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投げ銭ルールを決めましょう…の公式記事について

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  • もずく
  • 2019/09/08 15:12

こんにちは、運営に厳しい もずく です。by こすもすさん

いや…何でもかんでも批判しているわけではなく、論理的におかしいと感じたり、はぐらかされていると感じていることについて物申しているだけなんですけどもね。
ALISを「信頼のメディア」とするには、まず運営であるALISチームの言動が明瞭であるべし…という考えで常々発言しています。

 

さて、投げ銭のバーンについての新しい公式記事が上がりましたので、私が気になったところをALISの記事としてコメントしていきたいと思います。
 

 

前回のアンケートの解釈の問題

まずは冒頭のこの部分:

ALISチームは先月、10%の上乗せが問題なのか、バーンという方法自体が問題なのかというコミュニティの見解の輪郭をつかむためにアンケートを行いました。そのアンケートの結果から、10%の上乗せ自体ではなく、バーンという方法を問題として思っている人が多くいることが分かりました。[引用元

これ、いかにも事前アンケートで「10%の上乗せが問題」と「バーンという方法が問題」という二つの選択肢を比較して、後者(バーンが問題)が優勢だったという結果が出たかのように書かれていますが…

このアンケートの質問、

「バーンの代わりにALISをプールさせるというアイデアに対してどう思いますか?」

というものだったんですよね。

 

つまり、「10%の上乗せ(手数料を課すこと自体の問題)」については何も問うていません。

 

この質問に続いて、「上記の回答の理由を教えてください」という自由記述がありましたが、最初の質問で問うているのが「バーン or プール」なので、そこに「手数料そのものが不要」という意見を書こうと思う人は普通はいません。

それでも以下のような回答が出てきていて、2番目と5番目は言い方を変えた「手数料不要」案ですし、3番目も「バーン(=手数料を課す効果)を検証してほしい」と解釈すれば手数料の意義自体を問題視しているといえます。

・10%の手数料は投げ銭をすると損として感じる:5人
・トークンをプールしても10%を手数料として感じている人はいなくならない:4人
・バーンをもうちょっと検証して欲しい:3人
・バーンして欲しい:5人
・決済方法として投げ銭を使いたくなくなる:1人
・運営に管理して欲しくない:2人
・10%が多い:1人

引用元

アンケートの質問(バーン or プール)と論点がズレるにも関わらず、これだけ手数料自体について疑問を呈する自由記述が上がってきたということをちゃんと受け止めないといけないと思います。

 

そして、この結果に対するALISチームによる総括が ↓ です。

言われるほどの10%の"手数料"に対する不満がないみたいですね。プラットフォームのためであればそれはそれでいいと言っていただくということは、コミュニティと我々の価値観が近しいことを改めて確信できて嬉しいです。[引用元

まあ、訊かれてもいないことに対する不満なんて普通は回答しないですからね…

 

今回の公式記事の冒頭、このアンケート項目の結果だけで本当に以下のように結論づけたのであれば、それは詭弁もしくは誘導質問と言われても仕方ないと思います。

10%の上乗せが問題なのか、バーンという方法自体が問題なのかというコミュニティの見解の輪郭をつかむためにアンケートを行いました。そのアンケートの結果から、10%の上乗せ自体ではなく、バーンという方法を問題として思っている人が多くいることが分かりました。[引用元

本気で「信頼の可視化」を目指すのであれば、公式記事はきちんと論理的であってほしいです。(この記事を書いたときのことを思い出します)

 

バーンをなくすという選択肢が除外された理由

次に進みます。

前回のアンケート結果を受けて、まずは以下の三つが次のアンケート項目として候補として挙げられます。

1. バーンを残す
2. バーンをなくす(これにより投げ銭ランキングがひどいことになったら投げ銭ランキングを落とす前提)
3. 投げ銭をバーンの変わりに貯めて、まだ未定の仕様でそれをコミュニティに還元する
引用元

