序文でも述べましたが、WHOは、2005年に、20世紀の3つのパンデミックからの教訓として、以下の12項目をまとめました(これが2020年現在において活かされたのかどうかは明らかでないが)。
ウイルスの発生と同じく、パンデミックも予測できない動きをする。死亡率、重症度、広がりのパターンは変化している。
パンデミックにおいては、症状・症例は非常に短い期間(多くの場合、数週間)の間に指数関数的に急増する。そして、多くの場合、その症状や重症度は予測できず、病院等の医療サービスの対応能力に影響を及ぼす。
ウイルス固有の致死性とは別の議論として、成人層に重篤な症状をもたらすかが、パンデミックの全体的な影響の主要な決定要因といえる。
最初は影響を受けなかった年齢層と地理的領域であっても、第2波では脆弱となる可能性がある。初期の波に比べて、後に来る波のほうがより深刻となる傾向があるが、その理由は様々である。1918年の場合はウイルスが急速に変異したことが挙げられ、1957年の場合は、当初は学童に影響が出ると思われていたものが、第2波では合併症を伴う高齢者のグループに重篤な影響を出したことによる。
WHOの研究ネットワークによって実施されている監視は、パンデミックの発生を迅速に確認し、医療サービスに警告し、ウイルスを分離して特徴を確認し、ワクチン製造業者が利用できるようにするうえで重要な機能を果たす。
何世紀にもわたって、ほとんどのパンデミックは、アヒルや豚のすぐ近くに人口が密集したアジアの一部地域で発生している。この地域においては、動物インフルエンザと人間の呼吸器疾患のクラスターの両方の監視が重要である。
(※さすがに中国と名指しにはできなかったようですね、、、)
公衆衛生介入は、パンデミックの国際的な広がりを遅らせることはできたかもしれないが、感染の拡大を止めることはできなかった。検疫や旅行の制限はほとんど効果を示さない。国内への拡散は接触と混雑に影響しているため、集会の禁止や学校の閉鎖は効果的な対策である。
疫学的なピークを平坦化し、より長期間にわたって発症を分散させることで、拡散を遅らせることが望ましい。一度に病気になる人が少なくなると、医療やその他の重要なサービスを維持できる可能性が高まり、ケアに対する需要の急激な増加に対処する能力が向上する。
パンデミックに対して、ワクチンは潜在的に大きな影響は持つものの、その評価は実証できていない。1957年と1968年には、ワクチンメーカーは迅速に対応したものの、生産能力が限られていたため、ワクチンの影響を評価するほどのスピードで供給することができなかった。
(※国ごとの力関係を意識したものと思われるが)自国内でワクチンを製造する能力を持つ国が、自国で開発したワクチンを最初に接種する。
パンデミックが後の波で重症化する傾向が見られることから、大量のワクチンが確保できるまで、高齢者などの高リスク集団の重症疾患を予防する必要がある。
パンデミックは、基礎的慢性疾患を持つ高齢者で高い死亡率となる。これらの高リスクグループは、ワクチン接種にあたり優先的な保護を必要とする。このような予測に基づいた戦略は、死亡率を減らすことができると考えられるが、それでも、罹患率の突然の大幅増加、およびそれに対応する高い医療需要が予測されるべきである。
---
すでに2005年にこのようなレポートがあったこと、今回のパンデミックにおいても重なる部分が多々あることを知識としてシェアできればと思います。
では、長かったですが今日はこのへんで。