1918年に始まったパンデミックは「スペインインフルエンザ」「スペインかぜ」と呼ばれ、人類の歴史の中で最も致命的な医学的事象とみなされています。世界中で4000万人以上が1年足らずで死亡しました。なお、比較のために、第一次世界大戦における総軍事死者数は、4年間で830万人と推定されています。
感染の始まりは、1918年3月にヨーロッパとアメリカ内の複数の州で同時に検出されたウイルスでした。その後、感染は、軍隊を運ぶ船を経由してヨーロッパとアメリカの間を行き来し、その後、陸と海を経由してアジアとアフリカへ運ばれました。春と夏に起きた「第1波」は、伝染性は非常に強かったものの、特に致命的ではありませんでした。「警告」としての重要性が見落とされていました。8月末に「第2波」が始まったとき、どの国も準備ができていませんでした。
第2波は、フランス、シエラレオネ、アメリカでほぼ同時に始まりました。第1波と比べて、死亡率は10倍であり、爆発的な発生といえました。なお、このような特徴を持つウイルスは、幸いなことにこれ以降みられていません。
インフルエンザによる死亡は、季節的な流行であろうとパンデミックであろうと、通常、人間の寿命の両極端の部分、つまり、子供と老人に起こりますが、スペインかぜの場合は、逆に15歳~35歳の若くて健康な人に多くの死をもたらしました。死亡者の99%が65歳未満であったといいます。