2021年9月の中頃。石垣島に行ってきた。
去年よりはだいぶ観光的な活気が戻ってきていたし、海水浴場も去年は閉めていたところもあったが、今年はあいていたし、お土産屋さんなども去年はもう大丈夫か?って感じだったところも明るい雰囲気取り戻していた。
そういった話については違う記事で書くとして、今回は、石垣島旅行中に読んでいた本のことを書こうと思う。
自分がどこか行くとき、時間があれば、その前に図書館へ行って、行先について関係のある本を借りる。ガイドブックだけではなく、文化や歴史関係も。
今回たまたま見つけた本は
岩波ジュニア文庫。
「ゲッチョ先生と行く沖縄自然探検」
ジュニア文庫って、こんな濃い本、どこのジュニアが読むんだ?ってほど、大人が楽しい本。
まず最初に、琉球列島についての説明があるのだが、吐噶喇(トカラ)海峡、慶良間海峡という深い海峡によって、北、中、南琉球と分かれていて、生物も違うという話から始まる。
奄美大島や沖縄本島は中琉球で、宮古島島、石垣島の方は南琉球。
みんな同じ沖縄文化圏じゃあないってこと。
本の中では、夏休みに、変人おじさんを訪れてきた二人の子供を連れて、変人おじさんが沖縄の自然についての色んな事を紹介しているのだが、その紹介していることっていうのが、琉球を旅行していて、あれ?これってなんだろうなとか、あいまいに浮かぶ質問をうまいこと取り上げていて、質問したくても誰に聞いたら分からないようなことや、そういえばよく目に入るなあ、と思うこと、全体を通してつながる沖縄の自然の不思議についてのことだけれど全く知らなかった!といったことがたくさん出てくる。
琉球全体について理解が深まって、目の前の世界がより意味を成してくる、琉球を通して、地球が見えるような本なのだった。
話の最初は、変人おじさんが、子供たちを魚市場に連れて行くところから始まるのだが、沖縄の変わった色の魚についても、骨の色がブルーの魚がいるといった、沖縄らしい話から、メバチマグロは目が大きいから目鉢マグロで、深海にもぐってエサを探すために目が大きい、そしてメバチマグロの胃を開けてみたら、中には深海魚がたくさん入っていた!といった、聞いたことあるような魚の知らない驚きの話が。
魚の頭蓋骨の中にある2つの耳石?!そんなの初めて聞いたし!
魚の胃袋の中を見て、何が入ってるか楽しんでるし・・・
沖縄本島の末吉公園も歩いて、見かける植物について色々説明する。
ガジュマルの実はおやつとして食べられていたそうだが、開けてみると中に虫が・・・蜂の仲間らしい。肉眼で見えないような虫!
(きっと自分もいろんなところで肉眼で見えないような虫ごと食べてたりするんだろうな)
沖縄中南部は、石灰岩の地らしいが、石灰岩が大好きな生き物は?
石灰岩は、カルシウム。
カルシウムと言えば貝殻。
貝殻を持った生き物はカタツムリ。
というわけで足元にあったカタツムリを拾いまくって、分別する。
蓋のないカタツムリと蓋のあるのがいて、ある方は、水中に住んでいた先祖をもつ。
生きている時は緑に光っていて(内臓が透けてる。殻が透明で。)死んだら白くなるアオミオカタニシ。巨大なカタツムリ(アフリカマイマイ)は食用にするために戦前に持ってこられたのに、人間に寄生する虫がいるとか。
そして、カタツムリが好きな生き物もいる。
それはホタルで、日本にいる約50種類のホタルのうち、水の中で幼虫が暮らすのは3種類だけ。
陸上生活しているホタルのエサはカタツムリらしい。
ホタルもカタツムリも、知っている虫なのに、知らないことがいっぱい。
蛇やハブ、コウモリ、カエルなど色んな生き物についての驚きの話が本の中ではたくさん出てくるが、それ以外に驚いたのは、沖縄の砂浜の砂を見たら、人工ビーチなのかすぐわかる方法。
ホタテ貝を小さくしたようなピンクや黄色のイササヒヨクという貝殻がある場合は沖縄の深海数十メートルからくみ上げた砂を持ってきている、と分かるらしい。
自然の海岸にはない貝殻があるかどうかでみわけるということ。
石垣島で海を遠くから眺めていると、白い波の線が見えるところがある。
なんだろうな?と思っていたら、そのことも本に書いてあった。
そこは、サンゴが発達した「ピー」というところに当たって立った波の線らしい。
白波の内側の静かなところは「イノー」。
白保という地区の、イノーの右の方には1771年の明和の大津波の時に運ばれた大きな石(津波石)がある。
石垣島を周っていると、その津波のことが書かれたものをよく目にする。
また、ジュゴンは、イノーの海藻をよく食べに来るが、普段はピーの外、フカウミの方にいる。潮が満ちたときに、ピーの切れ目のクチというところから、イノーに入る。
沖縄の人は海の向こうに、ニナイカライという神の世界があると、昔、信じていたので、フカウミとイノーを、行ったり来たりするジュゴンは、神の世界と人の世界を行き来する生き物と考えられていた。
だから、ジュゴンが津波を予言したという話もあったとか。
本の内容についてはきりがないし、読む人の楽しみを奪うのでこの辺で終わりにするが、他にも宮古島や西表島などそれぞれの島ならではの話も紹介されていて、
琉球列島の島が、それぞれどれだけ違っているかということや、何かを退治するために外来種が連れてこられたために、生態系が崩れている話、サソリの毒の強さのこと(人間が思っているより毒が弱かったりする)、与那国島の漂着物の話など、盛りだくさん過ぎて、読んでいて、ちょっと頭の倉庫が苦しくなった・・・
もし、琉球列島のどこかの島に行く予定のある人で、琉球文化や自然にも興味ある人であれば、是非この本、お勧めしたい。
落ちているサンゴや、見かける生き物、目の前の景色についても、反応することが増えると思う。