もずくです。
DrBJさんの企画「そこまで言って医療会」に寄稿を。
私には顔面神経麻痺の後遺症があって、さっきもご飯を食べながら右目だけ泣いてました。
この記事は罹患した当時の話です。
6年ほど前の祝日の朝、右目に入ったゴミが取れないな〜とこすりながら遅くまでゴロゴロと寝ていました。目を洗ってこよ〜と思って洗面台に行き、ついでにうがいをすると、閉じているはずの口から水が飛び出します。ハッと思って鏡を見ると、右目が閉じなくなっていて、眉毛も動きません。口もうまく動きません。
これは脳がやられたか!!と思い、慌てて妻を起こして、祝日に脳神経外科のある病院に車で送ってもらいました。大きな病院です。
その日の医者は、私にいろんな顔のポーズを取らせて、「耳は痛い?」と訊いてきました。耳というか鈍い偏頭痛はあったのですが、前日の夜遅くまでお酒を飲んでいたこともあって二日酔いだと自己判断し、「痛いってことはないです」と答えました。
結果、「顔面神経麻痺(ベル麻痺)」という診断が下されました。「大丈夫、1〜2週間で動き出して、1ヶ月もあれば元通りになりますよ」と。
ところがその翌日、昨日とは別の若い医者(この人が担当になった)が聴力検査をした上で、私にこう言いました。
「えと、たぶん麻痺が取れるのにちょっと時間がかかります。1年くらい。元通りにはならないかもしれません。」
「え? あ…はぁ…」
「ただ、ベル麻痺という診断が下っていますので、その治療をします…ね」
そのときはよくわかりませんでしたが、その医者はなんとなく気まずそうな感じでした。
強まっていた偏頭痛ははっきりと右耳の痛みとして感じられるようになり、シャワーの音がキンキンといつまでも右耳に響くようになりました。
あとでわかったのは、これはベル麻痺という原因不明の(多くは一時的な)顔面神経麻痺ではなく、帯状疱疹のウィルスが原因のハント症候群でした。
ハント症候群の場合、ステロイドと共に帯状疱疹の薬が処方されるのですが、私はその後の2週間、その大きな病院ではステロイドの点滴のみを受けることになっていました。
通院が始まって3〜4日経った頃、耳が痛かった私は別途耳鼻科に行き、そこで「ハント症候群」という診断を受けました。
「こんなんすぐに抗ウイルス薬を飲まなあかんで、もう遅いけども…! そもそもベル麻痺の診断でも念のために抗ウイルス薬を処方しておくのが普通やで!」…となぜか私が怒られ、大病院のほうにそのことを伝えに行きました。
その話を聞いた担当医は少しニヤけながら私にこう言い放ちました。
「そうなんですよねぇ、もずくさんの症状だと抗ウイルス剤を出したいんですけど、最初に出た診断がベル麻痺なので…」
それって、最初の診断が覆せないってこと?
翌日にはわかってたわけだよね?
もしかして、あなた(担当医)のほうがかなり若く見えるんだけど、最初の診断を下した人が先輩だから覆せないというわけ…?!
DrBJさん、これはどういうことなんでしょう…?
その言葉でもうちょっと呆れ果てて、耳鼻科のほうで抗ウイルス薬とビタミンB12剤を処方してもらい、大病院のほうはステロイドが終わったところで行くのを止めました。
耳鼻科医によると、帯状疱疹ウイルスによる顔面神経の侵食は(処方が遅れたため)1週間は続いていただろう…ということで、大病院の担当医と同じく「後遺症が残るだろう」と言われました。
未だに思い出すと腹立たしいですが、痛みが強くなくてもちゃんと自分の感じることはすべて医者に伝えなきゃいけない…ということと、少しでもおかしいと思ったら即セカンドオピニオン!と思いました。
おしまい