実は、前回のアンケート結果をまとめた時点では「バーン(手数料)自体が不要である」という可能性も残されていたのですよね。

それが、最終的に以下のように「バーン(手数料)をなくす」という選択肢が消えてしまいます。

1. 投げ銭額の10%をバーンする(今のまま)
2. 投げ銭額の10%をALISコミュニティウォレットに貯める(プールする)
3. 投げ銭額の5%をバーンする。ただし、投げ銭ランキングの不正対策として機能しない場合は割合を10%に戻す
4. 投げ銭額の5%をALISコミュニティウォレットに貯める。ただし、投げ銭ランキングの不正対策として機能しない場合は割合を10%に戻す
引用元

 

どれだけMajority Judgementを使ってバランスの良い投票を行ったとしても、もう絶対に「手数料をなくす」ことはできません

そもそも私自身は「投げ銭ランキング自体をなくしてはどうか?」と公式Discordで提案して、「それは『バーンをなくす』と同じである」という理由で却下されたのですが、その「バーンをなくす」という項目がそもそも無くなってしまいました。

 

もちろんALISチームもそのことは認識していて、今回の公式記事は以下のように続きます。

上記の選択肢を前回提案した選択肢と比べると違いが大きく2つあります:

 1. 上乗せのN%をなくす選択肢がありません
 2. 投げ銭ランキングをなくすことに繋がる選択肢がありません

これに至った経緯としては、こちらのとてもヒートアップした議論の結果であり、決して簡単に決めたことではなかったです。しかし、これは今ある選択肢でALISの将来のためにベストだと、結局ALISチーム全員が賛成しました。以下で具体的に説明します。理由は主に2つあります。[引用元

という流れで、次の二つの理由が述べられます。

・トークンエコノミーのため
・開発工数について

 

このうち、手数料をなくさない理由については「トークンエコノミーのため」のほうだけに書かれています。長いですが念のために引用しておきます。

ALISは今までのソーシャルメディアやコンテンツプラットフォームと全く違うプラットフォームを実現させようとしています。他プラットフォームでは、ユーザーが利益の源であり、利益に繋がる範囲で、ユーザーをできるだけ長くプラットフォームに滞在させようと工夫をしています。何かを「ギブ」するプラットフォームの利益が、それを「テーク」するユーザーが多く居ればいるほど、拡大するという仕組みです。

この仕組みは一見何の問題もないように見えますが、このような仕組みを稼働させるために、「ユーザーが最も欲しいもの」をギブできない場合が多くあります。いくらそれがユーザーにベストでも、利益にならないものはギブできないからです。広告が分かりやすい具体例です。

しかし、ALISは違います。トークンエコノミーでは、上記のギブとテークの関係性を打破し、ALISISTA(投資家含むユーザー)にとっての利益を第一にプラットフォームの開発ができます。しかし、こういう場合は、プラットフォームの健全性を保つために、ユーザーはテークだけではなく、ギブもしなければなりません。投げ銭の10%バーンはそのギブ要素の1つです。投げ銭ランキングを支配するために投げ銭し合う行為の対策としても機能していますが、ランキングの有無を問わず、このギブの要素がなければなりません(ちなみに、ALISトークンはalis.to以外でも投げ合うことができます。その場合はEthereumのGAS代が発生しますが)。

今までテークだけでALISを使えたのに、いきなりギブしろと言われるとちょっと…と思う方もいらっしゃるのは三百も承知です。このギブ要素を押し切ることで、ユーザーが減るかもしれないから、やっぱりまだ実施しない方がいいのでは?というのは上記述べた我々の激アツ議論のテーマでした。

前回の記事を投稿したときは、ギブ要素の実装をもう少しあとにしてもいいと思っていました。しかし、ALISISTAが増えれば増えるほど、この要素の導入のハードルが上がるという懸念点から、前記事で提案した選択肢を再検討しました。やはり今しかないというのが結論でした。また、前回のアンケートから、ギブ要素に反対している人ばかりではないことが分かったため、もしかすると私たちが恐れるほどのマイナス影響はないとも思えます。
引用元

