「眼でキャスティングした。スナイパーの眼をしていたから」と「スターリングラード」のジャン=ジャック・アノー監督がなにかのインタビューでいっていました。主演のジュード・ローを起用したことについてです。
たしかにジュード兄さん、目ヂカラが強いです。
このシュッとした目ヂカラがスナイパーという役柄に説得力をもっています。
でも、腕の良いスナイパーはけっこうボーッとしてるとか。
隆慶一郎の小説に「もっさり銃」という言葉が紹介されていて、「陸軍では茫洋とした人のほうが銃の腕がいいとされていた」なんて記述がありました。俊敏な人は気が散ってしまうので、多少鈍感な人のほうが良い狙撃手になれるという説明がされていました。
実際、スナイパーというのはチャンスをじっと待ち続けるわけで、動作は人差し指の数センチだけ。一瞬ですね。動かないでいる時間のほうがずっと長い。
たとえるなら、「ダルマさんころんだ」でまったく動かないタイプ。または、頼んでもなかなか動かない上司または部下、脱いだものは洗濯機に入れてと奥さんに何度頼まれても実行できない夫。外出前に「財布がない!」と毎回ドタバタする人。
ジュード兄さんにはこういうイメージまったくないですね。
ということで、リアリティにこだわるとミスキャストなんでしょうが、映画としてはベストなキャスティングです。
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