2021年9月の前半に長浜に行ったのだが、その前に借りた本。
元々狛犬には興味ある方だったし、狛犬好きの母を連れての長浜への旅だったので、ちょっと勉強しようと思って借りた。
これまた内容の濃い本で!
著者は京都府内の全神社、大阪府内の神社をめぐり切り、滋賀県内の全神社を調査したという。滋賀県内だけでも1830の社寺を周っている。狛犬調査歴30余年。
狛犬についてのデータも、歯の数や、歯の形から肉食かとか、狛犬の性別、巻き毛の数まで数えて記している(他にもいろいろ)。
自分は、口ひげあるとか鈴の有無などあまり気にしたことなかった。
狛犬は、阿吽セットになっていると思い込んでいる人も多いようだが、阿吽セットとは限らないし、中国では単体もあると。
狛犬ってひとまとめに言っているが、角がない方が獅子で、角がある方が狛犬だそうで、中国のは獅子、獅子だそう。
角がある狛犬ってものは、日本のものらしい。
狛犬を大きく分けると、陣内狛犬っていう、建物の中や階段にいるのと、参道狛犬に分かれ、陣内狛犬は木造だったりするから、参道に置けない。
門番役なわけなら、神社だけでなく寺院にもあっていいはずなのに、そうでないのは、寺院には仁王像がいてダブってしまうからではないかとか。
狛犬の起源についてや、狛犬の置いている向きの話といったことから、
狛犬の材質(琵琶湖が古代に移動したおかげでできた粘土の地層のおかげで信楽焼ができたといった話まで・・・)や、その材質のおかげでどういう加工の狛犬が作れるかということや、京都の石工と浪花の石工の対立(京都の石工は浪花の石工を見下していたそうで。)や狛犬の角の作り方の違いといった話も面白い。
狛犬っていうのは、寄進なわけだが、病気治癒しました、ありがとうといったお礼もあれば、大坂商人が経済圏を広げるにあたり、自分たちを好意的に思ってもらうために、入って行った村の社に狛犬を寄進して、信頼を得たというのは、全く思いもよらなかった。
フレンドリーな意味での狛犬の寄進の時期、狛犬の顔がどんどん可愛くなっていたとは!
日本一の石工、丹波佐吉の狛犬の紹介から、変わった特徴のある狛犬の紹介、狛犬の様式の話など、盛りだくさん過ぎて、これまた頭の中に仕舞い切れない感じだった。
しかも、狛犬を撫でてみたり、狛犬に対しての話しかけや、狛犬の隅々までの観察の表現も豊か。ここまで表現できるの凄いな・・・と感心。
自分も仏像など見るときに、自分の言葉で表現してみることで、記憶に残そうとするのだが・・・。
狛犬マニアすぎて、結構独り言も多い本なので、マニアックな素人学者が、実際の調査結果と、想像の楽しさを披露したような本(推定的に書いていることも多いから)かと思いきや、著者は、龍谷大学の名誉教授のようだった。
そのうえ、話の中でも、自分より先輩の狛犬研究家の話が出てきたりして。
今まで自分も、神社で狛犬に目を留めたときに、狛犬、個性豊かだし、芸術的だけれど、狛犬で有名な石工がいるのかなとか、どういった人が彫っているのかなとか、疑問に思ったりはした。
しかし、あちこちでちょっと変わった狛犬を見ても、それが系列があったりすることどころか、角があるかないか(取れてる場合もあるから、頭触って確認するらしい。この著者は。)ってことまでは意識していなかった。
この本を読みながら、長浜に向かったが、全然読み終わらないまま、旅行を終えた。
旅行の後で、ああ、そっちの狛犬の方、しっかり見忘れた!と、せっかく行ったのに、ちゃんと見ていなかった狛犬のことが出て来たり。
歴史や地理も絡んでくるので、一回読んだだけではとても頭に入りきらない。
しかし、この本を読んでたら、なんかまた変な本読んでる!なんでそんなの読んでるのかとか、暇人?などと周りに言われたw
けれど、面白かった(著者が最初から、個人的な発言・・・狛犬に関してええかげんなこと言っていることを取り上げて、それについて怒ってたり。冒頭から広辞苑に対しても不満書いていたし。・・・結構あるので、変に歴史知ってたり、思い込み激しい人が読むと、反発することもあるかも?)ので、狛犬に興味のある方には勧めたい。
読み進めて面白い本なので、開けてみただけなら、華やかな本でないので、閉じてしまうかもしれないが・・・
この本の著者は、今も、京都で狛犬ツアーガイドしているそう。
著者が日本一素晴らしい木造狛犬と書いている、大宝神社の狛犬も見てみたいなぁと思った(京都国立博物館にあるようだが)。
・・・1回読んで、記事にするためにまたところどころ見直したが、とても覚えきれない・・興味のある対象のある人ってほんと没頭ぶり凄い。
試しに「狛犬ツアー」って検索すると、どれほど狛犬好きが多いのか・・・なんかいっぱい出てくる・・・。もう何でもかんでも~ツアーやら~巡りやら、~集めだな。