 

段落ごとの要点を私なりにまとめると、

・既存のプラットフォームでは、プラットフォームがギブしてユーザがテイクするというシステムでも利益が出るようになっている

・しかし、それと引き換えにユーザは広告を見なくてはならない(それはユーザが本当に欲しいものではない)

・ALISは広告という収入源がないのでユーザからギブを受けないといけない。

・ユーザからのギブを押し切るとユーザが減るかもしれないという議論がALISチーム内であった

・後になってギブを導入するとユーザからの反発が大きくなるだろうから今のタイミングでギブ(投げ銭手数料)を入れ込んでしまいたい

ということかな…と。

 

タイトルは「トークンエコノミーのため」なのですが、内容は「プラットフォームの健全性のため」になっていますね。トークンエコノミーとプラットフォームはイコールではないので、そこは論理的にすっきりとさせてほしいところです。
この話は後でまた触れたいと思います。

 

で、ここで長文で述べられていることって、オブラートの包みを剥がしていけばもっとシンプルに言えますよね。

「広告を入れたくないからプラットフォームに課金してほしい」

と。

「プラットフォームの健全化のために課金してほしい」ということは、こんなにまどろっこしい書き方をしなくても、素直にダイレクトに言ってもらえたらコミュニティの大半は納得すると思います。 今回の記事の表現は言い訳がましいというか、なんだかユーザを煙に巻こうとしているように感じるのは私だけでしょうか。
 

☕ なお、既存プラットフォームの「広告」はあくまで一例として挙げられたものですが、ALISはホワイトペーパーのときから広告と個人データ収集による収益モデルのアンチテーゼとして自身を位置づけています。既存プラットフォームでも個人データ収集による収益化が厳しくなった現状では「広告による収益モデル」が直接の比較対象といってよいと思います。



論理性の話をすると、投げ銭の手数料がプラットフォームに入るならともかく、手数料が「バーン」されてしまったらそれはプラットフォームに対するギブといえるのでしょうか?

元々は(不正対策に加えて)トークン価格を上げるためにバーンするというのが理由だったと思いますが、それがプラットフォームに対するギブの話に置き換わってしまいました。バーンがトークンエコノミーにとってのテイクという話ならまだわかりますが、しかしそれならトークン価格の向上よりも(流動性を生み出している)投げ銭行動を抑制しないほうが優先すべきなのでは…というのがそもそものユーザ側の不満だったわけです。

もしかしたらALISトークンを一番持っているのがALIS運営なので、トークン価値を上げる=プラットフォームに対するギブということなのかもしれません。だとしたら「トークンホルダーへの配慮」的なオブラートに包まず、そう明記してもよいと思います。


とにかく、「手数料や投げ銭ランキングの不要論」と「手数料をバーンするかプールするか」という二種類の問題が明確に区別されずに議論されているように感じます。この問題の切り分けの甘さについては、私がDiscordで「投げ銭ランキングをやめてはどうか」と提案したときの議論でも感じたところです。

 

ギブを導入するタイミングは本当に今しかないのか?

投げ銭手数料をなくさないもう一つの理由である「開発工数について」の話に移ります。こちらはプラットフォームに対するギブを投げ銭から取る理由です。
こちらも念のため全文引用します。

ギブ要素に全く抵抗はないけど、投げ銭以外のところからそれを取った方がいいだろうという見解もあると思います。

投げ銭から10%をALISエコノミーに還元するという理由は、そもそもギブ要素を入れ込める機能が現在他にない上、投げ銭ランキングの不正対策としても同時に機能し、一石二鳥だからです。スタートアップ企業は投げられる石がそれほど多くないため、こういう好機が現れたら石を投げて積極的に挑戦します。

