最近読んでいる本『ビジネスモデル 2.0 図鑑』の中から今日は、「商品やサービスを購入するための判断材料としての顧客体験」について着目してみたいと思う。
スマートフォンの普及により、
「直接お店に足を運んでその場で商品を購入する」ことの他に、デバイスを通じて「オンライン上で商取引がなされる」ようになった現代。
その現代において「リアル店舗」での顧客体験は
とても重要視されるものとなった。
それは、オンライン上での商取引という非常に「便利」な購買環境が誕生したことによって、
「実店舗」と比較したメリット・デメリットというのが日に日に浮き彫りになっていった結果、
これから紹介するような斬新な「顧客体験」というのが世の中にいくつも出てくるようになったからではないかと僕は考える。
それは、
「実店舗」では購入を一切させずに
実店舗で手に取って試着した服をECサイトで決済して購入完了、という顧客体験である。
その本で紹介されていたのは
男性用ボトムスを起点として現在展開されている
米国発の「BONOBOS」というメンズアパレルブランド。
これまでの我々の価値観として、
試着から店員さんとのコミュニケーション、そして購入まで、一気通貫で顧客体験を形づくってきたという性質をもった「実店舗」から
最後の肝心な"オチ"とも呼べる「購入」の部分を
盛大に取っ払い勝負を仕掛けたことに対しては
正直驚きを隠せない。
実施当時、はたしてそこに明確な勝算はあったのだろうか?
正直、並大抵の認識からそのような発想と実行は
生まれてこないはずである。
頭の中で妄想らしい妄想ができたにしろ、
それを現実的な形で実行したことがすごい。
新しいその「顧客体験」を説明するとこうだ。
商品を「試着」するだけの場合の店舗側からすると厄介な「在庫管理」に対して労力をほとんど割かずに済み、それによって余った時間で
お客様を1対1で徹底的にエスコートする。
ご来店したお客様は
店員さんにコンサルしてもらいそこで気に入った商品を注文し、後からECサイトで決済を行うそうだ。
これはまさにお店側の「労力」をどこに割き、
お客様の顧客体験のうちどの「価値」を優先させるのかという話であり、
私生活で例えると
我々は1日の24時間をどんなふうに使うのか、
もしくは可処分時間をどう使って自分を満足させるのかという考え方に近いように感じられた。
そしてこの事例に対してさらに言及すると、
僕自身、新しい洋服がほしくてお店に立ち寄ってみるような時、どちらかというとお店の人とのコミュニケーションがそこまでしたいとは思えない。
勿論店員さんの対応が親切なのは分かるんだけど、僕は自分の予想、もしくは意図していなかったタイミングで話しかけられることに対して時々違和感を感じてしまうタイプの人間だ。
また店員さんが笑顔で愛想が良すぎるからこそ
購入せずにトボトボとお店を後にするのは
なんとも言い難い状況が生まれてしまうように感じてしまう。
そのような僕のような人間もいる中で、
今回のこのようなサービス形態は、気を遣わない「前提」で店員さんと話が出来るという点でなお良い。
時代によって新しく出てくる「価値観」を
どのような形で現代の人々の感性へと寄せていくのか、それを考えていくことが僕は好きだ。