本編はこちら: 契約民主主義
前提として、税制は提案によって常に最適化されるものなので、これは私が推奨する一例にすぎない。主に「国民の所得を知ることができなくても累進性のある徴税を実現すること」に主眼を置いて設計されている。
国民管理局はENSのIDをスマートコントラクトに登録することで国民登録とする。
税務署および政府は国民一人ひとりに最低納税ポイントを設定する。このノルマは固定資産税や間接税の納付とは無関係である。このノルマを達成するために必要な行為は、提案への寄付である。この寄付は、提案選別局の選別行為における広告として機能する。より多く特定の提案に寄付をすると、全ての寄付金は国庫に治められ、寄付者の納税ポイントは "log(寄付額)" の分だけ増加する。多様な提案に小額ずつ寄付するほうが効率的に最小納税ポイントを達成できるため、合理的な人間はそうする。
富裕層はこれまでの社会においても多様な手段で節税の努力を払ってきたが、この設定ではそもそも節税の必要がない。代わりに、世界を変えるために提案活動に精を出し、その提案の選別局へのアピールを増すために寄付を行う。
一方で、提案選別局の生殺与奪は国民投票による改善提案で握られているため、提案選別局が露骨な富裕層贔屓を行った場合は罷免のリスクが高まるために、不正行為は抑制される。ひいては、寄付金は提案選別局にいくわけではなく、国庫に行くため、賄賂性は低い。
Quadratic Fundingは「匿名の王」にも自発的に公共財に貢献させうる技術であり、それはそれで存在してよい。一方で、実名の資産家も往々にして店舗や倉庫や家など不動産を持つので、通常通り消費税や住民税や固定資産税を取ればよい。
造幣局もまた行政として提案によって設立され、改善提案によって進退を握られている。新規通過発行されたトークンは、mint関数のtransfer先を国庫のアドレスにしておけば、エージェンシーリスクはない。
QFの最低納税額を引き上げるか、固定資産税や間接税のような「国民の所得を知らなくても徴税できる税」を上げることでMTPLにおける物価調整は行われる。物価調整に伴う税制の累進性の維持が主な論点になるだろう。
MTPLによって物価がゆるやかに増えていき経済が上向く環境下において、あまり問題にならないだろう。
MTPLを使用しない場合は税は通常通りただの資金調達手段であり議論の必要はない。
この攻撃の最大ダメージについては、富裕層の提案が優先して審議される分については、結局Informed Citizenryによる審議を挟むのであまり社会的ダメージはない。かといって賄賂がまかり通ることを肯定してはならないため、緩和策を考える。
まず、贈賄は違法である。したがって、寄付によって税金を国庫に納める方式と異なり、提案選別局への贈賄は提案選別局の担当者と結託しなければ実行できない。また、国税庁はより多くの税収を国庫に集める目的の元、提案選別局を監視する必要が出てくる。
提案選別局としては、担当者レベルの不正が提案選別局そのものの罷免に繋がりうるために、ひとつの証拠でも残してしまうと改善提案で賛成多数に傾いてしまううるため、保身のために部下の身勝手を避ける。
具体的な施策としては、提案選別局の担当者に関する透明性を極めて高めること。税務署は彼の交友関係などをマークすること、贈賄発覚時に税務署の評価にも響くようにすることなどが挙げられる。
まず、この仕組みにおいて政治を悪用して利権を得ることが不可能である。民業として金を稼ぐのがうまくなり税額が低いことは結構である。彼自身も提案者という名の政治家のひとりであり、そして彼の提案はInformed Citizenryにより審議と監視を受ける。その国の国民負担が低く、国外的にプレゼンスが高くなるのであれば、それほど良いことはないのではないか?
現代社会においても巨大企業の脱税は日常茶飯であり、国に匹敵する財を持つ者に対する徴税はそもそも至難なのである。
善処する。何かよい案がある気はしている。
今の社会と同じことで、払うようになるもで高額所得者から逮捕していくことになるだろう。いつまでも国民が音をあげず納税しない場合は紛争状態に近い様相を呈するだろうと思う。
一定のコストを割けば、操作を手取り足取り教えてくれる人間を雇えるのは市場原理上明らかである。雇うといっても、それは提案によって設立された街の小さな税務署の分所の窓口だったりするだろう。
年に1回、1箇所にしか納税しないとするなら毎秒317トランザクションで済む。また、納税トランザクションに緊急性はないため、1gwei程度のgas priceでTxを発行して待てばよい。