9月14日から、書類の届いた人はインターネットで国勢調査の回答ができる旨、記事にしました。
記事の中でも触れた、「国勢調査の回答は義務である」という点について、法的根拠を説明したいと思います。
そもそも「統計法」という法律があること自体、あまり知られていないですよね。この法律は、法目的である第1条をみてみますと、『公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることにかんがみ、公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的』とした法律とのことです。つまり、国民にとって合理的な意思決定、つまり政策を決めたりするために必要な、公的統計をとるための法律というわけですね。
さて、今回の統計は国勢調査ですが、国勢調査といえば統計法第5条です。内容をみてみましょう。
(国勢統計)
第五条 総務大臣は、本邦に居住している者として政令で定める者について、人及び世帯に関する全数調査を行い、これに基づく統計(以下この条において「国勢統計」という。)を作成しなければならない。
2 総務大臣は、前項に規定する全数調査(以下「国勢調査」という。)を十年ごとに行い、国勢統計を作成しなければならない。ただし、当該国勢調査を行った年から五年目に当たる年には簡易な方法による国勢調査を行い、国勢統計を作成するものとする。
3 総務大臣は、前項に定めるもののほか、必要があると認めるときは、臨時の国勢調査を行い、国勢統計を作成することができる。
まず、総務大臣は、5年に一回国勢調査を行って、統計を作成しなければならないんですね。もし作成しないと総務大臣は法律違反を犯すことになりますね。
なので、国勢調査のような「基幹統計調査」を行う場合には、報告義務を課すことを法律で定めています。我々が知らなければならない報告義務については統計法第13条第2項です。
第十三条 行政機関の長は、第九条第一項の承認に基づいて基幹統計調査を行う場合には、基幹統計の作成のために必要な事項について、個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる。
2 前項の規定により報告を求められた個人又は法人その他の団体は、これを拒み、又は虚偽の報告をしてはならない。
3 第一項の規定により報告を求められた個人が、未成年者(営業に関し成年者と同一の行為能力を有する者を除く。)又は成年被後見人である場合においては、その法定代理人が本人に代わって報告する義務を負う。
つまり、「国勢調査のお願い」という書類を受け取ったら最後、これを拒み、又は虚偽の報告をしてはいけない、ということになります(笑)。
この第13条に違反したらどうなるか。もちろん罰則規定もあります。それが第61条第1号です。
第六十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第十三条の規定に違反して、基幹統計調査の報告を拒み、又は虚偽の報告をした個人又は法人その他の団体(法人その他の団体にあっては、その役職員又は構成員として当該行為をした者)
国勢調査の報告を拒んだり、虚偽の報告をしたら、50万円以下の罰金です。これは痛いですね。ただ、いままで処罰された例は一件もありませんが(笑)。
はやいところでは既に調査員から調査用紙をもらった方もいらっしゃると思います(横浜市在住の私はまだもらっていません)。調査項目はそれほど多くなく、5~10分ほどでインターネット回答ができるはずです。
調査員が一軒一軒まわっていきますが、「かたり調査」も横行することが予見され、銀行口座の暗証番号やクレジットカード番号を聞かれても絶対に答えないよう注意してください。なお、調査員は、その身分を証明する「国勢調査員証」を携帯していますので、提示を求めるのもよいでしょう。
今回はあまり面白いテーマではなかったと思いますが、皆様のご協力が大事ですので、選挙と同じ重要度で回答をお願いします。
では、今日はこのへんで。