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【書評・経済学】資本主義とはなにか「武器としての「資本論」」(Part②)

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  • タクミナタクミ
  • 2020/08/07 05:30

どうもこんにちは、タクミと申します。
普段はYouTubeにてタクミナタクミ・チャンネルという名で、
【トレンドに流されない生き方】をモットーに
 資本主義経済の観点からこれからのあるべき 
【社会】【生き方】【働き方】 について解説をしております。

 なお動画は毎週【土・日】にUPします。

今回は具体的に資本論の内容について、

本書を参考に踏み入っていきます。

 

Content image

 

 

 

 

内容としては、
資本論の冒頭の文章を理解するために資本主義の定義について解説をします。


なお今回解説する内容の結論としては次になります。

・自由に土地の売買ができる

・自由に労働者は労働力を商品として資本家に売ることができる

 

この二つが成立することで資本主義経済は成立し、

また一度成立するとすべての社会を取り込むという

資本主義経済の強力性について解説をします。

 

 

少し難しい内容にはなりますが、

私たちにとって当たり前すぎる資本主義というものが

どのようなシステムであるのかを認識することは

これからの時代には欠かせませんのでしっかりと学んでいきましょう。

 

<この動画の内容>

マルクスが定義する資本主義とは何か

 ①物質代謝とはなにか

 ②商品による商品の生産とはなにか

   ①土地の売買

   ②労働力の商品化

 

<シリーズの構成>

Part① 資本論を読むべき理由

Part② 資本主義の定義と成立過程

Part③ 「商品」とはなにか

Part④ 労働力こそが利益の源泉

Part⑤ 生産性を向上させる理由

Part⑥ まとめと現代社会の課題

 

①マルクスが定義する資本主義とは何か

 

まずマルクスの資本の概念を理解するために、

資本論の冒頭で述べられている文章を引用します。

 

「資本主義的産様式の支配的である社会の富は、

「巨大なる商品蓄積」として現われ、

個々の商品はこの富の成素形態として現れる。

したがってわれわれの研究は商品の分析をもってはじまる。」

 

つまり「商品」の分析をすることから資本論はじまります。

 

この「商品」というのは、

お店で売っている商品に違いはありませんが

とても理解するには厄介なものです。

 

その商品を理解するためにはまず、

マルクスが定義する資本主義経済とは何か

を把握することがポイントです。

 

筆者の白井さんはマルクスによる資本主義経済の定義を

①「物質代謝の大半を商品の生産・流通(交換)・消費を通じて行う社会」であり、

②「商品による商品の生産が行われる社会(=価値の生産が目的となる社会)」

としております。

 

これはどういうことを理解するには、

まず「物質代謝」について理解をする必要があります。

 

そもそも代謝とは、

「食料といった物質を消化&吸収し、

体が活動するのに必要なエネルギーに変換すること」を意味し、

私たちのような生き物は食べ物を食べて吸収して排泄物を出しますね。

 

筋トレをしている人はわかるかと思いますが、

トレーニングをすることで代謝は上がり、

エネルギーの消費量も増えるので、

痩せやすく太りにくい体になると言われております。

 

そしてこれは私たちの体だけではなく、

社会で普及している商品にも当てはまっているのです。

 

例えばコットンの黒いTシャツを作るためには、

畑で綿花を育ててそれを収穫して糸にして生地を作り縫って、染色をします。

 

そしてTシャツを店に並べるためにはトラックで燃料を消費して発送し、

ようやくお店に並べられます。

 

このように私たちの世の中には生活に必要なあらゆる商品が

さまざまな加工するプロセスを経てお店に並べられており、

そのプロセスのことを物質代謝といいます。

 

 

つまり、①の文の全体の意味としては、

商品が数多く流通し、売買される商品経済のことをさします。

 

以上が物質代謝についてでした。

 

②商品による商品の生産とは

 

では物質代謝である商品経済な社会となれば、

資本主義社会であるといえるのでしょうか?

