こんにちは!みんなもうすぐ夏休みも終わりだね✨
今回は学校の宿題がてら大街さんのこの企画に参加します!
いったいどんな本を読もうかと悩んだんだけど、学生でお金もないし新刊は無理なので家にある本を読み返すことにしたよ!17歳のジョシ校生らしく、夏休みに初恋と冒険がはじまり美しい記憶となるような小説をセレクトしました‥‥‥
こちらです。
もともとはパンクバンド「INU」のボーカリスト町田康さんが1998年に発表した小説「屈辱ポンチ」に収録してる短編です。ほぼ全編口語体で書かれており、疾走感溢れる漫画のような展開なんで、普段活字に縁のないALISのお兄ちゃん・お姉ちゃんにも1〜2時間でスッと読めてしまう作品です。私は現在無職なのですが、この私の現在の状況と照らし合わせて、「こうはなりたくないなぁ」と思わせてくれる戒めとしても最適な一冊です。
脚本家である主人公の佐志は、妻が留学という名の逃亡でいなくなったことを機にまるで世界中のすべてが自分の敵になったかのような荒んだ生活を送っていた。かつての仕事仲間にも無下にされ、近所では悪い噂を流され、家は荒れたい放題で謎の肉食虫が湧き、折り合いの悪い義父からは今安く貸している家をマンションにするので早く出ていくように催促される八方塞がりな状態。そんな中、かつて日本中を沸かせたと映画を撮ったいう映画監督の楮山が新しい映画を撮るということで、なぜか佐志にシナリオを依頼してくる。ただしシナリオをつくる期間はとても短く、早速シナリオハンティングのため取材に訪れた様々な場所で佐志はさらなる不幸に見舞われる‥‥
主人公の佐志ですが、まあ上の軽い紹介からもみて取れるようにあまりロクな人間ではありません。クズです。なぜ仕事が来なくなったのかは明言されてないですが、著名な映画監督と喧嘩をしたり、脚本で義父をモデルにしたキャラクターをボロカスにしたりと、まあ日頃の行いが悪いからなんだろうなと感じることができ、作中の口語表現からもすぐに暴力に走ってしまいそうな育ちの悪さを存分に感じる、まったく共感できない人間性なのですが、この主人公に哀れみの心を持ってしまうほど理不尽な出来事が次々と襲い掛かります。初めて読んだときはあまりに不幸すぎてちょっとかわいそうだとドン引きしたのですが、いまでは爆笑できるようになりました。とにかく主人公以外の登場人物が狂人ばかりで不幸のジェットコースターとでもいう内容です。
シナリオハンティングでとある街を訪れた佐志。カメラを持ち駅前の本屋で地図を購入した際に、「この辺にゴミ処理場はないか?」と愛想の悪い店員に質問しただけなのに警備員にぼっこぼこに暴行を受けます。傷だらけで目を覚ました佐志ですが、彼を助けて運んでやったという若者に「誠意」と称して金銭を要求され、結局払ったうえ追加料金で駅まで送ってもらうのですが、金がないため「誠意」の領収書を要求します。
実際自分がそんな状況になったら恐怖しか無いんですが、人ごとなんでにやけてしまいます。領収書のくだりが佐志のせこい人間性がよく出ていて好きです。
ある街でシナリオハンティングした際に街をぶらぶらしてると、人通りは多いのになぜかすごい静か。よくみると若い女性がみんなそうめんを口から半分垂らし、マーライオンのような顔で歩いているではありませんか。そんなにうまいそうめんなのか?と興味を持った佐治ですが、実際そのお店を見つけて食ってみたところくそまずかった。
世界観が意味不明で真夏の夜の悪夢のような感じが好きです。何か日本の常識の通用しない別世界に迷い込んだ気分なります。
雨に打たれて倒れる寸前だった佐志ですが、田島という青年に助けられ家に運ばれます。高熱が出て一刻も早く帰りたい佐志。しかし田島はどこかおかしくこの時間だと電車もないし今日はバーベキューをしてそのあと俳句パーティーをやろうと提案します。当然無理なので断るのですが、田島はいじけて爆音で音楽を鳴らし部屋中をバットで壊し始めるため、しょうがなくバーベキューにつきあうとこと‥。
風邪で倒れる寸前なのにバーベキューという組み合わせがほんとツボです。田島は実世界にいたら絶対に関わりあいになりたくない人間ですが、佐志がどのように対処するのかも見ものですね。ちなみに映画化もされており、この田島という青年は鳥肌実中将閣下が演じてました。割とイメージぴったりです。
短編なのでこれ以上紹介すると全バレとなってしまう気もするのでこれくらいにしておきますね。ちょっとクセが強いんじゃ‥だけど、とにかく疾走感がすごくさらっと読めるので読んだことない方はぜひ読んでみてください!