ALISの@ojkは文理融合系IT女子(現UGOK)の共同アカウントでしたが、これを整理・解体し、引率係の個人アカウントにしました。
融合系女子のメンバーは個別にALISのアカウントをつくって活動する予定です。
さて、「小学校でプログラミングが必修化される!」といったような情報が出回っていますが、学習指導要領から関連部分を抜き出して整理しておきたいと思います。
よく言われるのが「小学校で学ぶのは“プログラミング的思考”であってプログラミング技術ではない」というものですが、果たして本当なのか把握しておきたいところです。
まず「総則」です。全体的な話…ということですね。
P.19 第1章 総則 > 第2 教育課程の編成 > 2 教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成
⑴ 各学校においては,児童の発達の段階を考慮し,言語能力,情報活用能力(情報モラルを含む。),問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう,各教科等の特質を生かし,教科等横断的な視点から教育課程の編成を図るものとする。
教科を横断して、情報活用能力を育成するような教育課程を編成しなさいとのことです。「情報活用能力」という書き方だとPCを利用すればよい(ネット検索やOfficeスイートの利用だけでも可)という感じですね。「情報モラル」も道徳的な話ですし。
次も「総則」から…
P.22 第1章 総則 > 第3 教育課程の実施と学習評価 > 1 主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善
⑶ 第2の2の⑴に示す情報活用能力の育成を図るため,各学校において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ること。また,各種の統計資料や新聞,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。あわせて,各教科等の特質に応じて,次の学習活動を計画的に実施すること。
ア 児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動
イ 児童がプログラミングを体験しながら,コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
各学校にPC演習室を配備しなさいということです。そして、二つの学習活動を実施するよう挙げられいて、一つ目は「コンピュータの基本操作」です。ここまでならまだネット検索とOfficeスイートで十分。
ですが、二つ目に「プログラミングを体験しながら」とあります。つまり、学習指導要領の中にプログラミングをさせるよう明示されています。プログラミング的思考をプログラミング以外の方法で身につけさせる(体育とか)では駄目なのですね。
続いて「各教科」の指導に移ります。
P. 110 第2章 各教科 > 第4節 理科 > 第3 指導計画の作成と内容の取扱い > 2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。
⑵ 観察,実験などの指導に当たっては,指導内容に応じてコンピュータや情報通信ネットワークなどを適切に活用できるようにすること。また,第1章総則の第3の1の⑶のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には,児童の負担に配慮しつつ,例えば第2の各学年の内容の〔第6学年〕の「A物質・エネルギー」の⑷における電気の性質や働きを利用した道具があることを捉える学習など,与えた条件に応じて動作していることを考察し,更に条件を変えることにより,動作が変化することについて考える場面で取り扱うものとする。
まずは「理科」です。ここでもプログラミングを体験しながら…と明記されていますね。一つ具体例が挙がっていますが、プログラミングをすることでPCが「電気の性質や働きを利用した道具」であることがわかるんでしょうかね。同時にCPUやメモリを電子顕微鏡で観測するのでしょうか。
同じく「各教科」から…
P.181-182 第5章 総合的な学習の時間 > 第2 各学校において定める目標及び内容 > 3 指導計画の作成と内容の取扱い
⑶ 他教科等及び総合的な学習の時間で身に付けた資質・能力を相互に関連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにすること。その際,言語能力,情報活用能力など全ての学習の基盤となる資質・ 能力を重視すること。
⑼ 情報に関する学習を行う際には,探究的な学習に取り組むことを通して,情報を収集・整理・発信したり,情報が日常生活や社会に与える影響を考えたりするなどの学習活動が行われるようにすること。第1章総則の第3の1の⑶のイに掲げるプログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付けるための学習活動を行う場合には,プログラミングを体験することが,探究的な学習の過程に適切に位置付くようにすること。
出ました、困ったものはすべてここに詰め込まれる「総合的な学習の時間」です。特定の科目にかっちり組み込むのは大変だろうから、ここで自由にやりなさい…ということでしょうか。実際、プログラミング教育を外部業者にアウトソーシングするのであれば、ここくらいしかないですよね。
ちなみに学習指導要領を検索しても「プログラミング的思考」という言葉はヒットしませんでした。この言葉はどこから出てきたのでしょうか。
これは「小学校プログラミング教育の手引き」というものを文科省が出していて、この中で多様されている言葉でした。
また、複数の省が連携して立ち上げた「未来の学びのコンソーシアム」が運営するプログラミング教育ポータルには「理科」や「総合的な学習の時間」以外の例がたくさん掲載されています。教科書も算数を中心にプログラミングを活用した内容が記載されているようです。
プログラミング教育を通して地域社会に貢献しようと考えているOJKゼミとしては、このあたりの情報をきっちり押さえて、業者に頼らずとも小学校教員だけで実施できるプログラミング教材を考えていきたいと考えています。