 

もしそうであれば江戸時代は資本主義社会であるということとなり、

なんだか違和感を感じますね。

 

ここで違和感を解決するためには、

「商品による商品の生産」について理解をする必要があります。

 

これは一言でいうと、

労働力という商品によって商品が生産されるという意味です。

 

少しわかりずらいと思うので、

以下の3つの時代の流れ別にみていきたいと思います。

 

①狩猟採集時代:~弥生時代

②封建制社会 :飛鳥~江戸 

③資本主義社会:明治~

 

まず①の時代は自給自足を基礎とした社会であり、

商品を貨幣で売買するような商品に値段がついて売買するような

商品経済ではなく物々交換をしているような社会の時代です。

 

そして②になると天皇が即位されて中央集権国家ができ、

加えて武士の力が増していき、

士農工商の四段階の身分制を基とする

いわゆる封建制社会が登場しました。

 

この時代になると商品を自給自足するのではなく、

他者との分業と交換によって成立している経済、

すなわち商品経済が一部ではみられるような時代となりました。

 

実際に織田信長の楽市楽座などは城下町の市場を

規制緩和をして商売を繁盛させるといった商品経済を促す施策でした。

 

そして③の明治時代は、

大政奉還が起きて徳川幕府が政権を朝廷に返上し、

天皇を中心とする新政権を樹立して近代国家となりました。

 

その際に版籍奉還と廃藩置県の政策を実施することで、

地方分権による封建制度を終わらせて、

中央集権国家を構築しました。

 

この2つの政策が重要でして、

明治時代以降の時代が資本主義社会であると言われるようになったのです。

 

この資本主義社会であるためにはポイントが②つありまして、

①土地の売買

②労働力の商品化

が成立することで資本主義社会は成立します。

 

①土地の売買

 

まず①について、

江戸時代以前の封建制度の時代においては、

領主は土地を所有して自由に土地を売買することはできず、

また年貢を納める必要があったため農民に土地を与えておりました。

 

ところが明治時代になると、

封建制度は崩壊して土地は自由に売買されるようになり、

金を持っている資本家が土地を買い占めることができ、

規模の発展を実現することができるようになりました。

 

②労働力の商品化

 

また土地の買い占めに伴って、

②労働力の商品化が実現するようになりました。

 

この労働力の商品化とは

「二重の意味で自由な労働者」がいることで実現できると

マルクスは述べております。

 

これは労働者は自分で生活をするための生産手段を持っていないこと、

つまり江戸時代以前のように指定の畑を耕せば生活できるというわけではなくなり、

土地を奪われたたためある意味、生産手段から自由であるということです。

 

加えて明治時代になると身分制度がなくなったため、

畑を強制的に耕す必要はなくなり、

工業にて職人になったり商業をしたりと

身分に関係なく自由に仕事ができるようになるということです。

 

その結果、労働者は二重の意味で自由になったのですが、

もちろんいきなり自由になった労働者は直ぐに仕事ができるわけがありません。

みなさんが明日突然に会社をクビになったのと同じです。

 

そこで二重の意味で自由になった労働者は、

生活をするためには自分の労働力を売らざるを得なくなったのです。

 

ここで金をもった資本家が自身の資本の増殖のために、

自由に労働者を商品として購入することができるようになりました。

 

明治時代の日本政府はそれの一連を国がトップダウンで、

殖産興業をすることで一気に近代化を成しえました。

 

なおこれは世界史でおなじみである、

産業革命時代のイギリスにおける囲い込みという行為と同じですね。

国家手動で毛織物が売れるからという理由で、

農地にいた農民から強制的に土地を奪い取り、

農業という仕事をなくさせることで、

労働者へと転化させて毛織物工場で働かざるを得なくしたことと同じです。

 

いかに冷酷であるかが容易に想像できるのではないでしょうか?

 

もし仮に生産手段を少しだけ持っていたとしても、

大規模資本には到底かなうことなく淘汰されていくのです。

 

 

つまり、このように土地と労働者に値付けをされ、

商品となることで資本主義経済は成立していったのです。

 

そこで最初に資本主義としてみた定義についてふりかえってみてみましょう。

①「物質代謝の大半を商品の生産・流通(交換)・消費を通じて行う社会」
  であり、

②「商品による商品の生産が行われる社会(=価値の生産が目的となる社会)」

 

最初は意味が分からなかったと思いますが、

よく理解をすることができたのではないでしょうか?

 

つまり資本主義経済とは

労働力という商品によって生産された商品が

社会の大半を占めること意味する、

ということです。

 

以上、資本主義経済の定義についてみていきました。

なかなか難しい概念を扱いましたので、

僕も動画を作るのに普段の倍以上の時間がかかりました、、

 

今後、YouTubeではこのようなマルクスの概念を何度も

別の視点から扱っていきますのでここで一気に理解しようとはせず、

徐々に理解の幅を増やしていただければと思います。

 

そして次の動画ではいよいよ「商品」の分析について解説をします。

この商品の価値の源泉や性質を理解することができて初めて、

資本主義とはどのような構造であり、

どのような課題があるのかということを理解することができます。

 

いつもありがとうございます!

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