「SDGs」という言葉を本当によく聞くようになった。気候変動や海のプラスティックごみや食品ロスの問題など、みんな意識して暮らしを変えようとしている中で「これも深刻」と思ったのが「衣料ロス」。街に出れば太陽の衣服が売られて、古着も流通してるけど、それでも大量の売れ残りや着古しが棄てられる。服って作る時、本当に大量の水を使うんですね。衣服の大量生産と大量廃棄は「水の大量廃棄」でもあることを知った時、数年前、子どもがまだヨチヨチ歩きだった頃に作った「ぬぐみさん」が目に入った。
子供服って、ほんとによくできている。カラフルだけど、大人の服みたいに無駄な飾りはなくて、素材や布地の柄が活かされている。でもすぐに小さくなって、親戚やフリーマーケットなんかにまわっていくんだけど、やっぱりかなりの量が棄てられるみたいだ。これをなんとか出来ないかと思っていたら、子どものランドセルを、職人さんにミニチュアにリメイクしてもらって思い出として残すというのを思い出した。古い子供服も仕舞っておくだけだと、かさばる布の塊だ。だったら…。
サイズが合わなくなって棄てるしかない、でも思い入れはあるシャツをちょっと小さくして手元に置いておきたい。そうだぬいぐるみにしてみよう!手芸なんかできないから、2枚の布を合わせる形に。型紙を書いて服に当てたら2枚切り取って、裏返しに縫い合わせていく。ある程度袋状になったら、切り抜いて余った服をザクザク切って小さくする。(洋服を切り刻むのはなんか背徳感があるけど、ちょっとストレス解消になる)これを中綿がわりにして詰め込んだら、縫い合わせ、これも服についていたボタンを目にしてつける。ボタンは大体4つ穴なのでバッテンの形に縫い付けると、なんだか情けないような「ダメだ目」になる。
こんな作業を日曜の夕方にしているとよちよち歩きの子どもが寄ってきて「なにちてるのー?」「古いお洋服でぬいぐるみさんを作ってるんだよ」「お洋服切っちゃうの?」「そうだよ、でもこれでぬいぐるみさんが出来るよ」「ぬぐみさん?」舌足らずでぬいぐるみと言えず「ぬぐみさん」になってしまったとさ。
古着でぬいぐるみ。そんなことを始めたのは、考えてみれば国連が「持続可能な開発目標=SDGs」を定めるちょっと前だった。使ったら捨てる、それは仕方がない。でも捨てられるはずのものが、世界で一つの思い出の「変な生きもの(?)」に生まれ変わったら、ちょっとほっこりする気がして。
「衣料ロス」を「思い出」に。