この、ALISのとって絶対に必要なギブ要素を今のうちプラットフォームの仕様として定着させなければ、将来的に実装できなくなる可能性があります。そのため、投げ銭から取ることをやめたら、代わりに新しい仕組みを作らなければなりません。しかし、今はこれをできません。ALISトークンを国内取引所に上場させるため、株式会社ALISとして利益を出さなければならないからです。

私たちALISチームは今alis.toから1円も売り上げがないのが現状です。これは意図的にそうしているという面もあり、無理やり売り上げを生み出そうとすると、先に述べたようなALISISTAの皆さまとの共創ができなくなり、我々の理念に反することになります。そのため、現在は開発工数の大部分を企業向けサービスに割り当てています。
引用元

 

ここでも「トークンエコノミーに対するギブ(ALISエコノミーへの還元)」と「プラットフォームへのギブ(株式会社ALISの利益)」が混在していますが、そこはもう突っ込まずにおいて、要点を端的にまとめると、

A. 今のタイミングでプラットフォームにユーザからのギブを定着させないと、後からでは難しくなる可能性がある

B. 投げ銭の手数料以外の方法を実装している開発余力が今のALISチームにない 

という2点です。

後者Bについてはコミュニティの理解は得られると思います。
私が疑問に感じるのは前者Aです。 本当に今このタイミングに無理をしてユーザからのギブをプラットフォームの仕様として入れ込む必要があるのでしょうか。

 

まず、広告による収益モデルを採用せず、課金モデルで健全に続いているプラットフォームはいくつもあって、まず無料でユーザを十分に増やしてから課金を導入して成功している例も複数あると思います。

公式記事のいう「プラットフォーム」は暗にソーシャルメディアに限定されているようですが、ソーシャルメディアでもユーザが十分に増えたあとのほうが広告や課金を入れてもユーザが離れにくいというのが自然な考えだと思います。 ソーシャルな関係という価値がプラットフォーム上に構築されているわけですから。

ALISのユーザは現状少なく、焚き火でいうと、種火がギリギリ消えずに残っている状態かと思います。そこで「後々必要だから」と大きな薪をくべちゃうかな…というのが私の感想です。

 

そもそも、ユーザがギブ(課金)を不満に感じるのは、それがユーザが望んだギブではないからです。

スマホゲームなどではユーザが喜んで課金しています。ソーシャルメディアはゲームとは違いますが、例えば、トークンを支払えばトップページの目立つところに自分の記事をリストアップできるなら、望んで課金したい人はいると思います。他にも、トークンを支払えば、自分の記事に関する色々な関連データを見ることができるというのもありだと思います。

そういったユーザの望むギブ(課金)であれば、むしろ導入は歓迎されるのではないでしょうか。つまり、「今のうちにプラットフォームに仕込んでしまわなきゃ、後から追加できないぞ…!?」と焦る必要はないということです。

 

「投げ銭」というのはトークンエコノミーととても親和性の高い文化です。トークンの流動性を上げ、コミュニティの関係を「縁(恩義)」によって深めます。

見通せない未来を恐れて焦るがあまり、「投げ銭」という大切な文化にプラットフォームへの課金を紐付けてしまっても本当に良いのでしょうか。

 

天秤に掛けられているのは投げ銭の文化だけではありません。

投げ銭の手数料に反対している人たちがどういったユーザ層であるのか。単に「プラットフォームに課金したくない」という理由で反対しているという認識だとしたら、また幾人かの「信頼の可視化」を共に目指そうとしている同士を失うことになるかもしれません。でもまあ、それは「方向性の違い」というものなのかもしれませんが。

 

 

ところで、

ALISトークンを国内取引所に上場させるため、株式会社ALISとして利益を出さなければならないからです。

サラッと重要なことが書かれてますね:)

 

 

本記事の補足記事を追加しました。

投げ銭ランキングの代替案を提案しました。

 

 

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天秤 by iyoupapa (CC BY-SA 2.0)

 

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