないオープンソースプロトコルで、0x Protocol V2の改善部分は、バージョンアップしたスマートコントラクト、ERC721トークンの全面サポート、効率性の高いオーダーマッチング、新たな署名とロジックのカスタムを含む)
このあたりは、0x Protocolによる公式の説明を少し見ておきたいと思います。
0x Protocolの公式Mediumページの説明によると、V2の概略が以下の7点にまとめられています。
・New smart contract architecture; seamlessly support new token standards. Support for ERC-721 at launch(新たなスマートコントラクトアーキテクチャ;新たなトークンスタンダードをシームレスにサポート。ローンチ時にERC721をサポート)
・More efficient order matching and cross-relayer arbitrage(より効率的なオーダーマッチングとクロスリレイヤーアービトラージ)
・Support for new signature types and custom verification logic(新たなシグネチャタイプとカスタム検証ロジックのサポート)
・Open source framework for “forwarding contracts.” Easy user on-boarding, abstraction of WETH, and trade widget support.(「フォワーディングコントラクト」のためのオープンソースコントラクト。簡単なユーザーオンボード、WETH(Wrapped Ether)の抽象化、トレードウィジェットのサポート)
・Ability to create “filter contracts” for permissioned liquidity pools(許可された流動性プールのための「フィルターコントラクト」を生み出すアビリティ)
・Bulk order cancellations with a fixed sized transaction(固定サイズのトランザクションのための一括注文の取り消し)
・Projected launch: late July, 2018(プロジェクトローンチ:2018年7月下旬)
…う~ん、訳してみると、ほとんど英語そのままのカタカナばかりになってしまっていて、自分の力不足を再認識します(^^;
ですが、売買を仲介する「リレイヤー」によって取引を管理するシステムを導入している0x Protocolの特徴のバージョンアップにかかわる点が多いように見受けられます。
特に注目されるのは、ERC721規格のトークンをサポートすることになる点でしょうか。
このことは上に挙げた「自由時報」の記事でも、スタービットのCEOである鄧萬偉さんのコメントを特に引用する形で注目されていることがわかります。
DEXであるスタービットがこの点に注目する理由は、現在のERC20トークンに加えて、取り扱い可能なトークンの数が、現時点で300~400種類増加することにあるようです。
取引所として、取り扱うことのできるトークンの種類が増えるということと、パーソナルなメタデータを反映させることで「代替不可能」な個性豊かなトークンを発行できるERC721トークンを扱うことができると、取引対象が格段に広がるというメリットが注目されているようです。
また、スマートコントラクトプロトコルのバージョンアップによって、取引スピードの向上と取引手数料の低価格化を実現しうるということで、取引所の特徴をより強化するものとして期待されているように感じますね。
ちなみに、上に挙げた0x ProtocolのMediumページにはローンチが2018年7月下旬予定とありましたが、「自由時報」の記事では2018年9月予定と書いてありました。
また、スタービットは0x Protocolとの提携と合わせて、DEXによる「グローバルアライアンス」を結成することと、手数料の一部を慈善事業へと分配することのできるシステムの構築を打ち出したようです。
DEXによる「グローバルアライアンス」の結成については、2018年6月に開催された「COMPUTEX TAIPEI 2018」の場でも既に公表されていて、いくつかの著名なDEXからアプローチがあったといわれています。
また、慈善事業とのつながりについても、スタービットのCSRの一環として具体的な取り組みが始まっています。
特に、慈善事業に対する支援については、「自由時報」の記事に、鄧萬偉さんの以下のコメントが掲載されています。
未來思偉達也計畫協助慈善機構或弱勢家庭,開設數位錢包,讓社會善款捐贈可以更公開透明運用
(将来的にスタービットでは慈善団体や経済的に厳しい家庭を支援することを計画していて、デジタルウォレットを開設して、チャリティ活動が運用状況をより透明に公開できるようにする)
0x Protocolの技術を使って手数料を下げることができる…ということをどのように活かしていくのかというところに、スタービットの企業としてのスタンスを見ることができますね。
今回取り上げたスタービットの動きには、ブロックチェーンをめぐる最先端の技術との連携から始まって、そうした技術が具体的に取引所へどのようなメリットをもたらすかということが説明されているとともに、そこからさらに、どのような事業へとそうしたメリットを活かしていくかということがうかがえました。
このような形で、ブロックチェーンなどの新たな技術をどのような事業を、どのような社会を、どのような世界を実現するために活用していくのか
…というところが語られているところに、スタービットという企業が注目されている理由を見て取ることができるように感じます。
ブロックチェーンをひとつの手段として、人々がいつのまにか新たな生活を享受しているというのが、こうした技術のあるべき姿ではないかと思います。
スタービットは0x Protocolの新たな技術を使ってどのような世界を実現していくのか…これからの展開について、引き続き追いかけていきたいと思います!
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