2019年の午後のロードショー、一回目の放送は「コン・エアー」でした。
主演はニコラス・ケイジさん。
ニコラスさんといえば、「ニコラス映画にハズレなし」と一部の映画ファンに言わしめるほどの男です。
そんなニコラスさんのキャリア、すごく変わっていますね。
アート系映画の多数出演し、「リービング・ラスベガス」でアカデミー賞を取ったあと、まさかのアクションスターへ転向。
「おれは芝居もできる!」といってがんばるのはよくある話ですが、「おれはアクションもできる!」とがんばるのは、アカデミー主演男優賞をとった俳優としては異例のことです。
きっと周囲からは「気は確かか?」と言われたにちがいありません。
当時のニコラスさん、やたら鼻息荒いです。「ザ・ロック」「フェイス/オフ」「スネーク・アイズ」・・・。アクション路線を確立しようという気迫がビシバシ伝わってきます。そして、実際に傑作を世に送り出しています。
そんななかにあって「コン・エアー」。
面白いか面白くないかというと面白い映画です。でも、それ以上のインパクトはニコラスさんのルックスでしょうか。
似合わないロン毛、顔と不釣り合いな筋肉。無精ヒゲがワイルドかというと、ただ単に小汚いという。きっとニコラスさんなりにセクシーを狙った結果、あのような事故が起きたのではないのでしょうか。
事故と書いてしまいましたが、痛々しさはありません。
それはなぜかというと、我々は今ニコラス・ケイジという歴史を目撃している、という気分にさせるからでしょう。
もしかしたら、クリント・イーストウッドのように、映画史やジャンルを体現する存在になるのかもしれません。