Avacusは31日、VACUSの新たな価値向上施策としてBuyback方式の採用を発表した。
この記事では「BTC建てのShopping取引で得た手数料収益を発行済みVACUSの買戻しに充て、買戻したVACUSを全額バーン(焼却)する」というこの還元メカニズムについてまとめ、解説していく。
VACUS(バッカス)は、Avacusが発行するトークンで、Avacus上でAmazonショッピング・クラウドソーシング・フリマ、QR決済、と幅広い実需を満たす暗号資産プラットフォームの決済通貨として利用することができる。
大きな特徴は、Avacusを利用するユーザーが増え取引量が拡大することでホルダーの利益が最大化されるように設計がされていること。2018年の仮想通貨トークンブームが去ってもなおAvacusには熱量が高く活動的なユーザーが多いが、このホルダーインセンティブによるところが大きい。
保有することでShoppingの割引率を高く設定できるようになるほか、サービス内での特典や手数料収益の還元といったメリットを享受することができる。
Bitcoinのブロックチェーン上に作られたCP(カウンターパーティー)ベースで発行されているため、取引所での購入にはXCPの用意が不可欠であったが、分散型取引所であるRaizer(ライザー)の登場によりBTC建てでも購入できるようになった。現在では、VACUSの購入はBTC建てが主流となっている。
▼Raizerについて詳しくはこちら
BTC建てでCPトークンの売買を可能にした分散型取引所Raizer DEX
取引所で購入する以外にも、AvacusでBuyer取引をして買い集める、あるいはAvacusAskで仕事をしてVACUSを稼ぐ、AvacusBazaarで身の回りのものや手作り品、農産物などを販売する、といったようにAvacusをつかってVACUSを手に入れることも可能だ。 Avacus内での取引は市場でのトークン価格に影響を与えないことがAvacusならではのユニークなアドバンテージとなっている。
AvacusPayのマイクロペイメントを活用すれば投げ銭のようなかたちでVACUSを受け取ることも可能だ。実際にスポーツ分野へVACUSでの投げ銭を導入していく取り組みも行われている。
暗号資産の技術的なトピックには関心がなかったけれど、これらの活動をきっかけにVACUSに興味を持ち、初めて暗号資産を手にするという人もいる。
Avacusというプラットフォームは、これまで主に投機や投資目的での用途しかなかった暗号資産をライフスタイルに取り入れることを提案し、暗号資産への間口を一般に広くひろげるポテンシャルを持つ。そのサービスが育つと利益を得られるトークン、それがVACUSというわけだ。
AvacusのBTC取引で発生した手数料収益の75%を、RAIZER/BTC市場での買い戻し注文の作成に使用し、市場の売り注文を吸収する。なお、Avacusが買い戻した全てのVACUSは毎月バーンされる
*バーン(Burn)とは?
紙幣を燃やして焼却することになぞらえ、秘密鍵のわからない取り出し不可能なウォレットへ暗号資産を送信することで消滅させること。トークンの希少性価値を高めるために行われる
Shopping取引の手数料はShopper(暗号資産をつかって買い物をする人)が設定するディスカウント金額の10%で、このうちの75%が買い戻しのために使用される。
ポイントは、買い戻されバーンされるのは運営や開発者が保有するVACUSではなく、「市場に出回っているVACUS」である点だ。定期的に買い注文が売り板にぶつけられる形となり、市場に流通しているVACUSの価格維持と買い上げによる価格上昇が見込める。そしてバーンにより浮動VACUSが物理的に減されるため、Buybackされた分だけ1VACUSの希少性価値は上昇する。
現在、VACUSは抽選方式とよばれるメカニズムによってユーザーへ利益還元が行なわれている。
抽選方式ではAvacusで取引が行われる毎に抽選が発生し当選したアドレスが手数料収益の75%を獲得する。当選確率は保有数に比例し、トークンを持っているほど当選しやすい。これはVACUSを大量に保有する・保有しつづけるインセンティブとして素晴らしい機能を果たす反面、どうしても少量ホルダーの当選確率は高いとは言えず、ホルダーの中にも還元が当たりやすい人と当選にほぼ縁がない人が存在する。
Buyback方式の場合は、理論上はVACUSを保有しているだけでその価値は上がり続けるということになり小口のホルダーでも恩恵を受けやすいインセンティブデザインと言えよう。
近日中にAvacusのBTC(ビットコイン)取引でのBuyback運用が開始されるが、BTC取引以外の通貨に関しては当面は抽選方式による還元が継続される。
競合他社であるPurse社の閉鎖報道を発端に海外ユーザーが大量に流入するという大きな動きが見られたのはほんの3か月前のこと。この流れがAvacusの方向性を大きく変えたと言っても過言ではない。
特にブラジルなどを中心としたメカニカルタークのワーカー層から圧倒的な支持を集めシェアを奪いつつある。彼らにはAmazonのギフト残高を換金したいという大きな需要がある。 おまけにCOVIDで失業者は増え自国の通貨は先行き不安、ビットコインやステーブルコインの需要はますます高まるだろう。
今後もユーザー数は著しく伸びる見込みだ。Avacusでの取引が増えるほど、当然Buybackされる金額も大きくなっていく。そうなるよう、ホルダーとして海外ユーザー向けの有志企画や発信を増やし、成果を上げられるレベルにまで引き上げていきたいと個人的にも思っている。このようにユーザーが自発的に参加して企業を盛り上げよう・貢献しよう・コミュニティを拡大させようというモチベーションはまさにVACUSのインセンティブデザインによるところであるし、Avacusの価値でもあり面白さでもある。
VACUSの価格に関しては、仮想通貨ブームの終焉を経てビットコイン共々2019年はじっくりと底値圏を形成する1年だったと言えよう。2020年はチャート的にも反転の兆しが見えるものの、安値覚えという相場用語があるように長期間の下落を経験した後は急落を恐れてなかなか買えないというのが一般的な心理であろう。そこで今回発表されたBuyback方式による明確な買い上がり需要と直接的な価値向上のソリューションが提示されることがセンチメントにどのような影響を与えるのか、興味深い。
現在Avacusは、暗号資産交換業登録業者への届出申請中で、みなし業者という立ち位置での運営を行っている。(そのため審査への兼ね合いから現在新規ユーザー登録は停止中となっている)
Avacusというユニークすぎるサービスがこの国でどのように取り扱われるのか、こちらの動向も注目していきたい。