「京大医学部4名合格講師」による受験対策講座(214)
自営業の人は60歳前後で、店じまいを考え始める人が多いようだ。若い頃は何故なのかよく分からなかった。しかし、自分が60代になって理由が分かるようになってきた。
私の場合は「塾経営」という自営業だ。30代の頃は、生徒や保護者から苦情が出ると反省することが多かった。苦情を言ってくる保護者は自分より年上だし、こちらは未熟な経営者だから苦情に耳を傾けるのは当たり前のことだった。
それに、30代はちょうどローンの返済中であり、子育て中であり、子どもたちの学費を稼がなければならないでしょう?それは、どんな職種でも共通していることだと思う。
しかし、60代となるとローンは完済し、子どもたちは結婚したり経済的に独立していく。苦情を持ち込む保護者は自分よりずっと若い経験値の低い人たちばかりになってくる。
すると、30代とは違った視点が生まれる。
「こんなワガママな苦情に耳を傾ける必要があるのだろうか?」
という視点だ。どんなに努力しても、一定数(一割くらい?)の人は決して満足しないクレーマー気質であることに気づく。
そして、仕事が嫌になってくる。引退が近づいたということだ。そして、店じまいを考え始める。苦情に対応する気力も体力も無くなってくる。無理をしても、社会からズレ始めて周囲に迷惑をかける。
若い頃は、店をたたむというのは「敗北」だった。競争相手に敗北。ところが、60代になると
「30年間以上の続けられたのだから、敗北ではないなぁ」
と思い始める。
貯蓄もあり、年金ももらい始めると、
「今が潮時かな」
と思い始める。そうやって「老兵は死なず。ただ消え去るのみ」が実現する。
『老兵は死なず、ただ消え去るのみ』
アメリカ陸軍元帥、ダグラス・マッカーサー(Douglas McArthur 1880/1/26-1964/4/5)が、1951年4月19日にアメリカ議会で行った別れの演説の締め括りに述べたものです。原文は
Old soldiers never die; They just fade away
高木繁美
「高木教育センター」塾長。名古屋大学卒業後、アメリカユタ州のローガン中学校で教師をした後、帰国。英検1級、通訳ガイドの国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級などに合格。少林寺拳法二段。ジャッキー・チェンの前でヌンチャクを披露したことが自慢。「私の京大合格作戦」(エール出版)2020年度版から2022年度版に漫画化されて掲載。チャットワークを用いた質問無制限の通信添削を全国の難関校受験生対象に募集中。「高木教育センター」検索。